4年前の電車事故で息子を失った外車ディーラーの営業マンが主人公である。
朝出勤すると、株式相場が開く9時までに秘密のマンションに閉じこもり、デイ・トレーダーとなって株式投資に没頭する。
ある日、「絶対に下がる株がある」とのインサイダー情報を基に、空売りをかけることから、事件が巻き起こる。
「こういうのは偶然とはいわんのです。シンクロニシティ、暗合というやつだ。言い方を変えれば神様のお導きかな。」という登場人物の言葉どおり、様々な偶然が重なって、縁の無かった登場人物が昔の事故で一点に集まり、最期のどんでん返しつながる。
デイ・トレードは、儲けるものがいれば、その裏側では損をしている人間がいるということ。パソコンを通して、大金を博打のように投資していくことで、お金に対する感覚が麻痺してしまうのかもしれません。
しかし、現実のお金は怖いもので、一度大きな損失を被ると、挽回するのは難しく、破綻への道を転げ落ちていってしまう。
そんな社会の厳しさ、さらには株式の世界で個人が大資本に対峙していくことの難しさがよく描かれています。
折りしも、ここ何日か、NHK職員のインサイダー取引が新聞を賑わしています。発表前のニュース原稿を見て、家に帰って株式投資していたなんて、なんともまあ確信犯的なインサイダー取引です。こういった、特別な地位を利用して確実な利益を享受している者がいると、相場に対する信頼が損なわれてしまいますよねえ。
この小説はお金の怖さが描かれている一方、家族の絆についてもよく描かれています。
途中の暗い気分をハッピーエンド的なラストで一気に吹き飛ばしてくれて、読後感が爽やかです。
楽しめました。
朝出勤すると、株式相場が開く9時までに秘密のマンションに閉じこもり、デイ・トレーダーとなって株式投資に没頭する。
ある日、「絶対に下がる株がある」とのインサイダー情報を基に、空売りをかけることから、事件が巻き起こる。
「こういうのは偶然とはいわんのです。シンクロニシティ、暗合というやつだ。言い方を変えれば神様のお導きかな。」という登場人物の言葉どおり、様々な偶然が重なって、縁の無かった登場人物が昔の事故で一点に集まり、最期のどんでん返しつながる。
デイ・トレードは、儲けるものがいれば、その裏側では損をしている人間がいるということ。パソコンを通して、大金を博打のように投資していくことで、お金に対する感覚が麻痺してしまうのかもしれません。
しかし、現実のお金は怖いもので、一度大きな損失を被ると、挽回するのは難しく、破綻への道を転げ落ちていってしまう。
そんな社会の厳しさ、さらには株式の世界で個人が大資本に対峙していくことの難しさがよく描かれています。
折りしも、ここ何日か、NHK職員のインサイダー取引が新聞を賑わしています。発表前のニュース原稿を見て、家に帰って株式投資していたなんて、なんともまあ確信犯的なインサイダー取引です。こういった、特別な地位を利用して確実な利益を享受している者がいると、相場に対する信頼が損なわれてしまいますよねえ。
この小説はお金の怖さが描かれている一方、家族の絆についてもよく描かれています。
途中の暗い気分をハッピーエンド的なラストで一気に吹き飛ばしてくれて、読後感が爽やかです。
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