6月8日に群馬・新潟県境にある平標山(たいらっぴょうやま、標高1984m)・仙ノ倉山(せんのくらやま、同2026m)を歩いてきた。
その③では帰路に観た花を中心にご覧いただきたいと思う。
(地図はクリックすると大きくなります。)

ではその②からの続きで、仙ノ倉山の山頂からスタートしよう。
仙ノ倉山(標高2026m)は谷川連峰の最高峰で、山頂から360°の眺めが楽しめる。広い山頂はハイマツ等の低木に囲まれていて、人々が低木に向き合ったり、あるいは低木を背にしたりして、輪を描くように座っていた。
ちょうど一人が立ち上がったので、空いたスペースに腰を下ろした。低木越しに谷川岳(標高1977m)が見えていた。谷川岳と重なって手前に見える山は万太郎山(同1954m)で、いずれも昨年の今ごろに縦走してきた峰々だ。

山頂でパンを一つ食べて10分ほど休み、次のハイカーのために場所を空けた。
仙ノ倉山の山頂から前仙ノ倉山を見る景色も、雄大で素晴しかった。帰路は平標山までは同じ道を通るので、再びお花畑が楽しめる。

前仙ノ倉山に向かう途中にタカネザクラ(別名ミネザクラ;高嶺桜、Cerasus nipponica、バラ科サクラ属の落葉小高木または低木)がまだ咲き残っていた。

前仙ノ倉山に向かう稜線はなだらかで、好きなところだ。一方風が吹くと避けようがないので、怖い気もする。勿論この日はそんな心配は皆無だった。

前仙ノ倉山の標識は、先ほどは団体さんがつかえていて撮れなかったが、帰路は誰もいなかったのでゆっくり撮れた。この標識がないとここが山頂だと気づかないかもしれない。

前仙ノ倉山を過ぎ、右カーブにかかるところから平標山がよく見えた。山頂は広いが、山全体を見るとかなりの傾斜があり、均衡の取れたきれいな山容だ。

赤い標識はマツダランプと呼ばれている。谷川岳の肩ノ小屋から1kmごとに設置されていて、ここまでの距離は10kmとなっていた。付近にアズマシャクナゲやタカネザクラが咲いていた。

ムシカリ(別名オオカメノキ;虫刈、Viburnum furcatum、ガマズミ科ガマズミ属の落葉低木または落葉小高木)も近くで観られた。この山にはそれほど多くないように思う。

登山道脇にミツバオウレンが群生していた。登りでも気づいていたが、団体さんの後に続いていたので撮らなかった花だ。


開き初めで紅色が濃いアズマシャクナゲ。

チングルマ。


ミツバオウレンの群落。

ハクサンイチゲの群落。

ハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ、エチゴキジムシロの群落。

エチゴキジムシロ。


ハクサンイチゲ。

ハクサンコザクラ。

ミネズオウ(峰蘇芳、Loiseleuria procumbens、ツツジ科ミネズオウ属の常緑小低木)。


ハクサンイチゲの蕾。


この花は名前が分からなかった。帰って調べたらクロミノウグイスカグラ(別名ハスカップ;黒実鶯神楽、 Lonicera caerulea var. emphyllocalyx、スイカズラ科スイカズラ属の落葉低木)のようだった。
クロミノウグイスカグラは、日本では北海道を中心に、本州でも中部以北の高山に自生し、北海道では檜山・留萌を除く各地に自生する。本州以南では岩手県の早池峰山、栃木県の戦場ヶ原など、標高の高い地域に自生する。

お花畑でたくさん写真を撮り、最後は木段をゆっくり登って平標山の山頂に戻ってきた。時間は11時30分になっていて、山頂は先ほど来た時以上に混雑していた。
山頂を通り過ぎ、左へ折れて平標山の家の方へ向かった。
数百メートル歩くと左に10人ほどが座れるベンチ群がある。これまでもここで休んでいた。奥に空きがあったので座り、ミックスナッツとドライフルーツを食べた。休んでいる間は靴を脱ぎ乾かすようにしている。そうすることで足指先への負担が軽くなる。15分ほど休んで出発した。
平標山の山頂から平標山の家までは、一直線の下りだ。大半が木段なので歩きやすい。

