Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

冷やか

2017年09月23日 23時47分57秒 | 俳句・短歌・詩等関連
★木も芝もなほひややかにひるすぎぬ  石田波郷
★ひやひやと臓腑まさぐる超音波    中村 弘


 本日は冷(ひ)ややか、冷え、冷気というような季語が思い出された日である。肌寒く半袖であらわな二の腕が冷ややかな空気を感じて、身が引き締まる。冷(つめ)たい、というと冬の季語になるが、冷ややかではまだまだ身をさらして気持ちのいい気分である。
 同時に、冷ややかに物事を見つめる、という表現もある。こちらは心理的に物事を突き放してみる表現である。不同意の意味合いである。しかし季語としての冷ややかは、どちらかというと肯定的ではないだろうか。
 第1句目も、庭の木や芝は好ましいものとして冷ややかであるのだ。木や芝を突き放して、そして嫌悪はしていない。身をさすように夏の暑い大気から、秋の柔らかな大気への変化を喜んでいる。
 第2句目は、嫌悪ではなく不安を表している。検診でよく使われるエコーと云われる機器である。あのゼリー状のものが冷やっとする。これは検査への不安であると同時に、身を委ね切った諦念、どうにでもなれという開き直りへの契機ともなる瞬間である。あの感触は人生の曲がり角、一大エポックを象徴する感触である。



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