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群馬の田舎から情報発信!

『「多読術』(松岡正剛)

2009-08-29 19:59:39 | 読書日記
 「読書って二度する方がいいんです。」
 「初読当時の感想を今日の時点からあらためて眺める視点が必要です」

 「無知から未知へ、それが読書の醍醐味です」

 「コミュニケーションでは、「メッセージが通信されている」のではなく、「意味を交換するためのエディティング・モデルが動いている」

 「編集工学では、~むしろ脳の「場」のようなものを活用して、少しずつ図柄を動かしているのではないか。」
 「「情報が記憶構造にあてはまっていく」のではなく、「編集構造が情報によって記憶されていく」」

 「人類が黙読ができるようになったんは、おそらく14世紀か16世紀以降のことです。それまではほとんど音読です。」
 
 編集者との対談形式で読書について語った作品です。

 「多読術」というと、速読術のようなテクニックを解説した作品かと思いましたが、そうではなく、マーカーなどによって本をノート化しながら、マッピングし、様々な本を関連付けながら読むことで、使える知識を増やしていく方法を解説した作品です。
 
 ただ多く本を読めばいいというものではなく、より深く・より多く読むことが大事であり、読者の意識・努力も必要であるということか。

『日本を貶めた10人の売国政治家』(小林よしのり)

2009-08-22 22:58:05 | 読書日記
 政治家もこれだけ批判されるのだから大変な職業ですよねえ。

 しかし、特に国会議員は日本の安全保障の方向さえも決める権限があるわけですから、しっかりとした歴史観、大局的な日本の進むべき方向性をきちんと「言葉」で国民に示す必要があるということでしょう。

 そのためには、必要な歴史を勉強するとともに、自分の頭で考え、自分のよって立つ軸をキチンと作っておかなければならない。でないと、場面場面でふらふらとした判断をしたり印象を持たれてしまう。

 

『「戦術に関してはこの本が最高峰』(西部謙司×浅野賢一)

2009-08-22 22:47:00 | 読書日記
 世界のプロチームの戦術を紹介してくれている作品です。

 各チームともそれぞれ独特の戦術をもっていることが分かります。

 戦術とは勝ためのの方法です。いくら選手をトップチームと同じ並べ方をしたからといって勝てるわけではない。
 プレーするのは選手なのだから。
 
 結局は、今いる選手の個性・実力を見極めた上で、もっとも力を発揮できるシステムを取り入れて戦うということが大事か。
 戦術に合わせて、いくらでもそれに合った選手を獲得できるチームもありますが・・・。

 サッカーの監督は非常に魅力的な職業では・・・。

『「空気」と「世間」』(鴻上尚史)

2009-08-22 22:23:43 | 読書日記
 「空気を読め」と言われても「空気を読むこと」難しい。

 著者は「空気」とは「世間」が流動化したものと考えてます。

 では、「世間」とは何か?

 「世間」の基本ルールは5つ。
1 贈与・互報の関係
2 長幼の序
3 共通の時間意識
4 差別的で排他的
5 神秘性
 
 そして、「世間」を構成する5つのルールのうち、いくつかだけが昨日している状態が「空気」だと考えている。5つのルールが明確に機能し始めた途端に、流動的だった「空気」は固定的な「世間」に変化する。

 「あなたが今生きる「世間」がうっとうしく、息が詰まるなら、~僕は、「世間」からゆるやかに「社会」にはみ出していくことを提案します」
 「それは、複数の共同体にゆるやかに所属すること」

 「あなたは「社会」と会話する言葉を徐々に身につけていく必要があります。」

 メディア、インターネットの発達は、どんな田舎にも「社会」の風を吹かせる。
 「今まで、日本人にとって、大人とは「世間」の智恵がある人のことでした。けれど、これからは大人とは、「世間」と「社会」の振り子を積極的に楽しみながら生きていくことなんです」

 
 


『洗脳体験』(二澤雅喜ほか)

2009-08-07 21:51:44 | 読書日記
 自己開発セミナーへ参加した内容を記した作品です。

 熱心な勧誘を行う、どこか胡散臭さがあり、実態がよく分からなかった「自己開発セミナー」を実体験した内容です。

 「自己開発セミナーは、日常から離れ、本当の自分と向き合うことによって、自分が社会によっていかに縛られ、不自由な生き方をしてきたかに気づくのだ」

 「自己開発セミナーは宗教ではない。心の問題を扱い、癒しを目的としたところでは、宗教と共通している」

 「セミナーで使われた手法は、数多くの参加者に対して一様に適用されるもので、個々人の置かれた状況や心のありようを考慮したものではなかった。」
 「集団の力によって、全体の力によって、全体の気分を高揚させ、そのなかで個々の人間に何かが変わったように思わせることがセミナーの手法だった。」

 自己開発セミナーはアメリカの心理学を応用した手法を用いて、「変身願望」を満たそうとしたものだったのか。

 どうしても宗教と絡むと否定的な印象を持ってしまうが、純粋に個人的な「変身」できる手法であれば、その手法を学ぶことは悪いことではないような気もしてきました。

『破裂』(久坂部 羊) 

2009-08-07 21:32:50 | 読書日記
 高齢者医療。長生きさせる医療をどう考えるか。
 終末医療。
 大学病院内の権力争い。
 厚生労働省の医療行政。
 医療過誤訴訟。

 など、様々な問題を、一つの小説の中にギュウギュウに詰め込んで、一級のエンターテイメントに仕上げている著者の力量に脱帽です。

 医療過誤訴訟では、医療側からすれば、「ミスした時には多額の賠償金を請求されるのであれば、手術が成功して命を救えば、同額の成功報酬をもらえるのか?そうでなければ、いちいち小さなミスで訴訟をされていたら見合わない。医師になる人間がいなくなってしまう。」という主張もありうると思います。

 一般人からすると、医者は万能であり、大学病院に行けば、どんな病気も治してもらえると思いがちである。
 しかし、医学も万能ではなく、人間が行う以上、ミスはつきものである。

 そう考えると、高い倫理性をもった医師に、精一杯の努力をしていただくことをひたすら願うことぐらいしかできないということか???

 また、長生きすることが本当にいいことか?という著者の問題意識を前提にした内容が多く含まれています。

 老いて、病気に苦しむぐらいなら、一定の要件の下では安楽死を容認してもいいのか?
 各人の生命に対する倫理観にも絡むものであり、難しい問題である。

 ただ、きれいごとだけでは通じない世界があることは確かである。
 超高齢化社会を迎えつつある日本において、すぐにでも議論を始めなければならない問題かもしれない。誰かが音頭をとらないと・・・。

 ある意味、社会はサスペンスと言えるような作品です。