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伊東良徳の超乱読読書日記

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海の底

2025-03-27 23:45:40 | 小説
 海上自衛隊の潜水艦「きりしお」で実習中の夏木大和と冬原春臣が、巨大ザリガニの大群の襲撃を受けて横須賀基地の春祭りに来ていた子どもたちを逃がしきれずに「きりしお」内に籠城することとなり、救助を待ちつつ子どもたちの不満と離反対立に悩まされ…という展開の小説。
 映画を見た関係で、「レインツリーの国」、「植物図鑑」から入った私には、作者はふつうにラブコメの人と思っていたのですが、デビューの頃は、こういう怪獣をネタに自衛隊を賛美する「社会派」(解説者がそう書いている)の小説を書いていたと知り、意外に思いました。きっと、「ウルトラマン」などで科学特捜隊がウルトラマンの引き立て役に終始しているのを「悔しい」とか思って見ていた人なんでしょうね。その鬱屈を吐き出すような終盤にカタルシスがありますが、それまではむしろ自衛隊に防衛出動をさせない政治家や官僚への批判がメインで、自衛隊を違憲だなどという勢力は存在も許されない感じです(登場もしないのは、論外というか眼中にもないということなんでしょう)。


有川浩 角川文庫 2009年4月25日発行(単行本は2005年6月)

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