こんにちは 岡本しょういです

京都の南部、和束町で日本共産党の町会議員をしています。町や議会などの情報をお知らせしています。

「過疎計画」の推進は住民主役でこそ

2010-10-19 09:54:14 | 小さくても輝く和束町に!

朝夕の冷え込みが徐々にすすんで、秋らしくはなってきましたが、寒暖の差が激しくて体調の維持が難しいですね。私もこの1週間ほど風邪気味で調子はいま一つ、早く治したいところです。

昨日の「京都新聞」に、「過疎の町どう活性化、和束・自立促進計画決まる」という記事が載りました。
和束町は、この間の急激な少子化とともに、若者の流出、人口減が進み、ついに今年度、国から過疎地域の指定を受けました。

和束での人口減少傾向は、この10年間で急速に進みました。
特に、JRバスの撤退がその大きなきっかけになったように思います。
子どもの生まれる数も、この間大幅に減少し、2005年から2009年までの5年間で、出生数が20人を割った年が3回もありました。
9月議会で2009年度の決算審議がありましたが、09年度における人口動態(出生、死亡、転入、転出を差し引いた数)は、マイナス129人と、この間では大きなマイナスを記録しています。

そういう状況の中で、和束町が過疎地域に指定をされて、今年度から6年間、過疎法に基づく支援を受けられるようになったわけです。
その具体的な中身を決めたのが、「和束町過疎地域自立促進計画」で、9月議会に提案され、承認されました。

具体的な事業名や予算額などの一覧が計画に掲載されているのですが、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、その表を下記に紹介します。


この一覧表を見ると、新聞報道にもありましたが、過疎計画に基づく、総事業費は約37億8000万円で、そのうち過疎債が占める予算は約17億2000万円となっています。

過疎支援の中で、「目玉」と言われるのが「過疎債」です。
借金には変わりないのですが、7割が国負担で、「有利」な借金と言われているものです。
これまでは、「箱もの」と言われがちな施設や、道路整備など「ハード」面に使われるケースがほとんどだったのですが、今回からは観光とか福祉とかの「ソフト」面での活用も認められました。

和束の計画における「過疎債」の使途の割合は以下のような感じです。

教育 5540万円(3.2%) 中学校校舎耐震化
公共施設耐震化 1億円(5.8%) 診療所、福祉センター、保育所など
すこやかエンジェル基金 3000万円(1.7%)子どもの医療費無料化
国保診療所改築 1億5000万円(8.7%)
公営住宅整備 3850万円(2.2%)
防災無線整備 4億2820万円(24.8%)
下水道整備 5110万円(2.96%)
簡易水道整備 6000万円(3.5%)
バス路線維持 4140万円(2.4%)
光ファイバー整備 4億8000万円(28%)
橋改修 1億1740万円(6.8%)老朽化した橋梁改修
観光振興 1億4610万円(8.5%)
地場産業振興 300万円(0.18%)
農業基盤整備 2560万円(1.5%)

防災無線と光ファイバー整備で、約半分を占めていますが、この事業は最終年度の2015年度まで見越した事業になりそうです。
防災無線は、今後、整備に向けた調査等を実施した上での事業であることや、光ファイバーについては、民間会社の整備を最後まで見極めての実施になりそうです。どちらも本来は整備が急がれるものですが、過疎債はいくら「有利」とはいえ、借金であることに変わりない事から、慎重な扱いになっているようです。

私は、9月議会の審議で、特に防災無線の整備は急がれるという観点で質問しました。
というのも、来年7月に迫った地デジへの移行にともない、町営放送も終了する見込みであることからです。
町営放送は、有線という限界はありつつ、町における災害情報などを周知・広報する重要な役割を担っています。しかし地デジに対応できない事から、町は放送の終了を予定しているんです。そうなると、ローカルな情報がなかなか入りにくい状況になる事から、最低でも防災無線の整備が望まれます。
本来なら、町営放送の終了と同時に、防災無線がスタートできるように整備するのが必要ではないか、と早急に整備を行うよう求めたわけです。
必要な調査など、簡単なものではないのはわからないわけではありませんが、災害が多発している昨今、いつ災害が襲うかわからないだけに、無線整備までの万全な対策が求められるところです。

