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群馬の田舎から情報発信!

『そして扉が閉ざされた』(岡島二人)

2009-10-25 15:03:07 | 読書日記
 4人の男女が地下シェルターに閉じ込められた。ここから事件の真相が明らかになる。

 シチュエーションの設定があまりにも奇抜。
 そして限られた容疑者がたった4人なのに、少しずつ謎が解明され、真相が明らかになってくる不気味さ。

 上手いなあ~。こんな手法を思い付くなんて。。。

 密室トリックのように殺人の手法を解き明かす推理小説とはちょっと違う。こんな手法の推理小説があるなんて。
 
 岡島二人さんの軽快な”マジックワールド”を十分楽しみました。
 
 

『「もう疲れた」と思ったときに読む本』(斎藤茂太)

2009-10-25 14:53:44 | 読書日記
 どうしたら真に余裕のある幸せな人生をおくれるのか。

 友人を簡単につくる方法。「基本線は相手を立てること。それとマメであること」

 自分も他人も「けなすよりほめよ」。なにをやってもダメといわれつづけた人と、得意なものが小さくても一つある人とでは「人生の楽しさ」は雲泥の差がある。

 相手の怒りをたちまち消す方法。「「はい」を八分「すみません」を二分の割合でタイミングよく入れる」

 生きがいに才能は必要ない。「休みの日に楽しんで取り組める「生きがい」を見つけることが、仕事人生のためにも重要」

 わが道をゆくに勝る道はない。「現在性を肯定的、楽観的にとらえる気持ちをもつことが大切」「人の悪口に惑わされない」

 さまざまな人生のアドバイスを詰め込んだ作品です。

 仕事だけ、趣味だけ、家庭だけ、ではなく、自分に合った「ほどほど」のバランスを心得ることが、人生を充実させる秘訣なのでしょう。

『闇の貴族』(新堂冬樹)

2009-10-17 15:15:31 | 読書日記
 自分の才覚一つで闇社会の貴族とまで言われるようになった加賀。

 人間は金にかしずく。金は万能であるとの信念のもと、金を手に入れるためには何でもする。そして闇社会の頂点を目指す男。
 一度人の弱みを見つければ、骨の髄までしゃぶりつくす。

 一度、闇社会との接点を持ってしまうと、抜け出せなくなってしまう恐ろしさを感じます。
 
 圧倒的な金と暴力の前では人間は無力であり、尊厳も失われる。

 作品後半になると、一転、主人公が加賀の子分である柴崎になり、ハードボイルド風になりまう。

 戦闘能力を鍛え、殺人マシーンとなった柴崎の冷酷さ。

 そして、加賀との再会を果たす、最終場面のどんでん返し。

 闇金融から世界の統一を果たす組織のプロの殺人者との闘争まで、「これでもか!」というぐらいにいろいろ詰め込んだ、一大エンターテイメント小説です。

 

『日本サッカー偏差値52』(杉山茂樹)

2009-10-12 09:09:01 | 読書日記
 著者のサッカーにおける感覚的数値を”偏差値”として表現した作品です。

 たとえば、ブラジル70、アルゼンチン68、スペイン64、イングランド60、日本52といった具合です。

 偏差値は、大学入試の際にお付き合いしたこがありますが、全国の受験生の中で、自分がどれくらいの位置にいるかを把握するのに有効な数値です。
 
 この”偏差値”を各国のサッカーに応用して、日本の今の実力を示そうとする視点は新しく、面白い。確かにFIFAランクはありますが、相対的に「あの国よりはレベルが低いが、あの国よりは高い」ということしか分からない。果たして、日本とブラジルのサッカーはどれほどの開きがあるのかは分からない。上手い取り組みだと思います。

 しかし、難しいのは、偏差値をいかに決めるのか。確立された方程式があるわけではなく、著者の主観に頼らざるをえないことから、各国ごとの数値には異論百出するかもしれませんが・・・。

 ただ、著者は偏差値の物差しとして、「戦術」「監督」「選手」「メディア」「ファン」などを分析し、総合的に判断しようとしています。

 日本とサッカー先進国との差をいかに縮めるかということについて、方向性を示してくれる作品だと思います。

『巨大投資銀行』(黒木亮)

2009-10-06 22:12:30 | 読書日記
 金融工学を駆使した専門的な取引・ビジネスが展開される作品です。

 とにかく読み終えるのに時間がかかった。内容的には面白く、ぐいぐい世界に入り込んでしまうのですが、いかんせん金融ビジネスの仕組みを理解するのは難しい。
 金利のヘッジやスワップ、スプレッド交渉ぐらいまでは分かりますが、「裁定取引とは何?」「イールドカーブの歪みを見つけて儲けるとはどんな仕組み?」などなど、なかなか理解が難しい。

 しかし、実際にビジネスとして行われているわけである。
 「たかがマネーゲーム」と侮れない。裁定取引やスワップで儲けるビジネスモデルを作り上げる能力が凄いのである。

 とは言え、本書の主人公は、日本の銀行を飛び出し、外資系投資銀行で成長していくが、ビジネスマンとしての最後を、それまでの知識・経験を生かし、日本に新たな金融秩序を打ち立てようとする。壮大な叙事詩である。