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FEEL ambivalence

毎日、いろんなことを思います。
両極端な感じで。

両面価値。
同一対象に対する愛憎共存。

「アルジャーノンに花束を」/ダニエル・キイス.

2006-04-19 00:34:58 | 
突きつけられた命題は教育にも通じる。
どちらが正しいのか。

否。
どちらも必要なのだ。

教え育むこと。これは学び舎がある人たちだけが対象じゃない。
責任を負い、己が人生を歩み始めた人たちだからこそ、必要になること。

読み進むと、キリキリと胸の奥が痛くなった。
優しくすることは、どうすることなのだろう。
子どもに深く傷つけられたヒトは、どうすることで立ち直るんだろう。
心はどうやって成長するのだろう。
「理」と「情」はどういう相関なのだろう。

周囲に対する劣等感。反作用の優越感。
ぼくはいやというほど、わかる。
悲しくなるし情けなくなる。

彼が唯一分かり合えた、アルジャーノン。

この歳になって思うことなのかもしれないけれど。
高校生の頃に読みたかったなぁ。

「黒龍の柩」/北方 謙三。

2006-04-08 11:58:26 | 
もしかしたら、北方さんの書いた本のレビューは初めてかもしれない。
この際だから言ってしまうが、実はハードボイルドが大好きなのだ。
まぁ、知っていたかもしれないが。
好きな作家のレビューは書きづらい。
好きにうまく理由をつけられないから。

小説というのは、他人の視点で描かれた夢や思想を共有させてもらえる楽しみだと思う。
映画も同様に思えるけれど、音楽や映像が存在する以上、ある程度自由が束縛されてしまう。
小説は規制が何もない。あるとすれば、目の前に存在する文字のみ。あとはアタマの中で世界が動き出す。

現実でいつも悩んでしまって動けなくなるぼくがハードボイルドにはまってしまうのは、必然だったのかもしれない。
ぶつぶつと切れる文体は独特で、なんとなくリズムがちょうど良くて。
一時期は北方さんの本ばかり読んでいた覚えがある。
このごろは少し離れていたけれど。

北方さんは近年、歴史小説に力を注いでいるようだ。水滸伝や三国志など、上梓された歴史小説はたくさんある。そして、いよいよ「新撰組」の物語が登場した。

新撰組と言えば司馬遼太郎さんの「燃えよ剣」が名著であると思っている。
近藤勇ではなく土方歳三にスポットをあて、波乱に満ちた新撰組の誕生から終焉までを描ききっている。
「黒龍の柩」も主人公は土方歳三であるが、この作品はこれ以上内容を紹介したくない。
なぜなら、そこには北方謙三さんの思い描いた新しい土方像があるから。

様々な新撰組に関する小説やら歴史書が出ているけれど、あれが正しい、これが間違っていると批判することに何の意味があるだろうか。
正しい歴史が知りたいならば大学図書館で歴史を探し出せばいい。
これほどまでに多くの新撰組に関する書籍が出ていると言う事実。それはその数ぶんのたくさんのヒトの思い入れがあるからだろう。
北方さんの新撰組も思いが込められた、新しい世界を構築している。

最後の最後、びっくりするような仕掛けがあって。
でも、本当ならそれもいいかな、なんて思えるような。
そんなお話。

しかし、史実とかけ離れてしまっている以上は、ある程度史実の知識が必要になる、ということだろうか。
これが本来の歴史ではない、と全てを否定することはできないけれど、全てを肯定することもできない。
歴史小説というのは、ある程度本流となる史実の知識があり、その上で別の流れだったらこうも考えられる、ということを楽しむものなのかもしれない。
あまりにも破天荒な歴史小説は読んでいてつらいけれど、節々でパラレルを想像できるような、そんな小説ならば、登場人物はリアリティを纏って生き生きとする。

北方流新撰組、堪能させていただいた。

「博士の愛した数式」。

2006-03-11 14:20:33 | 
小川洋子 著。

話題にのぼる本を読むことに抵抗がある。些細な抵抗。
けれど、読まずに批評することにはもっと抵抗がある。
ハードカバーを手に取り、数ページ立ち読みした。
買おうと決めた。確か文庫が出ていたはず。ぼくは文庫派なのだ。

