USBスピーカーを使って、私の好きな曲を連続して聴いている。本日はヘンデルのヴァイオリンソナタ、6曲。全6曲ともにすっかり頭の中に入ってしまった。もう50年も弾いていないので、弾くことはかなわないが、第1、第4、第5は左指と右手が自然に動いている。
アルテュール・グリュミオーのヴァイオリンとラクロワのチェンバロで1966年の録音。私にとってはとても気に入っているCDである。
同じ曲をもう一枚のCDでも聴いている。ヨゼフ・スークのヴァイオリンでルージチコヴァーのハープシコード(チェンバロ)で1975年の録音。
グリュミオーとヨゼフ・スーク、前者はやはり名手であり録音も名盤といわれるが、後者は私の大好きなヴァイオリニストである。音量や演奏技術、音の厚みでは多分グリュミオーの評価のほうが高いのだと思う。確かにスークは線が細いと思われる。また抑揚も常に抑え気味である。派手さがない。しかし音の美しさと正確さという点ではスークは私の好みである。
音の厚みや華やかさからはグリュミオーであるが、この6曲で静かな夜をひとり孤独に過ごしたいならばスークの演奏のほうがいい。
スークの演奏は生意気を言わせてもらえば、協奏曲よりは室内楽向きである。また独奏曲よりはアンサンブルがいい。だが、私はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を初めて聞いたとき、スーク、チェコフィル、フランツ・コンヴィチュニーの指揮による演奏であった。LPのジャケットの写真がボヘミア地方の麦畑の風景で、演奏とぴったりと一致しているようでとても気に入っていた。何といっても最初の4つの四分音符のティンパニーにしびれる。そして第2楽章の美しい演奏も気に入っている。今でもCDに買い替えて大事にしている。
ヨゼフ・スークはそれ以来の付き合いである。