その木段の脇に小さな青い花を見つけた。通りかかった人がハルリンドウだと教えてくれた。
ハルリンドウの茎葉は少し横に開いているが、タテヤマリンドウの茎葉は開かず茎を抱く。上から観たらよく分からなかった。
帰ってからネットで検索したら、平標山で観られるのはタテヤマリンドウ(立山竜胆、Gentiana thunbergii var. minor 、リンドウ科リンドウ属の越年草)のようだった。


少し進んだところにイワイチョウ(岩銀杏、Nephrophyllidium crista-galli 、ミツガシワ科イワイチョウ属の多年草)も観られた。

イワカガミはたくさん観られたが、この花がきれいだったので撮った。

こちらはワタスゲ(綿菅、Eriophorum vaginatum、カヤツリグサ科ワタスゲ属の多年草)だろうか。


ぽつんとムラサキヤシオツツジ(紫八汐躑躅、 Rhododendron albrechtii、ツツジ科ツツジ属の落葉低木)が咲いていた。

こちらは標高が高いところで観たものとやや違うように見えるが、やはりエチゴキジムシロのようだ。

12時22分に平標山の家のテント場に着いた。山の家で水筒に水を補給した。

山の家の分岐を南進すると三国峠に達する。いずれ歩いてみたい道だが、クマの心配があるので一人で行く気にはなれない。
分岐を右折して登山口に向かった。
標高が1500m過ぎまで下ると樹林帯となり、エゾハルゼミの大合唱の中に入った。3年前にショウキランに出会ったので慎重に観ながら歩いたものの、成果はなかった。

樹林帯で観た花を最後に上げておこう。
ミヤマニガイチゴ(深山苦苺、 Rubus subcrataegifolius、バラ科キイチゴ属の落葉低木)。

ズダヤクシュ(喘息薬種、Tiarella polyphylla 、ユキノシタ科ズダヤクシュ属の多年草)。

ツクバネソウ(衝羽根草、Paris tetraphylla A.Gray 、シュロソウ科ツクバネソウ属の多年草)。


13時16分に林道に面した登山口に到着した。

最後はひたすら林道を歩いて駐車場まで戻った。今日も無事に山を歩けたことに感謝したい。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
花いっぱいの平標山・仙ノ倉山ハイキング (完)
その③では帰路に観た花を中心にご覧いただきたいと思う。
(地図はクリックすると大きくなります。)

ではその②からの続きで、仙ノ倉山の山頂からスタートしよう。
仙ノ倉山(標高2026m)は谷川連峰の最高峰で、山頂から360°の眺めが楽しめる。広い山頂はハイマツ等の低木に囲まれていて、人々が低木に向き合ったり、あるいは低木を背にしたりして、輪を描くように座っていた。
ちょうど一人が立ち上がったので、空いたスペースに腰を下ろした。低木越しに谷川岳(標高1977m)が見えていた。谷川岳と重なって手前に見える山は万太郎山(同1954m)で、いずれも昨年の今ごろに縦走してきた峰々だ。

山頂でパンを一つ食べて10分ほど休み、次のハイカーのために場所を空けた。
仙ノ倉山の山頂から前仙ノ倉山を見る景色も、雄大で素晴しかった。帰路は平標山までは同じ道を通るので、再びお花畑が楽しめる。

