

渡邉規久雄によるシベリウスのピアノ全曲演奏のリサイタルの録音盤。第1回は2003年6月。第2回は2007年10月。第3回が2010年9月、今回の第4回は2015年11月、いづれも東京文化会館小ホールでのリサイタルの録音盤である。とても息の長い取り組みである。
第1~第3までは使用ピアノは記載されていないが、この第4では「スタインウェイ モデルD」とわざわざ記載されている。演奏家としてのこだわりの楽器かもしれないし、第1~第3でもこのピアノを使用したと思われる。今回の付属解説は演奏者自身による解説になっている。
シベリウス生誕150年ということで2013年から日本シベリウス協会の演奏会に参加してきた。わたしが最初に知ったシベリウスの曲はヴァイオリン協奏曲、次に交響曲第5番と第2番、そしてこのシベリウスリサイタルの第1集のCDである。始めは管弦楽曲ばかりに注目していたが、日本シベリウス協会の演奏会に参加するうちに室内楽曲、器楽曲が気に入った。
この第4集で私の興味は「5つの小品「樹の組曲」」(作品75)と「5つの小品「花の組曲」」(作品85)。シベリウスの器楽曲、必ずどこか消え入りそうな部分や曲が顔を出す。そこが私には好ましい。私はシベリウスのピアノ曲の神髄はこのような小曲を集めた作品だと思う。また「カレリア」組曲(作品11)作曲家地震による編曲もいい。
この息の長い渡邉規久雄の取組みが完結することを期待している。



