伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

誰も死なない恋愛小説

2011-09-26 21:34:13 | 小説
 夏のシーズンを山頂小屋で勤めて海外に貧乏旅行するカップル、大工と交際する施主の娘、男を渡り歩く19歳の学生、恋人の友人と芝生でHしてしまうデザイナー、旅行先のモロッコで置き去りにして出て行った男を追って砂漠に向かう女、海底トンネル内で迷い込んだ幻想的な部屋に住み着く女、別れ話をされて仕事を辞めてタイに長期滞在し太平洋を見たかったというブラジル人男を連れ帰る女、バスルームで男に体を洗われ続ける女、恋人とけんか別れしたが乗馬クラブから逃げた馬を追ううちに恋人との思い出に浸り考え直す女、マンションの4階までフリークライミングで登ってくるストーカーファンを受け入れるグラビアアイドル、一人客に思いを寄せる旅館の仲居らの、ある場面での恋愛の予感・思い・思い直しなどの心情を綴った短編小説集。
 様々な女のちょっとした非日常ないし現実感の希薄な日常の中で、若干の展開なり流れの後で、それでも自分の行き先を再確認するというあたりが、何となく共通点でしょうか。どの話も、弾むほど浮かれず多少の悲哀・感傷は気に病まず自己肯定感で締めている着実な感じの前向きさ加減がホッとします。短編集にありがちな雑多なまとまりのなさ、中途半端な展開で放り出される感じも残りますが。


藤代冥砂 幻冬舎文庫 2011年6月10日発行 (単行本は2007年)
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