元ACミラン監督で現在チェルシー監督のカルロ・アンチェロッティへのインタビューをまとめた本。
南アワールドカップも近づいたことだし、久しぶりにサッカー感覚を取り戻すためにもと読みました。
「ボールポゼッションの最も大きなデメリットは、パスをつないでボールを保持し続けることの必然的な結果として、チームの組織的なバランスが崩れることだ」「ボールポゼッションが行き詰まって足が止まるような場合、ボールを奪われた時には守備の人数が足りないという状況も容易に起こり得る」「動きのないスローなボールポゼッションは、シュートにつながる局面を作り出すという本来の目的を逸脱するばかりか、逆にその目的にとって不利な非生産的状況を作り出してしまうのだ」(44~45ページ)。私たちには、まるで日本代表のためにあるかのような文章ですが、日本代表だけの問題じゃなくてテンポの遅いパス回しは必然的にそういう状況を呼び込むものなんですね。
素人目には4-4-2と4-3-1-2がそんなに違うとは思わなかったのですが、スペースやバランスを考えると大きな違いが生じ、システムそのものの優劣では決まらず保有する選手によってどのシステムが有利かが変わってくることもわかりやすく書かれています。
また、具体的な試合や局面を解説した部分も、興味深く読めます。
でも、読んで一番の驚きは、「はじめに」に書いてある「戦術や采配、チームマネジメントといったテーマを監督自らが取り上げた本は、イタリアにはまったく見当たらない」(9ページ)、イタリア人は毎週の試合の結果にしか興味を持たないとかいうことかも(日本でも試合の結果とゴールシーンにしか興味を持たないファンも多いみたいですけど)。

カルロ・アンチェロッティ、片野道郎 河出書房新社 2010年5月30日発行
南アワールドカップも近づいたことだし、久しぶりにサッカー感覚を取り戻すためにもと読みました。
「ボールポゼッションの最も大きなデメリットは、パスをつないでボールを保持し続けることの必然的な結果として、チームの組織的なバランスが崩れることだ」「ボールポゼッションが行き詰まって足が止まるような場合、ボールを奪われた時には守備の人数が足りないという状況も容易に起こり得る」「動きのないスローなボールポゼッションは、シュートにつながる局面を作り出すという本来の目的を逸脱するばかりか、逆にその目的にとって不利な非生産的状況を作り出してしまうのだ」(44~45ページ)。私たちには、まるで日本代表のためにあるかのような文章ですが、日本代表だけの問題じゃなくてテンポの遅いパス回しは必然的にそういう状況を呼び込むものなんですね。
素人目には4-4-2と4-3-1-2がそんなに違うとは思わなかったのですが、スペースやバランスを考えると大きな違いが生じ、システムそのものの優劣では決まらず保有する選手によってどのシステムが有利かが変わってくることもわかりやすく書かれています。
また、具体的な試合や局面を解説した部分も、興味深く読めます。
でも、読んで一番の驚きは、「はじめに」に書いてある「戦術や采配、チームマネジメントといったテーマを監督自らが取り上げた本は、イタリアにはまったく見当たらない」(9ページ)、イタリア人は毎週の試合の結果にしか興味を持たないとかいうことかも(日本でも試合の結果とゴールシーンにしか興味を持たないファンも多いみたいですけど)。

カルロ・アンチェロッティ、片野道郎 河出書房新社 2010年5月30日発行