本日は夕方までには太陽が顔を出す予報であったが、結局は厚い雲が空を覆い、青空も太陽も見ることは出来なかった。そして寒々とした気温が続いた。15時過ぎの9℃が最高気温となった。横浜ではもっとも寒い時期を下回る気温であった。最低気温は明け方の5℃と今季最低気温。
気温も、木々の様相も、ようやく冬の様相である。そして8日は十五夜で満月。
★寒満月急に遠吠えしたくなる 大坪和子
★冬満月歩幅ひろげてゆく一人 幡野千恵子
★立ちしものに光りを注ぎ冬満月 碇 英一
第一句、冬の夜は音が遠くに響く。空気が乾燥して伝播しやすいこと、そして放射冷却で気温の低い空気の上に温かい空気がかぶさって音を地表のほうへ反射するため、と教わった。私が生まれたころには、野犬や、放し飼いの犬や、庭で飼う犬が多く、遠くで吠えているのが耳に入ってきて怖かった。そんな昔を思い出しながら、冬の満月に向かって遠吠えをしたくなる気持ちがわかるような気がした。
第二句、普通ならば寒いこの季節、満月が空にかかる夜に外を歩くと、寒さで小幅な動きなる。にもかかわらず悠々と大股でゆっくりと胸を張って歩く人、眼がおのずと吸いよせられる。さて、どんな人なのであろうか。自信に満ちた人となりをうらやましくも思う。
第三句、冬の満月の光が街中を照らす。夏とは違い、木々の葉に遮られることもない。葉を落とした木々の黒々とした姿が目立つ光景が目に飛び込んでくる。蕪村の「月天心貧しき町を通りけり」を思い浮かべた。