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伊東良徳の超乱読読書日記

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おまえの罪を自白しろ

2023-10-21 22:16:30 | 小説
 埼玉県内の橋の建設予定地が変更され総理のお友達が経営する会社が持つ計画変更前は1億円の評価だった土地が8億円で買い上げられ、元建設官僚で埼玉県内の公共事業を牛耳っていると言われる6期目の衆議院議員宇田清治郎がそれを差配したとの疑惑が報じられる中、その長女緒形麻由美の3歳の娘柚葉が誘拐され、犯人から宇田清治郎のサイトに匿名化ソフトを用いて、明日の午後5時までに会見を開いておまえの罪を自白しろという要求が書き込まれたという設定のサスペンス小説。
 テーマ設定から当然に予想されるように、政治家とその家族の生活の過酷さ、政治の世界の冷酷さと打算と駆け引きが描かれ、そこが読みどころとなっています。
 青年期から父に反発し政治の世界から逃れて起業したが失敗し破産状態で父に救われて父の秘書となって5か月の次男宇田晄司が主人公という位置づけで書かれています。この宇田晄司が、序盤では感情的で小粒な人物と見えるのに、事件の途上でさまざまな相手とやりとりする中で大胆になり深読みをするようになってわずかな期間に急速に政治家らしくなっていくことに、感嘆するか、無理があると感じるかが、評価を分けそうです。
 犯人は、名前だけは冒頭から明らかにされているのですが、それが何者で犯行の動機は何かは伏せられ、その正体と動機はまったく意外でしたが、それが気に入るかどうかも読者それぞれでしょうね。


真保裕一 文藝春秋 2019年4月15日発行

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