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群馬の田舎から情報発信!

『すごい飲み会』

2008-09-27 10:21:18 | 読書日記
 飲み会をビジネスの場として捉えた作品です。

 ビジネスとして捉える以上、マナーやルールは大して重要ではなく、いかにビジネスチャンスにつなげることができるかが主要なテーマです。

 したがって、取り立てて全く新しい飲み会のアレンジの仕方などが載っているわけではありません。
 基本は、普通のビジネスの場における気配り・ルール・マナーが必要であるということ。ただ、場所を変えて、酒食を伴いながらビジネスを行っているにすぎない。

 最近、職場の人間関係が崩れているということが指摘される。「不機嫌な職場」という新書でも指摘されているとおり、個々の社員が孤立化し、精神を病んでしまうこともある。そのことから、昔ながらの「飲み会」を通じて、職場のコミュニケーションを図ることが見直されてきている。

 デジタル機器の発達に伴い、相対でコミュニケーションをとることで意思疎通を図ることが益々重要になってきている。「飲み会」もビジネスを円滑に進めるための一つの手段だと積極的に意義を見直せば、強力なツールになるのでしょう。

 

『陰日向に咲く』(劇団ひとり)

2008-09-23 17:14:15 | 読書日記
 週刊文春に連載しているエッセーがおもしろいので、この作品が文庫されたのを機会に購入して読んでみました。

 社会の陽の当たらない場所で、不器用に生きる人々を描いた作品です。先日、奥田英朗さんの「ララピポ」を読んでいたので、描いている人々、そして、ある話の登場人物が次の作品の主人公として現れるあたり、ちょっと作風が似ています。

 しかし、作者の”立ち位置”は明らかに違います。「ララピポ」では、都会でもがき苦しみながら社会の底辺で生きている人々にも、明日は来るし、「そのような”生き方”があってもいいではないか」というスタンスです。

 一方、この作品では、陽の当たらない人生を送っている人々にも、「時にひと筋の光がさす」というもので、それぞれにハッピーエンド的な結末となっています。
 劇団ひとり氏はユーモアに溢れ、人を楽しませたいという気持ちが強いので、このような作品に仕上がっているのだと思います。

 週刊文春のエッセーでは、妙に変なことにこだわりをを見せ、身の回りにある普通のことも面白いものとして、ネタにしています。
 そんな、著者がどんな小説を書くのか興味津々でしたが、想像していたより”小説家"らしい作品に仕上がっていました。著者の才能におどろきます。

 エッセーの方も期待しています。


 

『脳を活かす仕事術』(茂木健一郎)

2008-09-20 11:56:42 | 読書日記
 「脳は何のために存在するのでしょう。それは「生きる」ためです。」
 「「生きる」とは、仕事を含めて、自分の人生を通して「生命の輝き」を放つことなのです。」

 「偶然を幸運に結びつけられるかどうかは、実は脳の使い方次第なのです。」
 「そのポイントは三つあります。それは「行動する」「気付く」「受け入れる」ことです。」

 「脳にはミラーニューロンという神経があります。他人の動作を見ていると、脳の中ではあたかも自分がその動作をしているかのような働きをします。ですから、自然に他人の振る舞いが自分にうつってきてしまうのです。」

 「人間の行動を最も束縛する要因は何でしょうか。」「失敗したら恥ずかしい」といった自分の中にある制御装置・リミッターです。「行動の範囲を広げるためには、まずこのリミッターを解除しなければなりません。」「それが「脱抑制」です。抑制を外して、自分自身を「本気」にさせること。命を生き生きと輝かせる仕事術の秘訣の一つです。」

 「人間としてのより高い状態を目指すこと。そのために学習し続け、行動し続ける。それこそが「なりたい自分」になる唯一の方法なのです。」

 脳科学から見た「仕事術」ということですが、「マルチ人間ではなくダイナミックレンジが広い人を目指」している著者らしく、分かりやすい文体ですし、仕事だけでなく、生き方など様々な場面で応用の効くアドバイスが盛りだくさんです。
 その分、すでに語られてきている仕事術との差別化は難しいですが、これまで何となく実践してきたものが、「科学的な根拠もあったことなのだ」と改めてその有効性が確認できます。
 やはり、頭で納得してから行うのと、そうでないのでは、その効果に違いがでるでしょう。

 最近は、さまざまなテレビ番組で著者を見受けますが、「アウェー」で戦うことで脳を活性化させているのですねえ。

 私も脳をもっと酷使しなければ・・・

『ナイチンゲールの沈黙』(海藤 尊)

2008-09-20 10:29:13 | 読書日記
 「チーム・バチスタの栄光」に続く、不定愁訴外来担当の田口公平、厚生省の役人白鳥圭輔の二人が活躍する第2弾。

