歌声合成ソフトVOCALOIDにより作成されネット上に発信された新たな音楽・ビデオ作品群が引き起こしたブームを、音楽ビジネスにつなげる観点から主として音楽産業業界に向けて紹介した本。経過と現状についての解説文と関係者のインタビューで構成されています。
初音ミクで有名になったボーカロイド自体は、バーチャルアイドルではなく、特定の人の声を音源としたハードで言えばシンセサイザーのようなものをパソコン上キー打ち込みで歌唱ファイルにするソフトで、2003年にヤマハが発売していました。ボーカロイド(ボカロ)の流行・熱狂は、2007年のヤマハのVOCALOID2発売後これにキャラクターを結びつけた初音ミクの発売、その発表の場として投稿動画に視聴者がコメントをつけられるニコニコ動画のサービス開始が重なり、投稿動画でブームとなったところに、手軽に3DCGを作成できる=初音ミクを歌に合わせて踊らせることができるソフトMikuMikuDance(ミクミクダンス)が無償配布されたことで火が付くという経過をたどりました。これらのソフトと場の組み合わせでユーザーが作詞作曲した歌が歌唱とさらにはダンス付きの動画として発表され、その一部だけが得意な者はその部分を公開して他のユーザーが改良を加えて行き、ネット上の評価・賞賛を受けて作品の質を高め人々に共有されていく、そういう過程を経て作品と才能が認知され評価されてきたわけです。この本は、それをビジネス化することを目的とするものです。
こういうケースのように、趣味として労力を惜しみなく注いで作られた作品やソフトを無償で提供するそれこそ「神」のような人格者と、そういった人々の成果を使って儲けようとする人々のせめぎ合いが、特にネットをめぐっては度々見られます。ビジネス化によって、著作権ビジネスで人の労力に乗っかって儲ける人々だけでなく、作者やユーザーにもメリットになることもあるので簡単ではありませんが、いつも複雑な、やや不快な、思いを持ってしまいます。

スタジオ・ハードデラックス編 PHP研究所 2011年4月1日発行
初音ミクで有名になったボーカロイド自体は、バーチャルアイドルではなく、特定の人の声を音源としたハードで言えばシンセサイザーのようなものをパソコン上キー打ち込みで歌唱ファイルにするソフトで、2003年にヤマハが発売していました。ボーカロイド(ボカロ)の流行・熱狂は、2007年のヤマハのVOCALOID2発売後これにキャラクターを結びつけた初音ミクの発売、その発表の場として投稿動画に視聴者がコメントをつけられるニコニコ動画のサービス開始が重なり、投稿動画でブームとなったところに、手軽に3DCGを作成できる=初音ミクを歌に合わせて踊らせることができるソフトMikuMikuDance(ミクミクダンス)が無償配布されたことで火が付くという経過をたどりました。これらのソフトと場の組み合わせでユーザーが作詞作曲した歌が歌唱とさらにはダンス付きの動画として発表され、その一部だけが得意な者はその部分を公開して他のユーザーが改良を加えて行き、ネット上の評価・賞賛を受けて作品の質を高め人々に共有されていく、そういう過程を経て作品と才能が認知され評価されてきたわけです。この本は、それをビジネス化することを目的とするものです。
こういうケースのように、趣味として労力を惜しみなく注いで作られた作品やソフトを無償で提供するそれこそ「神」のような人格者と、そういった人々の成果を使って儲けようとする人々のせめぎ合いが、特にネットをめぐっては度々見られます。ビジネス化によって、著作権ビジネスで人の労力に乗っかって儲ける人々だけでなく、作者やユーザーにもメリットになることもあるので簡単ではありませんが、いつも複雑な、やや不快な、思いを持ってしまいます。

スタジオ・ハードデラックス編 PHP研究所 2011年4月1日発行