「大口」である2つの事業の他で、目立つのが「観光振興」関係です。
新聞記事でも、その関係の事が大きく取り上げられていました。
観光振興関係の事業で予算が大きい順にあげてみると・・・
・観光ルート、文化財周辺整備 5000万円
・観光案内施設設置 3500万円
・農家民宿開設事業 1360万円
・和束フィールドクリニック構想 1000万円
・天空茶カフェモニュメント設置 1000万円

などがあります。この他にも、空家調査や観光ガイド養成なども予定されています。
町は、この間、グリンティ和束に設置してきた和束茶カフェを中心とした「観光振興」の取り組みを、過疎事業をテコにして、さらに充実させたいねらいがあるようです。
観光の振興については、以前、私も一般質問で取り上げるなど、抜本的な取り組みの強化を要望してきましたし、過疎事業を力に、さらに発展してほしいと願っています。
ただ、そのためには、新聞記事でも触れられていましたが、観光振興も含め、過疎計画のとりくみを、どれだけ住民自身のとりくみとして発展させていけるかにかかっていると思います。
新聞記事の中で町長が「各事業を進めるためには住民の協力が不可欠。課題を整理し、理解を求めていきたい」と述べた事が紹介されていましたが、そこが一番弱いところだと言えます。

過疎計画の「基本方針」にも、まちづくりを「住民と行政が一体となって築くことを基本とする」との文言があります。しかしこの計画が住民の声をくみ上げて作られたとは言えません。実際、計画の中身自身が、住民に公開されないまま議会に提案され、今なお住民に公表されていません。
私は議会審議の中で、「計画の中身が住民に公表されておらず、住民の意見をくみ上げるとりくみがなされていない。パブリックコメント(計画を公表し、事前に意見を募集すること)などは出来たはずであり、出発点から住民不在」と指摘し、今後、計画の内容を住民に伝え、意見を反映させ、共通認識にしていく作業が必要だとして、情報公開や地域懇談会開催などを具体的に提起しました。
町は、時間的な制限を理由に公表や意見募集ができなかったと答えましたが、計画案は7月にはできており、その気があれば十分できた事は明白です。

「住民の協力が不可欠」というなら、計画をつくる段階から住民参加を保障し、内容を周知・広報する事が前提ではないかと思います。

私は、9月議会の審議の中で、それらの点を指摘するとともに、次のような意見を出しました。

・観光振興は大事ではあるが、その土台である農業、茶業そのものの振興に対するとりくみが弱いのではないか。担い手、後継者対策など、農茶業そのものへの支援こそ強化すべきではないか。
・「天空茶カフェモニュメント」なるものに1000万円もかけるのはいかがか。見直すべきでは。
・公共交通の充実と言う点で、現行路線維持がメインとなっているのはどうか。コミュニティバス実現の好機であり、その点での道筋こそつけるべき。
・特に若者定住促進を目的とした公営住宅の整備を。
・子育て支援と言う点で、子どもの医療費無料化の拡充は前進だが、他に、ゼロ歳児保育の実施も触れられているが実施時期は。(→次世代育成計画の期間内でと答弁)

他にもいろいろと聞きたかったのですが、質問時間が短く、十分聞けませんでした。
今回承認された計画は、様々な状況を考えつつ、変更もありうるとの事ですので、それだけに、一刻も早く住民に中身を知らせ、住民の知恵を出し合い、さらに良いものにしていく事が今後大事だと思います。

議会でも指摘しましたが、この計画が「自立を促進するための計画」である点が大切です。
単にこれまで出来なかった事を補うのではなく、1つ1つの事業が、過疎傾向をとめ、まちづくりを進める力になる事が求められています。
そのためにも、「住民の協力」というよりも、「住民が主人公」となった取り組みへの発展が求められているように感じます。


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