あいにく文庫は在庫切れとのこと。仕方がなく違う店をたずねた。
やはり文庫は売れていた。ここまでないとムキになる。
やっとみつけた本を抱え、ちょっとうれしかった。

夜。
湯船に浸かりながら読み始めた。
止まらなくなった。

物事を一から教えるとき、何が一番大事だろう。
暗記させること?興味を引き出すこと?理屈を覚えさせること?
否。
考え方を教えることだろう。
そして、対する姿勢を伝えることだろう。
テストで点数を取るためには暗記も必要だし、理論も欠かせない。
けれど、「直感」や「勘」を必要とする場面も多く存在するはずだ。
それらは物事の醍醐味であり、それらを軽視してはいけない。
そう思った。

一つの物事に敬愛を抱いて接する。
その姿を美しく思った。

どちらかといえば数学は得意だったけれど、学問としては興味が持てなかった。
しかし、そんなことないのかもしれない。
結局、好奇心の種はどこにでも埋まっているということか。
大事なのはアプローチの仕方。

「博士」の数に対する、そして、「√」に対する思い。

素敵な物語。

Personify.

2006-03-06 03:47:29 | 
昔、塾で教えていた頃。

生徒「せんせー、血小板って何するんですかー?」
ぼく「血管の壁をふさいで血を止めるんだよ。」
生徒「…(???)」
ぼく「わかりにくいから例えて話すぞぉ。」
ぼく「ある日な、怪我して血が出たとするだろ?それは血管に穴が開くってことでしょ?」
ぼく「そのとき、血管の中ではな…、」
血小板・弟「に、にぃちゃ~ん!!」
血小板・兄「いいか!ここは俺が食い止める。お前は逃げろ!」
血小板・弟「いっ、いやだー!にぃちゃーん!!」
血小板・兄「いいから、言うことを聞け!…母さんと父さんによろしくな(にこっ)」
血小板・弟「にいちゃーん!!!」
ぼく「こんな風にして、血が止まるように血小板が身体を張って穴をふさいでくれてるんだよ。」
生徒「ふぅーん。」

そんなことを思い出した。



それはなぜかというと。



「もやしもん」(石川雅之・著 講談社 イブニングKC)

を読んだから(笑)

もーね、面白すぎですよ。このマンガ。
お酒の醸造(かもし)の話もたくさん出てくるし、何よりも細かい(笑)
ネタがたくさん詰まってます。単に菌が出てくるだけじゃない。
自分が学生だった頃のことを思い返しながら、笑いながら読んじゃいました。
高校のときに生物をとっていないせいか、ちょっとだけ難解な部分があったり。
でもそれはそれ。気合と勘で読み解いて。
もしも菌の世界が見えたとしたら。そんな身近なネタなのに。
知らないことがたくさんあるとぐいぐい引き込まれる。
話の展開も気になるしね(笑)

うまく言えないんですが、大好きです。このマンガ。
大学ってこんなトコだっけか?(笑)

あああ。
自分の語彙が貧弱なせいでこのマンガのすばらしさの100分の一も紹介できないのが悔しい。

お酒が好きで、生き物が好きで、ナウシカが好きだったら是非読むべきです!(笑)
発酵食品が好きなヒト、微生物に興味があるヒトは言うに及ばず!

もーね、ぼくは物事を擬人化するのって好きなんですよ。
だから本当にツボなんです。これ系のハナシ。
今日は有意義な時間を過ごしました(笑)

明日からは乳酸菌をたくさん食べて、腸内善玉菌を応援しなきゃ!☆

「ライオンハート」/恩田 陸.

2006-01-19 02:28:23 | 
明日が休みなことも手伝って、後半一気に読了。
村上春樹「羊をめぐる冒険」も読んでいるのだが、購入したのはコチラが先。
購入したきっかけはテスト前。電車に揺られる時間に何を読もうか考えて、「図書室の海」を思い出して買ってみた。

恩田さんの文章はちょっと手強かった。
上手くいえないんだけど、ちょっと抵抗感アリ。
で、スピードが遅くなって突貫力を失って。
結局後手後手に。

もう一度読んでみようかな。
うーん。短編は良かったんだけどなぁ。
別の作品にしてみようか。

でも、このオハナシは好きだな。
運命と宿命があって、輪廻がある。
夢のある話だと思う。

大好きなヒトと結ばれなくても、それは一瞬だけで。
太陽系が銀河を一周する頃にはもう一度めぐり合えているのかもしれない。

いま目の前にいる人は、実は運命のヒトなのかもしれない。
ただ、忘れてしまっているだけ。

でも、
なんかしっくりこなかったなー。
うー。

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか-身近な疑問からはじめる会計学-』

2005-10-28 22:28:05 | 
山田真哉 著。

売れてるって聞くと。
なんとなく買いづらくて。

でも。思い切って買ってみた。
スクーリングが終わった帰り道。
電車までの待ち時間に。
ちょろっと立ち読みしてたら、止まらなくなって。
電車に遅れそうになって。
慌てて会計して、ダッシュ!!

