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群馬の田舎から情報発信!

『年収崩壊―格差時代に生き残るための「お金サバイバル術」』(森本卓郎)

2008-05-29 20:50:47 | 読書日記
 自分の拠って立つ基盤が脆弱である→自分・社会の将来に不安→いつ何時、不意に年収120万円の生活になるかもしれない。
 そして、一度負け組にに落ちてしまうと、容易にはい上がることができない。
 このような心理に多くの人が陥ることにより、社会不安が生じているのではないでしょうか。
 
 そんな世の中を生き抜いていくための心構えを説いてくれています。
 重要なことは二つ 
  見栄を張らない生き方をする
  人生を楽しむ(楽しみをみつける)
そのためには、”時間をお金で買う”という考え方もあるが、歳入を増やすことができないしがないサラリーマンは、やはり基本は出を制する=節約することが大切
 投資するにも、まず借金の返済が先。

 節約も後ろ向きなものではなく、人生を楽しむための積極的な意義付けをすることで、楽しくできる。 とは言え、これが難しいのですが・・・。

『友だち地獄』(土井隆義)

2008-05-25 17:56:36 | 読書日記
 現代の若者たちが人間関係のキツさに苦しみ、そのサバイバルの過程で抱え込んでいる生きづらさを、「優しい関係」という視点から解き明かした作品です。

 「優しい関係」とは、「周囲の人間と衝突することは、彼らにとってきわめて異常な事態であり、相手から反感を買わないように常に心がけることが、学校での日々を生き抜く知恵として強く要求されている。その様子は、大人たちの目には人間関係が希薄化していると映るかもしれないが、見方を変えれば、かつてよりもはるかに高度で繊細な気配りを伴った人間関係」ということ。

 したがって、現代の若者たちは、自分の対人レーダーがまちがいなく作動しているかどうか、常に確認しあいながら人間関係を営んでいる。

 この「優しい関係」は、親密な人間関係が成立する範囲を狭め、他の人間関係への乗り換えも困難にさせ、互いの対立点がひとたび表沙汰になってしまうと、取り返しのつかない決定的なダメージであるかのように感じられてしまう。
 このことが、今日の「いじめ」の要因ともなっている。

 「かつての青年たちが『私を見ないで』と叫んでいたとすれば、現在の青年たちは『私を見つめて』と叫んでいる。」自己肯定感の脆弱さに絶えず苛まれている。

 このような「優しい関係」を維持するために、絶えず神経をすり減らしているのは現代の若者ばかりではなく、大人社会にも共通するものではないでしょうか。事実、職場においてもメンタル的な病気が原因で職を辞したり、最悪の場合には自殺したりする人が多くなってきている。
 
 自分の普段生活する”世界”の外には、様々な”世界”が存在するにも関わらず、所属する集団の中での人間関係が全てであるかのような錯覚に陥ってしまう。そして、一度壊れた人間関係は、なかなか修復することができない。その悩みが、結果として精神に支障をきたしてしまう。

 著者の言うように、「生きづらさ」のない生活など、人間ではなくなってしまうのでしょう。そこで、いかに「生きづらさ」を楽しみながら生活していけるかが、”人間力”なのかもしれません。

 特に、著者の携帯電話に対する洞察は、携帯に対する見方を新たにさせられます。

 私は、携帯電話は1つの連絡手段の一つとしか考えていませんでしたが、若者にとっては、「ふれあい」のためのメディアだと言います。
 「現代の若者たちが使用するケータイは、いわば社会的なGPSとして機能していると形容することができる。」
 「自らの周囲に張り巡らされた複数の他者からのメッセージを受信し、それらを”三角測量”することによって、仲間内での自分の位置を割り出すことを可能にしてくれる。自己の存在基盤の脆弱さに脅かされている人びとにとって、これほど魅力的で便利な装置は、現在のところ他に見出すことはできない。」

 子どもがケータイが欲しいという理由と、親が買ってあげる理由とは、必ずしも一致しないということを認識したうえで、買い与える必要があるのでしょうねえ。
 
 また、今日の少子化問題にもからむものとして、鋭い洞察だと思ったのがこの文章。
 「ほかの選択肢の可能性もつねに残されているという事実が、自ら選んだものの魅力を相対化し、その価値を低めてしまうのである。かつてと比べて男女が出会って恋愛する機会は増えているのに、いや、だからこそ、なかなか結婚へと踏み出せない人々が増えている。」

 若者文化を掘り下げて分析している作品ですが、若者だけでなく現代社会全体に通じる変化を、分かり易く解説してくれている作品です。 

今日の管釣り

2008-05-24 17:32:34 | フライフィッシング
 久しぶりに管理釣り場に行って来ました。

 3月に行った時には、釣り場の周りのスギから、黄色い花粉がわっさわっさと飛散していて、くしゃみはでるし、鼻水はでるし、目は開いていられないし・・・。
酷い目にあいました。

 花粉もおさまってきたようなので、やっと新しいロッドを試すことができました。
 前のものより6インチ長いだけなのに、随分長くなった気がします。
 しかし、その分遠くにキャストするのは楽になりました。

 8時頃釣り場に着いたのですが、いたるところにハッチがあり見事でした。それから9時半頃までは、ドライフライで気持ちいいほどよく釣れました。しかし、その後はなかなかドライフライに反応してくれず・・・。

