★またたきは黙契のごと梅雨の星 丸山哲郎
★故郷に住みて無名や梅雨の月 相馬遷子
「梅雨の月」というの、梅雨の晴間に見える月で、雲の間からのぞくさまをいうらしい。靄がかかって滲んでみえるような澄んだ月ではないと歳時記には記載してある。
一方で「梅雨の星」となると雨で塵が少なくなってよく透き通った空に輝く星のことをいうらしい。
梅雨時の月と星、イメージが正反対らしい。しかし月といえども秋の月ほど涼しさは感じずとも、梅雨時の澄んだ空に浮かぶ月もいいものである。満月よりも半分以上欠けた月はいい。
昨日の月は澄んだ空に浮かぶ十六夜、丸すぎるという思いもあったが、木星・土星・アンタレス・アルタイル・ベガ・デネブを従えて、見栄えがした。鮮明な縁取りが美しい月であった。
本日の月は厚い雲の向こうから、時々赤く姿をちらっと見せて艶めかしいかった。昨日とは正反対に縁取りも舫っとして、潤んだ眸のようであった。これもまたいい月である。
第1句、この星は澄んだ空が似合う。自然と人の、あるいは神と人の、または星を見ている人が何かの決意をした証しとして星を見上げているのかもしれない。男女の絆を挿しているのかもしれない。
第2句、作者が大学を去って医師として故郷で開業した時期の句らしい。若い頃の夢や望みと、現実の狭間でさまざまな感慨が去来している感じがする。この月は住んでいるのか、潤んでいるのか、私は前者として読んだ。人生の選択は暗中模索であるが、意志は明確であるはずだ。
★故郷に住みて無名や梅雨の月 相馬遷子
「梅雨の月」というの、梅雨の晴間に見える月で、雲の間からのぞくさまをいうらしい。靄がかかって滲んでみえるような澄んだ月ではないと歳時記には記載してある。
一方で「梅雨の星」となると雨で塵が少なくなってよく透き通った空に輝く星のことをいうらしい。
梅雨時の月と星、イメージが正反対らしい。しかし月といえども秋の月ほど涼しさは感じずとも、梅雨時の澄んだ空に浮かぶ月もいいものである。満月よりも半分以上欠けた月はいい。
昨日の月は澄んだ空に浮かぶ十六夜、丸すぎるという思いもあったが、木星・土星・アンタレス・アルタイル・ベガ・デネブを従えて、見栄えがした。鮮明な縁取りが美しい月であった。
本日の月は厚い雲の向こうから、時々赤く姿をちらっと見せて艶めかしいかった。昨日とは正反対に縁取りも舫っとして、潤んだ眸のようであった。これもまたいい月である。
第1句、この星は澄んだ空が似合う。自然と人の、あるいは神と人の、または星を見ている人が何かの決意をした証しとして星を見上げているのかもしれない。男女の絆を挿しているのかもしれない。
第2句、作者が大学を去って医師として故郷で開業した時期の句らしい。若い頃の夢や望みと、現実の狭間でさまざまな感慨が去来している感じがする。この月は住んでいるのか、潤んでいるのか、私は前者として読んだ。人生の選択は暗中模索であるが、意志は明確であるはずだ。