FEEL ambivalence

毎日、いろんなことを思います。
両極端な感じで。

両面価値。
同一対象に対する愛憎共存。

『終戦のローレライ』。

2005-04-13 04:27:42 | 
福井 晴敏。
第24回吉川英治文学新人賞、第21回日本冒険小説協会大賞受賞作。

映画『ローレライ』の原作。
 解説にも書いてあるが、もともと映画化を見越しての原作だったそうだ。なんでも、「潜水艦と女性と第二次大戦」というキーワードで依頼されたらしい。映画化を見越した原作なのだから、それほどのものでもないか、と、高をくくっていた。読み始めたときは苦手な文体なことも相まって、それほど惹かれなかった。しかし、途中からぐいとその世界に引き込まれてしまい、囚われたぼくは一気に読み進んでしまった。
 映画の原作だという思いは途中で捨てた。固定観念に縛られてこの世界を堪能できなくなるのはいやだ。型にはまっている自分を恥じた。この世界を堪能すればいいじゃないか。フリッツの思いを噛み締めよう。大好きになってしまった映画の世界観が、根底からひっくり返ってもいいじゃないか。覚悟を決め、本の世界に没入した。
 澄んだ氷のような緻密さ。溢れ出る情報に翻弄され、先へ先へと。読み進むうち、時間と空間の感覚が狂う。ここは、1945年なのか。2005年なのか。ぼくは、伊507に乗り込んでいるのではないか。それほどまでに。読みながら涙が滲み、汗が滲んだ。文字が表現しうるのは、無限の色彩。深遠の感情。

 映画を先に見るか、原作を先に読むか。どちらがいいのだろう。映画を先に見たことにより、絹見艦長は役所広司さんだったし、折笠上工兵は妻夫木聡さんだった。読み進み、思いを捨てたとはいえ、次の展開を期待しながら読んでしまう箇所も少なくなかった。仮に原作を読んでから映画を見たとすれば、この壮大な物語をどうやって詰め込むのか、疑問に思っただろう。さらに、端折られた箇所が目に付いただろう。結局のところ、原作と映画はパラレルワールド。似たような物語が近接した世界で繰り広げられていると思うしかない。それぞれにお気に入りのシーンはあるし、どちらがいいかなんて、優劣は付けがたい。映画は映画で。原作も物語として、すばらしいと思う。


 映画の表題と原作の表題が異なる理由が、わかった気がした。なぜ、『終戦のローレライ』なのか。

 ブログにも書いたけれど、次は『亡国のイージス』だ。今度は原作を先に読んでから、映画を見てみたい。

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2 Comments

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Unknown (さりっぺ)
2005-04-14 00:41:31
今日映画「ローレライ」見てきたよ♪

感動だったね!



本を端折ってってあるだろう・・・。

っては思ったね。

原作に挑戦!

しようと思う☆
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ぜひ! (たかぴ)
2005-04-14 01:33:33
泣いたでしょ?

原作もかなりいいよ。オススメ☆

ちょっと長いけどね。



もう一回見たいなぁ。

伊507のみんなに、もう一回会いたい。

くぅぅ。

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