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『象の背中』(秋元 康)

2007-12-15 23:35:16 | 読書日記
 肺ガンで余命6カ月を宣告された48歳の男が、延命治療を一切拒否し、残りの人生を精一杯生きようと、 これまで心にひっかかっていた様々な人と会って、 自分がもう長くないと”遺書”を伝えようとする。

 前半は、愛人との生活や、贅沢な食事の場面など、ちょっと普通のサラリーマンでは考えられないような場面が多く、今一感情移入ができませんでした。しかし、ホスピスに入る頃になると、主人公の人間臭さが現われ、実に泣かせる作品に仕上がっています。

 余命半年と宣告されれば、いくら「よし!これからやり残した事を全てするぞ!」といき込んだところで、すぐに普通に生活できない生活となってしまうのでしょう。
 
 そういったシチュエーションだからこそ、「生と死」、「家族」といったことを考えるようになるのだと思います。

 主人公は48歳で妻と子供二人がいるという状況を考えると、自分でも切実に生と死を考えさせられました。
 果たして、私は余命半年と宣告されたら、延命治療を拒否するだろうか?気持ち的には、拒否したいですが、その場になればやはり少しでも長生きしたいと思ってしまうかもしれません。

 最後に家族に「お疲れ様」と言われて息を引き取った主人公の満足感が、この作品の最後を暖かく締めくくってくれています。

 死に方は人それぞれあるでしょうが、それまでにいかに生きたかが、その人の満足感を左右されるのでしょう。

 死ぬ間際に「何かを残してほしい」という妻の願いで手紙を交換することになるが、妻が手紙を読む場面は本当に泣けました。こんなふうに家族の記憶に残れたららなあと・・・・


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