前仙ノ倉山に向かう途中にタカネザクラ(別名ミネザクラ;高嶺桜、Cerasus nipponica、バラ科サクラ属の落葉小高木または低木)がまだ咲き残っていた。

前仙ノ倉山に向かう稜線はなだらかで、好きなところだ。一方風が吹くと避けようがないので、怖い気もする。勿論この日はそんな心配は皆無だった。

前仙ノ倉山の標識は、先ほどは団体さんがつかえていて撮れなかったが、帰路は誰もいなかったのでゆっくり撮れた。この標識がないとここが山頂だと気づかないかもしれない。

前仙ノ倉山を過ぎ、右カーブにかかるところから平標山がよく見えた。山頂は広いが、山全体を見るとかなりの傾斜があり、均衡の取れたきれいな山容だ。

赤い標識はマツダランプと呼ばれている。谷川岳の肩ノ小屋から1kmごとに設置されていて、ここまでの距離は10kmとなっていた。付近にアズマシャクナゲやタカネザクラが咲いていた。

ムシカリ(別名オオカメノキ;虫刈、Viburnum furcatum、ガマズミ科ガマズミ属の落葉低木または落葉小高木)も近くで観られた。この山にはそれほど多くないように思う。

登山道脇にミツバオウレンが群生していた。登りでも気づいていたが、団体さんの後に続いていたので撮らなかった花だ。


開き初めで紅色が濃いアズマシャクナゲ。

チングルマ。


ミツバオウレンの群落。

ハクサンイチゲの群落。

ハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ、エチゴキジムシロの群落。

エチゴキジムシロ。


ハクサンイチゲ。

ハクサンコザクラ。

ミネズオウ(峰蘇芳、Loiseleuria procumbens、ツツジ科ミネズオウ属の常緑小低木)。


ハクサンイチゲの蕾。


この花は名前が分からなかった。帰って調べたらクロミノウグイスカグラ(別名ハスカップ;黒実鶯神楽、 Lonicera caerulea var. emphyllocalyx、スイカズラ科スイカズラ属の落葉低木)のようだった。
クロミノウグイスカグラは、日本では北海道を中心に、本州でも中部以北の高山に自生し、北海道では檜山・留萌を除く各地に自生する。本州以南では岩手県の早池峰山、栃木県の戦場ヶ原など、標高の高い地域に自生する。

お花畑でたくさん写真を撮り、最後は木段をゆっくり登って平標山の山頂に戻ってきた。時間は11時30分になっていて、山頂は先ほど来た時以上に混雑していた。
山頂を通り過ぎ、左へ折れて平標山の家の方へ向かった。
数百メートル歩くと左に10人ほどが座れるベンチ群がある。これまでもここで休んでいた。奥に空きがあったので座り、ミックスナッツとドライフルーツを食べた。休んでいる間は靴を脱ぎ乾かすようにしている。そうすることで足指先への負担が軽くなる。15分ほど休んで出発した。
平標山の山頂から平標山の家までは、一直線の下りだ。大半が木段なので歩きやすい。


その木段の脇に小さな青い花を見つけた。通りかかった人がハルリンドウだと教えてくれた。
ハルリンドウの茎葉は少し横に開いているが、タテヤマリンドウの茎葉は開かず茎を抱く。上から観たらよく分からなかった。
帰ってからネットで検索したら、平標山で観られるのはタテヤマリンドウ(立山竜胆、Gentiana thunbergii var. minor 、リンドウ科リンドウ属の越年草)のようだった。


少し進んだところにイワイチョウ(岩銀杏、Nephrophyllidium crista-galli 、ミツガシワ科イワイチョウ属の多年草)も観られた。

イワカガミはたくさん観られたが、この花がきれいだったので撮った。

こちらはワタスゲ(綿菅、Eriophorum vaginatum、カヤツリグサ科ワタスゲ属の多年草)だろうか。


ぽつんとムラサキヤシオツツジ(紫八汐躑躅、 Rhododendron albrechtii、ツツジ科ツツジ属の落葉低木)が咲いていた。

こちらは標高が高いところで観たものとやや違うように見えるが、やはりエチゴキジムシロのようだ。

12時22分に平標山の家のテント場に着いた。山の家で水筒に水を補給した。

山の家の分岐を南進すると三国峠に達する。いずれ歩いてみたい道だが、クマの心配があるので一人で行く気にはなれない。
分岐を右折して登山口に向かった。
標高が1500m過ぎまで下ると樹林帯となり、エゾハルゼミの大合唱の中に入った。3年前にショウキランに出会ったので慎重に観ながら歩いたものの、成果はなかった。

