ドナーからレシピエントに移植された臓器によって個人の記憶が他人の中に入り込むことは可能か?
すべての細胞はその本人のDNAを持っているということを考えなければならない。
そもそも人間の個体のすべては一つの卵細胞から分裂したことを考えると、すべての細胞は同じ遺伝情報をもっている。
三胚葉の分離
内胚葉→消化管となって内臓をつくる
中胚葉→脊索となって背骨をつくる
外胚葉→中枢神経を作る 目や鼻や口や脳になる
心筋(不随筋)も他の臓器のように卵細胞から分裂し、その機能を獲得した。
あらゆる個体の細胞は分化するまえは単細胞であった。
つまり単細胞を他の単細胞で置き換えることはできない。
しかし、分化したあとの細胞の移植は可能のように見える。
他人の細胞の移植はインベーダの侵入とみなし抗体が働く。
免疫機能が侵入者を排除しようと常に働く、そのため免疫抑制剤を常に投与し続けなければならい。
他人の細胞を受け入れることは他人の遺伝情報を受け入れることでもある。
iPS細胞(アイピーエスさいぼう)のようにすべての細胞から分裂細胞を作り、それぞれのスイッチを自動的に切り替え、三胚葉を作り得れば、生物のクローンが生まれる。
もし移植された臓器からそれらのiPS細胞をクローンにすれば、元の他者が姿を現す可能性が出てくる。
人間は脳だけで記憶するわけではない。
何かをつかむときには手の方がその感覚を覚えている。
人は歩くことによって、足の筋肉を鍛えることができ、筋力をつけるためには筋肉トレーニングを行うことによって筋肉は強化される。その時、筋肉の細胞はその運動における何かを記憶することができる。
つまり、記憶することは半導体というまったく脳とは関係ない物質でさえできるのである。
ただし、物質はその容量と物理量は比例しているが、脳の記憶量は物理量ではない。
細胞のあらゆる働きはその細胞がもっともその働きを開花させるために記憶していると考えられる。
いかなる人間も他者と同じ場を占めることはできない。それぞれの個人にはその個人の場を持っている。つまり、同じ家族で同じ家に住むものも相手の場を占有することができない。
場は常に変化している。たとえば、ソファーの位置に兄が座っているが、そこを弟が占有したとしても、すでにそのソファーの場は兄が座っていた場とは異なるのである。
人体の場は常にその人間の人体によって与えられている。
もし、その人間の人体の場に他人の臓器が入り込めば、まったく異なるものがその人間の場を借りることになる。それぞれ他人の細胞が拮抗し免疫が働くのは場の問題でもある。
記憶とは場によって与えられる現象である。それだからこそ記憶はすべての人によって異なるのである。細胞は記憶をもっているが、細胞だけで記憶を呼び起こすことも不可能に近い。
記憶の分類
言葉 言語(文法を含む)
音
匂い
イメージ(現象)
夢の記憶
細胞レベルで何を記憶しているか?
人間の視覚は光学的なレンズとは異なる
見ているものがすべて映し出されるわけではなく、意識と無意識がそれを選別している。
光学レンズは光の侵入するものをすべて写している。
人間は見えていても見ていない。
見えないものをも見るということがある。
それらの複合的なある時間に統一された記憶は保存されるであろうか?
たとえば、渋谷や新宿の街を歩いていて、通りゆく人々の姿を見ているが、さて思い出そうとしても正確に通り過ぎて行った人々の顔は思い浮かばない。
それらの記憶が0ではないまでも0に近いものであるということは言える。
しかし、それらの無意識下に入った記憶を他人の中でよみがえらせることは困難である。
しかし、もしたまたま聞いた外国語の簡単な単語が無意識下の中で保存されていて、突然その単語をしゃべるということは、可能性としては0ではない。
肝心なのは臓器移植された臓器の中で言語を記憶する細胞が含まれていたとしても、その言葉が他人の記憶として再生し得るかどうかである。
書きかけ
免疫システムを理解するキーワード
* 抗体(免疫グロブリン):
Bリンパ球によってつくられ、特定の抗原と反応するタンパク質
* 抗原:
免疫反応を起こさせるすべての物質
* 好塩基球:
アレルギー反応に関与するヒスタミンという物質を放出し、好中球と好酸球を問題部位に引き寄せる物質をつくる白血球
* 細胞:
細胞質と核で構成され、細胞膜に囲まれた生体の最小単位
* 走化性:
化学物質によって細胞が引き寄せられるプロセス
* 補体系:
細菌や異物細胞を殺したり、マクロファージが異物細胞を確認し捕食しやすくしたり、マクロファージや好中球を問題部位に引きつけたり、抗体の有効性を高めるなど、さまざまな免疫機能をもつ一群のタンパク質
* サイトカイン:
免疫反応を調節する免疫システムの情報伝達物質
* 樹状細胞:
通常は組織内にあり、Tリンパ球が異物の抗原を認識するのを助ける白血球
* 好酸球:
細菌や異物細胞を捕食でき、寄生虫を動けなくして殺傷する能力があり、アレルギー反応にも関与し、癌細胞の破壊を助ける白血球の1種
* ヘルパーT細胞:
Bリンパ球が異物の抗原を認識し、抗体をつくるのを助ける白血球
* 組織適合性:
移植組織や臓器がレシピエントに受け入れられるか否かを決定するのに利用され、ヒト白血球抗原(主要組織適合抗原遺伝子複合体)によって決定される組織の適合性
* ヒト白血球抗原(HLA):
細胞の表面に存在し、個々の生体に特有なもので、自己を異物と区別させる一群の分子。主要組織適合抗原遺伝子複合体ともいう
* 免疫反応:
抗原への免疫システムの反応
* 免疫グロブリン:
抗体と同意語
* インターロイキン:
ある種の白血球から分泌され、他の白血球に影響を及ぼすサイトカインの1種
* キラー(細胞傷害性)T細胞:
異物細胞や異常細胞に結合し、それらを殺傷するリンパ球
* 白血球:
単球、好中球、好酸球、好塩基球、あるいはリンパ球などの血液細胞
* リンパ球:
Bリンパ球により抗体をつくったり、Tリンパ球により自他と区別したりするなど、特異免疫を司る白血球
* マクロファージ:
単球と呼ばれる白血球から分化し、細菌や他の異物細胞を捕食し、白血球が微生物や異物を認識するのを助ける大型細胞
* 主要組織適合抗原遺伝子複合体(MHC):
ヒト白血球抗原と同意語
* 肥満細胞:
組織内にあり、アレルギー反応に関与するヒスタミンやその他の物質を放出する細胞
* 分子:
固有の化学物質を形成するために化学的に結合した原子の集合体
* NK(ナチュラルキラー)細胞:
他のリンパ球と異なり、形成されると同時に微生物や癌細胞を殺す能力をもつリンパ球
* 好中球:
細菌や異物細胞を捕食し、殺す白血球
* 食細胞:
侵入してくる微生物、異物細胞やその断片を捕食して殺す細胞
* 貪食作用:
侵入してくる微生物、異物細胞やその断片を細胞が捕食するプロセス
* 受容体:
細胞の表面あるいは内部にある分子で、鍵と鍵穴のように、ぴったり合う分子とのみ結合する分子
* サプレッサーT細胞:
免疫反応を終わらせる働きをする白血球