 とは言え、久しぶりのマスの引きを十分楽しませてもらいました。

『ワイルドソウル』(垣根涼介)

2008-05-21 22:36:37 | 読書日記
 衛藤一家は希望を胸にアマゾンへ渡った。しかし、彼らがその大地に降り立った時、夢にまで見た楽園はどこにもなかった。戦後最大級の愚政“棄民政策”。その四十数年後、三人の男が東京にいた。衛藤の息子ケイ、松尾、山本―彼らの周到な計画は、テレビ局記者の貴子をも巻き込み、歴史の闇に葬られた過去の扉をこじ開けようとする。

 アマゾンへの移住政策が実は"棄民政策”だった。史実は定かではないが、当時の日本の状況からしても、その移民生活が決して平坦でなかったことは想像に難くない。上巻は、その悲惨さを、丁寧に描いています。
 当初の夢を掴めず、失意のうちに命を落とした人たちの怨念はいかばかりか。
 そして、その怨念を晴らすべく、立ち上がった子ども達の行動は・・・
 
 下巻は、東京で行われる復讐劇が描かれ、スピード感あふれる展開で一気に最後まで読ませます。

 どこまでも陽気なブラジル人化した主人公ケイとその仲間達の復讐劇。そこには、人を殺めるのではなく、日本国に過去の清算を迫ろうとするもので、どこかコンゲーム的な要素も持ち合わせた、エンターテイメント小説です。
 
 なんといっても、エピローグのケイと貴子の掛け合いが抜群。東京での生活に押し潰されそうになっていた貴子が、何とも間抜けに見えるケイに、頭にきながらも惹かれていく様子が何とも言えず微笑ましい。

 ブラジル移民政策の暗部。国家・官僚の無責任。裏世界の姿。日本の閉塞感漂う社会の中でもがく若者の姿。
 様々な問題ある要素が凝縮された作品ですが、ケイの性格で、読後はなぜかほんわかした気分になりました。
  

『危ないお仕事』(北尾トロ)

2008-05-10 20:05:20 | 読書日記
 週間文春の北尾氏の連載を読んで、気になったので購入してみました。

 万引きバスター・超能力開発セミナー講師・私立探偵など、普段あまり馴染みのない職業の人たちの実態を、突撃取材や自身の体験をもとに書かれた作品です。

 著者の力量にもよるのでしょうが、それぞれの職業人の気持ちを巧みに引き出していて、最後まで一気に読んでしまいました。

 なんとも怪しげな職業ばかりですが、その世界でプロとしてのプライドを持ち、頑張っているのですねえ。

 著者の注目する視点の鋭さ・上手さが本作品の全てだと思います。
 
 続編も読んでみようと思います。 

  

『感染』(仙川環)

2008-05-08 20:16:08 | 読書日記
 医学の世界というものは、部外者からすると、近寄りがたく、よく分からない世界である。

 最近では、四国や中国地方の病院で、病気に感染している人の腎臓を他の患者に移植していた医師がマスコミを賑わしていました。
 この医師は、患者を救いたいという純粋な医師の判断として移植を行ってきたのだろうが、医学を知らない多数の人々との認識のギャップがありすぎたのではないかと感じます。

 そういった意味で、本作品は、大学病院での医師達の行動様式や、臓器移植の現状などを、分かりやすい文体で語ってくれていて、医学ミステリーという新しい分野を確立しています。

 医学の進歩は、近い将来、様々な臓器移植をも可能にするかもしれません。しかし、科学的・医学的には正論であっても、人間の感情・意識を無視しては、医療は成り立たないのだと思います。

 人間の心理描写、謎解きの過程などには、多少荒っぽさがある気がしますが、それを上回る面白さで、ぐいぐい小説の世界に引き込まれ、十分楽しめました。
 

『「食い逃げされてもバイトは雇うな」は大間違い』(山田真哉)

2008-05-07 22:23:02 | 読書日記
 「食い逃げ~」の下巻です。

 今回も、1時間程度に読みきるようにと書かれた本ですので、分かり易く、読みやすい文体で、数字的センスを養うことができます。

 それにしても、題名の付け方が上手い。上巻が売れていたのを逆手にとるような題名で、「???」という意識から、思わず手にとってしまいました。

 「数字のセンスの真髄とは、結局のところ下巻の終章でいった、複数の視点を持つということだと思います。」
 「技術革新による情報の量的拡大、広告文化の発展にともなう「煽る情報」の質的進歩などは、私達に「考える力」や数字のセンスを身に着けることを求めています。」

 万能と思われる会計あるいは数字であっても、現実の社会の1/2しか表現しえない。現実のビジネスの社会では、会計・数字の世界を踏まえたうえで、それを超える視点から果敢に問題解決に臨むことが経営者に求められる姿である。

 そういった意味で、会計を専門とする著者が、敢えて前作を「大間違い」と言い切ることで、著者の思いを効果的に読者に伝えることができています。

 著者はいろいろんな場面で2分割法を使用するとのことですが、これはMECEに通じるものでしょうか。もれなく・ダブりなく、2つに分割する。ちょっと大雑把すぎるかもしれませんが、講演などの話では、聴衆に分かり易く伝えるためには2分割というのは効果的なのかもしれません。