 今回は小児科病棟に関わる事件。歌を歌うと、聴衆に自分のイメージを伝えることができる不思議な能力を持つ看護師と、目の癌を患い、目を嫡出しなければならない患者が主人公です。

 前作に比べ、医学的な面よりも看護師の不思議な能力が鍵となっているため、少しSF的な趣向が盛り込まれています。
 
 とは言え、前作同様、後半から白鳥圭輔が登場してからは一気に話の展開が速くなり、田口公平や加納警視正との掛け合いも面白い。ストーリー展開はもとより、登場者のキャラクターを楽しめる作品だと思います。

 ロジカルモンスター白鳥圭輔がその能力を十分発揮し、犯人を追い詰めていくストーリーを期待していたので、ちょっと物足りなさが残ります。次回作では是非、白鳥の活躍を見たいものです。
  
 

『ララピポ』(奥田英朗)

2008-09-10 20:16:08 | 読書日記
 みんな、しあわせなのだろうか。「考えるだけ無駄か。どの道人生は続いていくのだ。明日も、あさっても。」

 「世の中には成功体験のない人間がいる。何かを達成したこともなければ、人から羨やまれたこともない。才能はなく、容姿にも恵まれず、自慢できることは何もない。それでも、人生は続く。この不公平に、みんなどうやって耐えているのだろう。」

 世の中には決して輝いている人ばかりではない。いや、逆に多くの人が現状に不満を持ち、もがき苦しみながら生きているのではないか。

 自己実現の術もなく、理想的な生活とはかけ離れた日々を送りながら、何を支えに生きていくのか・・・。

 投げやりとまではいかなくても、日々流されながら生きている。そんな生き方も一つの生き方ではあろう。

 「ララピポ」=a lot of peaple
 「いろいろな人生の送り方があってもいいではないか」そんなメッセージがほんわかと伝わってくる作品です。 

 

『陽気なギャングの日常と襲撃』(伊坂幸太郎)

2008-09-08 21:02:12 | 読書日記
 陽気なギャングシリーズの第2弾。

 今回も”人間嘘発見機”成瀬、”演説の達人”響野、”天才すり”久遠、”正確無比は体内時計”雪子の4人が大活躍。

 4人それぞれが関わる(ちょっかいをだす)事件が、一つの誘拐事件で絡み合う。その構成がまったくもって上手い。ポップな文体と巧みに張り巡らされた伏線とが独特な雰囲気を作り出し、最後まで一気に読んでしまいました。

 前作を読んでから大分経ってしまったので、4人のキャラクターを思い出すのにちょっと時間がかかってしまいました。前作からさほど時間をおかずに読んだ方が楽しめたかもしれません。

 前作は映画化されたらしいのですが、この作品も映像化に適した作品だと思います。主人公4人のキャラクターが際立っていますから。
  是非、続編を読みたい・・・。

『野村再生工場』(野村克也)

2008-09-03 21:07:28 | 読書日記
 言わずと知れたプロ野球球団楽天の監督の著書です。

 「『どうやって人を再生させるのですか』よくそう訊かれる。すると、私はいつもこう答える。『その選手に対する愛、そして情熱です』」
 選手を再生できたのは、「根本にはやはり『この選手をなんとか一人前にしてやりたい』『成長してほしい』という愛情があったからだと自信をもっていえる。」
  
 褒めるのが苦手で、「叱ってこそ人は育つ」という信念を持つという監督ですが、根底では愛情を注ぐということの大切さを説いています。

 野村監督というとID野球と言われますが、データ活用は勝ための手段であり、「どうしたら勝つことができるか」ということを真剣に考え抜き、そのために利用できる手段として見出したのが「データ」だけであったこと。「勝つ」という目的達成を強く意識した結果として導き出した手段にすぎない。

 野球に限らず、目的を明確にし、どうしたらそれを達成できるかを考え抜き、より効果的な手法を見出すことはプロとしてあるべき姿です。
 野村監督はプロ野球という特殊な世界にあっても、際立って「勝ちたい」という強い意志を持ち、その目的達成のための合理的・効果的な手法を見出すことに気を使い、見出した手法を使って努力し続けることができた人物ではないかと思います。だからこそ、名将として結果を残してくることができたのではないでしょうか。

 かなり個人名が具体的に挙がってているので、想像しやすく、飽きずに最後まで読めます。読み物としてもおもしろいですが、「こんなにこの人をこき下ろしてもいいの?」とちょっと心配になる箇所もあります・・・。

 とりあえず、監督就任3年目を迎える今年の楽天の成績が気になります。この本はプロ野球人気の復活に一役買うかも?