高校卒業まで垢抜けない赤いフレームのメガネをかけていたためか男に縁のなかった短大卒の保育士向井すぐりと、イケメンだが父親の愛に恵まれず家族関係も悪く人付き合いが苦手なケーブルテレビ局営業担当の高萩草介の、奥手な2人の初心で不器用な関係を描いた恋愛小説。
父親とのギスギスした関係の過去を引きずり、浮気性の母親ともしっくりといかず、すねて逸脱に走る弟とも疎遠になり、すぐりとつきあいながらも内向きになり家族や過去への質問に苛立ち時としていっぱいいっぱいになってすぐりを置いて立ち去る草介と、草介の家族や過去に踏み込んでは後悔しつつ草介の逃走や苛立ちをがまんできないすぐりの、若さ、未熟さが甘酸っぱくもみずみずしい。傍目からはこう進んだらダメだねとは思うものの、20代前半のころの自分を振り返っても、そこまでの寛容や視野を求めるのは無理な話。初心な時代の葛藤や精一杯さ加減を思い出させてくれるお話でした。
すぐりが話者の章と草介が話者の章が交互に繰り返され、それは読めばわかるのだけど、イラストのマークで話者が示されていて視覚的にもわかりやすい。同じ場面が相手方の立場から振り返られ、思惑のズレが描かれるのが、こういう恋愛小説では効果的に感じられます。すぐりを抱きたくなってラブホに誘おうと展開を夢想する草介がすぐりの買い物の様子を見てその気がないと判断して自分で萎えてすねて立ち去る場面(146~147ページ、181~183ページ)など、男と女のすれ違いとしていかにもありそうな感じで恥ずかしい。必ずしも男だからこう、女だからこうという話じゃないはずではあるんですが・・・

はらだみずき 祥伝社 2012年9月10日発行
父親とのギスギスした関係の過去を引きずり、浮気性の母親ともしっくりといかず、すねて逸脱に走る弟とも疎遠になり、すぐりとつきあいながらも内向きになり家族や過去への質問に苛立ち時としていっぱいいっぱいになってすぐりを置いて立ち去る草介と、草介の家族や過去に踏み込んでは後悔しつつ草介の逃走や苛立ちをがまんできないすぐりの、若さ、未熟さが甘酸っぱくもみずみずしい。傍目からはこう進んだらダメだねとは思うものの、20代前半のころの自分を振り返っても、そこまでの寛容や視野を求めるのは無理な話。初心な時代の葛藤や精一杯さ加減を思い出させてくれるお話でした。
すぐりが話者の章と草介が話者の章が交互に繰り返され、それは読めばわかるのだけど、イラストのマークで話者が示されていて視覚的にもわかりやすい。同じ場面が相手方の立場から振り返られ、思惑のズレが描かれるのが、こういう恋愛小説では効果的に感じられます。すぐりを抱きたくなってラブホに誘おうと展開を夢想する草介がすぐりの買い物の様子を見てその気がないと判断して自分で萎えてすねて立ち去る場面(146~147ページ、181~183ページ)など、男と女のすれ違いとしていかにもありそうな感じで恥ずかしい。必ずしも男だからこう、女だからこうという話じゃないはずではあるんですが・・・

はらだみずき 祥伝社 2012年9月10日発行