ル=グウィンの最新のファンタジーです。「西のはての年代記」3巻シリーズの第1巻として書かれた「ギフト」は、一族の血統で決まった超能力というか魔法(ギフト)を引き継ぐ者たちの住む「高地」に生まれた若者オレックとグライの物語です。「もどし」と呼ばれる、生物を破壊(殺害)するギフトを受け継ぐカスプロマント族に生まれたオレックは、自らの意志で自由にギフトを用いることができません。ある日自分で用いるつもりがないのに目の前でまむしや犬が破壊され、オレックはギフトを自分でコントロールできない「荒ぶる目」とされ、まわりの人を誤って破壊しないように目隠しをして生活することになります。そんなオレックに幼なじみのグライが寄り添い、励まします。オレックは、自分はギフトをコントロールできないのか、そもそもギフトは本当にあるのかと悩み続けます。母の死亡後、オレックは目隠しを捨て、父の死亡後、ギフトを持たない低地人の世界でグライと共に生きていくことを決意します。
少なくとも、第1巻の「ギフト」は超能力ないし魔法を使った大立ち回りや冒険のシーンはほとんどありません。冒険ものとかファンタジーというよりも、持ちたくもない超能力や血筋を受け継がされた若者が、その重荷に苦しみ、それを捨てて・関係なく生きていこうと決意する青春小説として読んだ方がフィットするように思えます。家業を継ぐことを期待されている子どもの話というか・・・。
オレックとグライの関係も爽やかです。グライは、物言いは素っ気ないんですが、けっこう一途にオレックを思い続け、支えています。オレックが目隠しをして生活すると聞いて、自分も丸一日目隠しをして過ごしてみた(189頁)なんてあたり、ちょっと胸きゅんしてしまいました。そのあたりの描き方、EARTHSEA BOOKS (日本語版は「ゲド戦記」)で4巻以降フェミニストに転じたはずのル=グウィンにしては、フェミニズム志向は見えませんね。
このシリーズもEARTHSEA BOOKSと同様、THE CHRONICLE OF THE WESTERN SHOREとされていて、WESTERN SHORE(西海岸)という場所のシリーズと設定されていて、2巻以降では別の主人公が予定されているようです(訳者あとがき)。見返しにつけられている地図も、超能力を持つ人々が住む「高地」は北東の端ですから、2巻以降は別の地域が舞台と予測され、超能力以外の話になるかも知れません。2巻 Voice は、原書が2006年9月、日本語版が2007年刊行と予告されています。たぶん、2巻以降も地味めのファンタジーではないかと予測されますが、その方がいいかも。「ゲド戦記」1巻~3巻の再現を期待して読む人には、肩すかしでしょうね。

原題:Gifts
アーシュラ・K・ル=グウィン 訳:谷垣暁美
河出書房新社 2006年6月30日発行 (原書は2004年)
少なくとも、第1巻の「ギフト」は超能力ないし魔法を使った大立ち回りや冒険のシーンはほとんどありません。冒険ものとかファンタジーというよりも、持ちたくもない超能力や血筋を受け継がされた若者が、その重荷に苦しみ、それを捨てて・関係なく生きていこうと決意する青春小説として読んだ方がフィットするように思えます。家業を継ぐことを期待されている子どもの話というか・・・。
オレックとグライの関係も爽やかです。グライは、物言いは素っ気ないんですが、けっこう一途にオレックを思い続け、支えています。オレックが目隠しをして生活すると聞いて、自分も丸一日目隠しをして過ごしてみた(189頁)なんてあたり、ちょっと胸きゅんしてしまいました。そのあたりの描き方、EARTHSEA BOOKS (日本語版は「ゲド戦記」)で4巻以降フェミニストに転じたはずのル=グウィンにしては、フェミニズム志向は見えませんね。
このシリーズもEARTHSEA BOOKSと同様、THE CHRONICLE OF THE WESTERN SHOREとされていて、WESTERN SHORE(西海岸)という場所のシリーズと設定されていて、2巻以降では別の主人公が予定されているようです(訳者あとがき)。見返しにつけられている地図も、超能力を持つ人々が住む「高地」は北東の端ですから、2巻以降は別の地域が舞台と予測され、超能力以外の話になるかも知れません。2巻 Voice は、原書が2006年9月、日本語版が2007年刊行と予告されています。たぶん、2巻以降も地味めのファンタジーではないかと予測されますが、その方がいいかも。「ゲド戦記」1巻~3巻の再現を期待して読む人には、肩すかしでしょうね。

原題:Gifts
アーシュラ・K・ル=グウィン 訳:谷垣暁美
河出書房新社 2006年6月30日発行 (原書は2004年)