闇の力と結託した兄ウィカンデルに滅ぼされた穏健王トアルントと古の民シリリムの血を引く王妃ヴァーニアの間に生まれた忘れ形見の双子トウィクスとエルギルが、太古の森に匿われて育てられた少年時代を経て、過去と自分の素性を知り、冒険の旅を続けながら仲間を得、成長し、力をつけながらウィカンデルの居城にたどり着き闇の支配を終わらせるまでを描いたファンタジー。3部作の第1巻ですが、「続く」の体裁ではなく完結しています。
主人公の双子は、実は1人の体の中に2人の魂・人格が共存しています。そしてシリリムは透視・予知、さらには時間を操る(相手を若返らせたり老いさせたり、生き返らせたり・・・)等の不思議な力を持ち、双子はこの力を受け継いでいます。
この「双子」の王子が、大部分をウィカンデルが支配し、また別の異形の敵が襲い、猛獣や本来は人間を襲わないのに闇の支配により凶暴化した怪物たちが襲い来る中を冒険の旅を続け、師や仲間を得、武器を得、不思議な力に習熟しながら適地に迫っていくというアドベンチャー系のファンタジーの典型的なストーリーをたどっていきます。そういう意味ではなんかどこかで見たような気もしますが、舞台・生き物等の設定がきちんと書き込まれていて飽きません。
登場人物に型破りのスケール感・存在感がある人がいないのがちょっと物足りない感じがしますが、主人公自身が性格の違う2人の共存という設定のためその争いと和解・協力という経過の方に目が行きますので、そう気になりません。
ファンタジー好きには、また新たな良質の読み物が登場したと評価できるでしょう。
原題:Die Chroniken von Mirad : Das gespiegelte Herz
ラルフ・イーザウ 訳:酒寄進一
あすなろ書房 2008年7月15日発行 (原作は2005年)
主人公の双子は、実は1人の体の中に2人の魂・人格が共存しています。そしてシリリムは透視・予知、さらには時間を操る(相手を若返らせたり老いさせたり、生き返らせたり・・・)等の不思議な力を持ち、双子はこの力を受け継いでいます。
この「双子」の王子が、大部分をウィカンデルが支配し、また別の異形の敵が襲い、猛獣や本来は人間を襲わないのに闇の支配により凶暴化した怪物たちが襲い来る中を冒険の旅を続け、師や仲間を得、武器を得、不思議な力に習熟しながら適地に迫っていくというアドベンチャー系のファンタジーの典型的なストーリーをたどっていきます。そういう意味ではなんかどこかで見たような気もしますが、舞台・生き物等の設定がきちんと書き込まれていて飽きません。
登場人物に型破りのスケール感・存在感がある人がいないのがちょっと物足りない感じがしますが、主人公自身が性格の違う2人の共存という設定のためその争いと和解・協力という経過の方に目が行きますので、そう気になりません。
ファンタジー好きには、また新たな良質の読み物が登場したと評価できるでしょう。
原題:Die Chroniken von Mirad : Das gespiegelte Herz
ラルフ・イーザウ 訳:酒寄進一
あすなろ書房 2008年7月15日発行 (原作は2005年)