美術史の教科書。前半が西洋美術、後半が日本美術についての歴史をかなりコンパクトに記述しています。
各時代の美術の特色を軽くまとめてあとは画家等の名前の羅列で、それぞれの画家等の作品はよくて1つか2つ、多くの者は名前だけで作品のタイトルも図版もなしです。列挙されている画家等の共通点もまた違いも今ひとつ実感できません。どちらかというと美術用語と概念の学習という感じです。絵は好きな方なんですが、やはり眠たくなりました。
歴史を述べる中で、絵画マーケットの拡大について触れた箇所があり、それを述べるのなら各時代のマーケットの状況と変遷に触れてくれたらきっと美術史的に面白いと思いましたが、触れているのは西洋画での16~17世紀のオランダでの富裕な市民による絵画マーケットの拡大(48頁)と日本画での室町時代後期の町衆による絵画マーケットの拡大(174頁)による狩野派の繁栄だけです。17世紀オランダ絵画の隆盛が昨今人気のフェルメールやレンブラントを始め現在日本で有名でなくても数々のすばらしい絵を生み出したことは事実ですが、マーケットの拡大という商業主義的な印象は、むしろ同時代のフランドル(ベルギー)で活躍したルーベンスの工房の絵画量産体制の方が当てはまるように思えます。そういう点も取り扱うのなら体系的に書いてくれるといいと思うのですが。
美術検定実行委員会編 美術出版社 2008年8月15日発行
各時代の美術の特色を軽くまとめてあとは画家等の名前の羅列で、それぞれの画家等の作品はよくて1つか2つ、多くの者は名前だけで作品のタイトルも図版もなしです。列挙されている画家等の共通点もまた違いも今ひとつ実感できません。どちらかというと美術用語と概念の学習という感じです。絵は好きな方なんですが、やはり眠たくなりました。
歴史を述べる中で、絵画マーケットの拡大について触れた箇所があり、それを述べるのなら各時代のマーケットの状況と変遷に触れてくれたらきっと美術史的に面白いと思いましたが、触れているのは西洋画での16~17世紀のオランダでの富裕な市民による絵画マーケットの拡大(48頁)と日本画での室町時代後期の町衆による絵画マーケットの拡大(174頁)による狩野派の繁栄だけです。17世紀オランダ絵画の隆盛が昨今人気のフェルメールやレンブラントを始め現在日本で有名でなくても数々のすばらしい絵を生み出したことは事実ですが、マーケットの拡大という商業主義的な印象は、むしろ同時代のフランドル(ベルギー)で活躍したルーベンスの工房の絵画量産体制の方が当てはまるように思えます。そういう点も取り扱うのなら体系的に書いてくれるといいと思うのですが。
美術検定実行委員会編 美術出版社 2008年8月15日発行