この本は面白い。
会計的な知識もさることながら。
その視点が。

会計学を少しずつ勉強しているけれど。
言葉の意味や、その体系に戸惑うことが多くて。
だけど、この本を読めば、確かに少しだけ実態がわかるのかもしれない。

やはり、著者の視点が素晴らしい。
会計士はそういう視点で物事を見ているのかと驚いた。

ぼくがいつも仕事で思っていたり、
店長に言われることだったり。
それが形を変えて載っている気がした。

不良在庫。
粗利率、営業利益、経常利益。
回転率。増収率。

新しい言葉も覚えた。
棚卸減耗損。機会損失。

どれも、そんなに難しいことじゃないんだなぁ。

どれ、次は、『非常識会計学』にチャレンジしてみる。

『女子大生会計士の事件簿』

2005-10-21 20:26:19 | 
山田真哉 著。

いやー。
タイトルだけだとなんだかなー。
2時間ドラマっぽいよね(笑)

内容も軽めでさくっと読める。
でも、出てくる会計の知識はちょっと興味深い。
勉強になる、というよりは、感心する。
興味が出るかな。

簿記の教科書の息抜きにはちょうどいいのかも。
巻末の付録もけっこう好き。

会計、手強い。
ほんとに。よくわからん。
むー。
もうちょい頑張れってことだよなぁ。

『金閣寺』。

2005-10-11 02:19:40 | 
ようやっと、読み終わった。
内に思考を求めていくと、こんなにも残酷で、明確になるものなのだろうか。
物語の山場では、もう、気持ちは昂ぶってしまい。

おかしいほど興奮して読み終えた。
緊張が、葛藤が、伝わってくるようで。

大学2年の頃、かなぁ。
一度読んだけれど。

あの頃と、また違う気持ちで読み終えた。

自分の中を深く深く覗いて。
自分が定義している事柄を探って。
その果てに、自分の世界を解き放つために、現実の世界を壊す。

そんなことが許されるのか?

許す許されるの話ではないのだろう。
それが、結末だ。



三島さんの作品はこれしか知らない。
他の作品も読んでみよう。

好きな文体なんだ。実は。

『天使の囀り』。

2005-06-12 22:19:40 | 
貴志 祐介。


今回も怖い。
本当に怖い。

この手の小説を読むことは今までなかったのだが、ついにハマってしまったらしい。

文体も好み。
展開されていく物語の力強さに抗えず、ぞくりとする寒気を感じながら読んでしまった。

しばらくは思い出して怖がっていることだろう。

怖い。

夏の夜に静かに読むのにいい。
次はイソラに手を出してみようかな。

『亡国のイージス』。

2005-05-18 23:00:32 | 
福井 晴敏。


 映画の原作にもなった、壮大なフィクション。『ローレライ』でもそうであったように、全体を貫く緻密な描写と、膨大な知識によって描かれる物語は活字であることを忘れさせる。どのような形であっても、戦いを行うのは、現場にいる人間なのだ。だから、つらいし、怖いし、痛い。『沈黙の艦隊』(かわぐちかいじ)に出てくる台詞の一つを思い出した。どんなに手段が進歩したとしても、「戦争で戦うのは、やはり人なのだ」。指令を下す側も、任務を実行する側も。その人々それぞれに物語が存在して、交錯する一点がドラマを生む。
 この物語は構成が好ましかった。なぜ、その危機に至るのか。なにがそうさせたのか。次から次へと現れる登場人物をうまく整理し、活躍させる。まさに、映像化が楽しみな作品であったと思う。それぞれの人物像が縁取られて、きちんと描かれているからこその結果であろう。ただ惜しむらくは、後半にほんの少しだけではあるが、息切れを感じたことだろうか。
 扱っているテーマは『ローレライ』にも通じるものがあると思う。現状を憂い、抜本的な解決策を模索する。沸き起こる急進的なイノベーション。そして、その結果もたらされる悲劇。描かれているのは、実際に起こりえることなのかもしれない。そこまで熱い思いをもつテロリスト、または管理者がいれば、だが。正直なところ、戦争の定義も自衛隊の是非も、深く考えたことはない。ただ、ヒトがヒトを滅ぼすことだけは認められない、という結論を持つだけ。その考えをもう少しだけ突き詰めてみようと思う。自分が拠って立つ国が亡国とならないように、まず、自分から考えよう。