紫蘇の効用

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歌舞伎座✩仮名手本忠臣蔵

2013年12月24日 | 歌舞伎

クリスマスイブ恒例の歌舞伎でございます。
通し狂言 仮名手本忠臣蔵の昼の部を母上さまと観劇。

大 序 鶴ヶ岡社頭兜改めの場
三段目 足利館門前進物の場
  同  松の間刃傷の場
 塩冶判官:尾上 菊之助
 桃井若狭之助:市川 染五郎
 足利直義:坂東 巳之助
 顔世御前:中村 七之助
 高師直:市川 海老蔵

四段目 扇ヶ谷塩冶判官切腹の場
  同  表門城明渡しの場
 大星由良之助:松本 幸四郎
 塩冶判官:尾上 菊之助
 顔世御前:中村 七之助
 赤垣源蔵:坂東 亀三郎
 竹森喜多八:尾上 松也
 矢間重太郎:市村 竹松
 富森助右衛門:大谷 廣太郎
 奥田定右衛門:澤村 宗之助
 大星力弥:尾上 右近
 斧九太夫:松本 錦吾
 薬師寺次郎左衛門:片岡 亀蔵
 原郷右衛門:大谷 友右衛門
 石堂右馬之丞:市川 染五郎

浄瑠璃 道行旅路の花聟
 腰元おかる:坂東 玉三郎
 鷺坂伴内:河原崎 権十郎
 早野勘平:市川 海老蔵

11月の同演目重鎮バージョンと打って変わって、若手が中心に配役された今月。
幸四郎さんや玉様というがっつり締めてくれる大御所俳優はいるものの、師直役だった三津五郎さんの病気休演により海老様が配役されて、より若い忠臣蔵。
昨年、演舞場で花形歌舞伎とうたって、この世代での忠臣蔵を観たときも「世代の波」に感慨深かったけど、歌舞伎座で、オンシーズンで、忠臣蔵の大役をやるとは。
そしてチケットもチョっぱやで売れたそうだし。
ん~、時代は流れてるのぉ。

―鶴ヶ岡社頭兜改めの場―
儀式的幕開きから役者一人一人に魂が入り物語の始まり。
若いうちって、やはり顔が細いのかな?
役と実年齢は近いけど、なんだか顔の細さで重みの足りなさを感じる。。。
菊ちゃんはちょっとふっくらしてるケド
でもそのふっくらした感じに卵色の素襖が美しい。

お席は2列目センターだったので、舞台上のマテリアルもはっきり確認できちゃう。
兜改めでは新田義貞の兜以外は質素な造りに見える(見せてる)のですが、渋いながら、以外に立派じゃんと思いました。
そんな小さな発見を楽しめるのも2ヶ月忠臣蔵が続いたからこそ、かも。

さて、いろんな意見が聞こえた海老様の師直。
この若さと初役というハンデがあるにしろ、荒事成田屋の大きいトコ見せてほしいなー。
いろんな評があるのもなるほど、と思える個性的な出来。
顔はこしらえたというよりメイクって感じはするけど、うまく老け顔作ってる(デビルっぽいんだけど)
好色ジジィはABIKAIでもやってるんで想像範囲だったけど、やはり注目させるとは、持ってる人だと思います。
しかし、見得で舌をべーと出すのは他の師直、あったっけ?
なんか松葉目モノの妖怪みたい・・・

染ちゃんの若狭之助は血気盛んというよりジワジワ怒りを染み出すタイプ。
この中では年が上だからかな、若さゆえ~の勢いのプッツンじゃなくて、ジワ~っとしてたなー。

―足利館門前進物の場―
功一さんの脚の長さが気になる一場でした。

―松の間刃傷の場―
くるくる巻きになった畳をぱぁ~も大成功で、いよいよあの松の廊下でございます。
師直、腹立ちをイヤミに変えてるという感じじゃなくて、イジメっ子が楽しんでるみたい。
菊ちゃん判官は以前より「ぐぬぬ」感が増してて、沸騰しそうな雰囲気で刃傷に及んでいたように見えました。
師直を切りつけたあと大勢に押さえられたとこの形も良いわー。


ここで、休憩。
新開場後の歌舞伎座でまだ食堂を利用したことなかったので、今回の幕間は3階の花籠を予約しました。
おかずがたくさん花車膳
  お吸い物の湯葉に鳳凰


―扇ヶ谷塩冶判官切腹の場―
幸四郎さん苦手の母上さまは「また何言ってるかわかんないんじゃなーい?」と心配してたけど、大丈夫だった。というか、やはり若手の中での由良之助はでっけぇ。
染ちゃんはこの場では切腹を申し渡す勅使役。
んー、若狭之助との二役だと、「あなたが事件の発端なのに・・・」と突っ込みたくなる。
それを言っちゃあ先月だって左團次さんがこの勅使役で、師直のあとだったけど、すごいキャラ変えてたからなー。
もう一人の勅使、亀蔵さんの土足で踏みにじる感がうまい。

この場で由良之助に詰め寄る家来が富森助右衛門、奥田定右衛門の他は先月の役名とは別の侍で、赤垣源蔵、竹森喜多八、矢間重太郎となってます。

ちなみに先月は矢間重太郎、岡野新右衛門、織部安兵衛、木村岡右衛門、小汐田又之丞、大鷲文吾(←タカがワシに)と、先月のほうが有名人をもじった人々。
ここも若手故の配分なのかな?
亀三郎くんが、列座の先頭に前進してました。

―表門城明渡しの場―
城明け渡しを阻止する家来と、由良之助の意を汲んで若党を抑える家来の押し問答が花道で繰り広げられるシーン、大勢の声、響くなー。しみるなー。

そして由良之助が判官の切腹した刀の血を舐め復讐を心に刻むとこ、團十郎バージョンは刀の血を舐めたあと、何かが憑依した感じがして印象強かったのですが、幸四郎バージョンはここから冷静に作戦を練るぞー、みたいに感じました。

そしてお城から遠ざかるのは装置が奥に引っ込むほうのパターンでした。

―道行―
玉様がまた襟元にマイ照明(女優ライト)を仕込んでるのかと思うくらい美しい。

後ろのお席の方が
「本物の女の人みたいねー」
ふむふむ。同意。

しばらくして
「女の人のほうがだいぶ年上みたいねー」
ふむふむ。そだね。

ついつい漏れちゃってる感想は微笑ましい。
しかしなー、最近の歌舞伎座は芝居と関係ないお喋りをしてる人が多いような気がス。
今日も電車遅延の理由をずっと話してる人とかガムを買ってくるのを忘れたとか、地声で話してるから、みんなそっちを見てるしー。

好色ジジィ師直から色にふけった勘平になりかわった海老様。玉さまと並んでもひけを取らない輝きですが、もう少し太ったほうがもっと綺麗なんじゃないかな、と思います。
ジムで鍛えすぎじゃ?ジム行くより義太夫のお稽古に行く比率を増やしては・・・?

最後、花道より鷺坂伴内へ「ばかめぇ」と愚弄するところ、以前に菊ちゃんと道行で演ったとき、あまりにもアホっぽくてぶっ飛んだけど、まぁマシになった。 
ん~、時代は流れてるのぉ。

年末を年末らしく歌舞伎おさめしました。


歌舞伎座新開場柿葺落十二月大歌舞伎
平成25年12月1日(日)~25日(水)
歌舞伎座



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