樹林帯で観た花を最後に上げておこう。
ミヤマニガイチゴ(深山苦苺、 Rubus subcrataegifolius、バラ科キイチゴ属の落葉低木)。

ズダヤクシュ(喘息薬種、Tiarella polyphylla 、ユキノシタ科ズダヤクシュ属の多年草)。

ツクバネソウ(衝羽根草、Paris tetraphylla A.Gray 、シュロソウ科ツクバネソウ属の多年草)。


13時16分に林道に面した登山口に到着した。

最後はひたすら林道を歩いて駐車場まで戻った。今日も無事に山を歩けたことに感謝したい。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
花いっぱいの平標山・仙ノ倉山ハイキング (完)
今時期に咲いているなんて、やはり標高を感じます。
写真を撮るのにも、他のハイカーさんが大勢いて
気を使いながら、たくさんの写真見せていただき、
ありがとうございます。
チングルマ
私の中で、高い山に行き、登山をしないと見れない花のイメージなんです。
ハイキングを楽しませてくれていますね
エゾハルゼミ、
大合唱なんて、自然が良い環境なのが分かります。
そして、もう少ししたら、夏が来てセミがなくなぁなんて思いました。
今日も暑そうですが頑張っていきましょう
私の感覚では、ミツバオウレンは夏山に咲く花です。春に咲いているのを長い間知りませんでした。
白山では茎が褐色のミツバノバイカオウレンが多いのですが、この山ではミツバオウレンでした。
チングルマは多くの山で観られます。
この山ではハクサンイチゲなどの草本が多くて、チングルマは遠慮がちに咲いていました。
エゾハルゼミの季節ですね。セミを観ることは少ないですが、あの鳴き声は初夏そのものです。
今日も暑くなりますね。
お元気でお過ごし下さいませ。
昨年もそうだったと、赤いマツダランプで思い出しました。ハクサンイチゲとハクサンコザクラの群落は今年のほうが見事だったのではないでしょうか。
アズマシャクナゲが岩手県にも分布しているとのことなので、ハクサンシャクナゲと決めつけないで、赤が濃い場合は気を付けたいと思います。
固有種や珍種は無いかもしれませんが、種類が多くて大群落が観られる立派な花の百名山ですね。その②の最後は人もいっぱいの写真ですが、仕方ありませんでしたね。
クロミノウグイスカグラでは早池峰山に触れて頂きました。今年も観ていますがハスカップとは知りませんでした。北海道にはこれを原料としたジュースがあったような気がします。
下山に備えて紐を締め直すことはしますが、休む時は靴を脱いで乾かすことはやったことがありません。こんどやってみます。
たくさんのお花、素晴らしい群落を見せて頂きいただき有り難うございます。
平標山は、田中澄江さんが選んだ「花の百名山」や「新・花の百名山」には入っていませんが、その後にNHK BSが選んだ「花の百名山」や、山と渓谷社が選んだ「花の百名山」には入っています。
客観的に見て、この山が「花の百名山」に選ばれるのは当然だと思います。
但し、NHKはキンコウカを、山と渓谷社はムラサキヤシオツツジをこの山を代表する花として選んでいるのは意外です。
私ならハクサンイチゲを選びますが、他の花が選ばれたということは、それだけ花の種類が豊富だということでもあると思い、納得しています。
さて、クロミノウグイスカグラのことです。
北海道に3年間住んでいて、その間にハスカップの味を覚えました。千歳空港近くの原生林にハスカップが自生している所があり、地元の人と取りに行きました。
その年はあまり多く収穫できず残念でしたが、甘酸っぱい味は忘れられません。
ハスカップ入りのソフトクリームも人気で、よく食べました。
ところが花は見たことがなく、今回が初めてでした。
ここまで来るために1000mほど登りますが、登った後は天空の楽園です。
下山したくなくなりますね。