世界のLRT鑑賞会に出席しました

 昨日は民家の見学の後、建築士会静岡支部まちづくり委員会主催の「世界のLRT鑑賞会」にいってきました。LRTとはLight Rail Transitの略で、近年、欧米を中心とする各都市において都市内の道路交通渋滞緩和と環境問題の解消を図るために導入が進められている新しい交通システムです。いわゆる路面電車の形態をとるのですが、従来の「遅い、ゆれる」 といった欠点が解消されています。今回の企画は将来的には静岡にLRTを導入しようという提案も含めてのものでした。

 まず、世界の都市とLRTの様子が写真で紹介されました。いろいろな国のいろいろなLRTの写真が紹介されました。最新型の車両はどれも路面電車というよりも、新幹線を思いっきり縮めたような感じで、このような物が町の中をはしるとすれば、たしかに見た目はかっこいいかもしれないと思いました。機能面についても音が出ない車輪が使われていたり、車内の床の高さが地上から20cm程度に抑えられていて乗り降りがしやすいなど優れた点が紹介されました。車両の話だけではなくLRTを取り入れた都市交通の再整備などの説明もされ、ただ電車を町中に走らせるということ以上のものがあるということがよく解りました。

 しかし、すでに建物や道路で埋め尽くされたところに線路を作る訳なので実現するのは簡単なことではないということは明らかです。しかし、このLRTの提案の中には、休日となれば渋滞だらけの市内の交通状況、高齢化社会が到来するなかでの使いやすい都市交通機関の見直し、市町村合併後の商業・文化の交流と発展といった問題に対しての方向性を示すヒントがあるような気がしました。LRTの提案を通してそれらを考えていくことが意味のあることなのだと思いました。
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再生された民家の見学

 建築士会の青年委員会でお世話になっている方が民家の再生の仕事をされて、完成したということで見学をさせていただきました。もとは田の字型プランの民家で東側に増築された部分があったそうです。そして改修の結果、田の字型の座敷部分はそのまま残し、東と西に新たに増築し寝室と居間・食堂・水回りが作られていました。

 玄関をはいると屋根の下地まで見える吹き抜けになっています。その吹き抜けの上部の壁には屋根を支えるための梁が何重にも重ねられ組み合わされている様子が現れています。この部分は当初からこのような形をしていたそうで、今回仕事をされた方はこの部分を見て再生する価値のある建物だと感じられたそうです。確かに今作ろうとしても不可能といえる小屋組の梁の大きさや組み方は見事でした。

 田の字形の座敷の部分については元の柱・梁・天井板・建具のままです。しかし、一度床・壁を取り除き、シロアリに食べられた部分を取り除き、新しい部材を補完し、建物ごと持ち上げて基礎を作り、元の戻すという、大変な作業が行われていました。そして、柱・梁・天井板・建具はクリーニングされ再び木地が現れ明るい座敷となっていました。民家再生というと既存の黒くなった部材に新しい材料を合わせて黒く塗る手法がよく見られますが、今回のように黒くなった部材を磨くという手法は新鮮に感じました。そしてあたらしい生活部分との繋がりも違和感なく処理されていて好感が持てました。

 一通り見学させていただいた後、お施主さんの話しをお聞きすることができました。工事中の苦労話や、こだわった部分についていろいろと話を聞かせてくださいました。そこからは、この工事で設計し、工事されたみなさんがすばらしい仕事をされたということがよく伝わってきました。同じ建築士としてこのような仕事をされている方がいるということがとても嬉しく感じられた時間でした。
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「しずおか木造塾(座学編)」第3講座

本日は「しずおか木造塾(座学編)」第3講座にスタッフとして参加しました。
 
 今回は梁のサイズの確認の方法を中心に講義がすすめられました。梁のサイズは上からの荷重に対して持ちこたえることができるサイズを計算しているわけですが、床の場合はそのたわみ量によって決まることが多いということです。法律で決められた数値は最低限のものであり、設計者が力の流れを考慮しその場所でのたわみの限度を設定しそれに合わせた設計をしていくことが大切ということでした。

 また、その他の話しとして最近よく雑誌などで見かける登り梁を使った工法や、大きな吹抜けをつくる場合について、構造的に注意する点やの話などもあり非常に興味深い内容であったと思います。
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「しずおか木造塾(基礎編)」第2講座[中部編]

 土曜日にしずおか木造塾(基礎編)第2講座が開かれました。第2講座は静岡県の東・中・ 西で見学授業が行われます。今回は私ども静岡県中部地区の青年委員が中心となって「大井川水系の木材について学ぶ」という見学授業を行いました。

 午前中は金谷で製材工場を営む落合製材所さんのご協力で、大井川上流の伐採現場で実際に木を切るところを見学させてもらいました。今回は植樹された木ではなく、実から自分の力で大きくなった檜を伐採していただきました。職人さんの手によって大きな音を立てながら倒れる木を見ることで、いつも現場にある製材されてしまった木ばかりを見て忘れてしまっている、木の生長の歴史の長さと活きている木を伐採して使うことの意味を改めて考えました。

 昼食後はまず大井川小径木加工協同組合さんの工場を見学しました。大井川近辺は昔から長いまっすぐな材が取れることで有名なのだそうです。そのため、ここは6mという長尺物を扱うことのできる機械が設置されている全国でも数少ない製材工場ということでした。ここでは基本的に柱となる材を取り扱っているとのことです。また、品質の確かな材を供給するために材の含水率と強さを瞬時に計測し、材の側面にその値を表示することのできる機械もありました。輸入材に負けないよう、品質の高い地元材を供給しようとして取り組んでおられる方々の取り組みを感じることができました。

 次に午前中に伐採を見せてくださった落合製材所さんの工場を見学しましました。こちらでは梁材や板材といったいろんな形状の材が生産されています。また、工場の一部に天然乾燥を行っている材が置かれていました。杉の梁材などは時間をかけて乾燥を行った方が色つやがきれいになるということで、天然乾燥を採用する方もいるのだそうです。木材を使っていく中で乾燥の方法も含めて適材適所に使っていくことが大切ということです。

 最後に丸天星工業株式会社さんでJパネルの製造工場を見学させていただきました。Jパネルというのは、板材を横に並べて張り合わせ板を作り、それを向きが直行する形に三層張り合わせて作られる厚さ36mmのパネルです。最近では建築雑誌などでもたまに使われていたりする材料です。地元の材を有効に使うために考え出された静岡生まれの材料で、現在は全国で3つの会社が生産しているとのことです。私も使ったことがありますが、そのボリューム感と素材感には独特の魅力があります。地元で作られているわけですから、今後もうまいかたちで使えるチャンスがあれば採用していきたいと思います。

今回は過密スケジュールでしたがおおきな遅れもなく無事見学会を終了することができました。しかし、各見学場所でもう少し時間が取れれば良かったと思いました。それでも、地元大井川の木について考えるきっかけを得ることができたのではないかと思います。
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