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Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

読了「「海の民」の日本神話」 4

2022年10月02日 18時34分39秒 | 読書

   

 「「海の民」の日本神話」(三浦祐之、新潮選書)を読み終えた。
 本日までに読んだのは、第6章「女神がつなぐ 高志と諏訪、そして出雲」、並びに終章「国家に向かう前に」、そして「あとがき」である。

律令国家が成立する以前、ヤポネシアの「表通り」は他の海に面してあった。その段階では裏通りは存在しなかった。ヤマト王権が律令国家となり、地勇往集権的な制作によって陸路を種とした表通りを作ったことで、こひの以前の海路を主としてた表通りは陸封され、裏通りになってしまった。しかも分断されるかたちで。‥古事記では、出雲が敗者の象徴として置かれた。外の地域も当然同じ道をたどり、表ヤポネシアの国々は、山陰道、北陸道という名の、ヤマトの都を起点とした道につながれた。山陰道の諸国と北陸道の諸国は直接行き来することさえできないかたちで分断されてしまった。そうすることで「日本」は生まれた。中央集権国家というのは、縦横無尽にネットワークを張りめぐらす世界ではなく、鵜匠が手にもつ紐に繋がれた鵜さながら、すべてが中心に集約された世界なのである。」(終章)

ヤポネシアの表通りを歩いてみると、筑紫にも出雲や八上にも、但馬・丹後、若狭にも、そして角鹿(敦賀)にも能登にも奴奈川にも、至るところに拠点といえる土地があり、それぞれが独自性を保っている‥。残された文献を追ってくると、それぞれの土地が対等なかたちで向き合っている痕跡を見出すことができた。‥少なくとも律令国家が介在する以前には、陸の未知の痕跡はほとんど存在しないとみていい。隔てられて存在する拠点と拠点は、支配と従属という関係ではなく、並列された関係のなかに置かれるしかなかったのではないか。」(終章)

核DNA研究は今後急速に進展し、日本人の起源に関しても今以上に解明されるのは間違いないが、古事記に見出せる水平的世界観と垂直的世界観の混在構造がよって来たる道筋も明らかになることを期待している。水平的な思考というのは、広々とした水平線に向き合った海の民の生活と切り離せない‥。」(終章)

 予定よりも時間がかかってしまったが、ようやく読み終えた。中央集権以前の列島の有り様は昔から興味があった。また網野義彦を引用したりするところもあり、私の興味と重なり合う。しかも最後に引用した核DNA研究などについても今後の著作に期待したいと感じた。



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