久能山



 昨日、久能山東照宮に行ってきました。よく前を通り過ぎることはあるのですが、なかなか上って見に行くことはないのです。久しぶりに天気が良い休みの日だったり、子供が学校で勉強したというので行ってみました。

 海沿いの街道からちょっと入った駐車場に車を止めて、石段を登っていきます。表参道にあたるこの石段は、積み方も高さも一段の幅も不均等で上りにくいのですが、何回も折り返しながら登っていくとだんだん広がってくる海の景色が素晴らしく、一の門から見返すと門の先に青い海原が見える様子はこの立地ならではです。

 いくつか建物がありそれぞれ美しいのですが、国宝である御社殿は特に鮮やかでした。各部に施された彫刻、模様、組物といった技法を総漆塗の黒、金そして赤や青といった色が際立たせています。大きな建物ではないのですが、そこに凝縮されたものが感じられます。周囲の花も咲き始め、春を感じることもできていい時間でした。

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「さくらのきの家」


 南側に広い庭をつくりそこに桜の木を植えたい。そんな住まい手の希望から「さくらのきの家」の計画は始まりました。真四角の敷地の南側道路に面した部分は貸し駐車場とするため、北側が住宅の敷地になります。すべての居室が南面するよう素直に配置した住宅と貸駐車場の間に庭を作り、視覚的なもの、意識的なもの緩衝帯としての役目をもたせました。庭の中心にマメザクラが植えられています。

 1階は玄関から伸びる廊下で水周りと生活空間が分けられ、居間、食堂、台所はすべて庭に面しています。建具は全て引き戸なので季節によってそれらの繋がりを変化させることができます。台所が家の中心にあることでシンプルな作業動線となっているとともに、そこに立つと食堂、居間そして庭まで視線が届くので、子供が遊んでいる様子などを見渡すこともできます。2階は寝室と子供室、将来の子供の成長を考え収納スペースもしっかり確保してあります。

 この家は「しずおか森と学ぶ家づくりの会」が供給する静岡市産の木材を使ってつくられています。柱、梁といった構造材としてヒノキ、板張り天井の材料としてスギを使っています。構造材のヒノキは壁の中に隠れてしまい見えない部分が多いですがしっかりこの家を支え、天井に張られたスギは製材所が良いものを厳選してくれているためスッキリとした木目のやさしい雰囲気に仕上がっています。

 マメザクラの他にも庭やアプローチにはヤマボウシ、キンモクセイ、ジューンベリー、コバノトリネコ、アジサイ、イロハモミジなどといった四季を通して葉や実を楽しめる木々が植えられています。切り妻屋根のおとなしい外観がそういった木々に囲まれ、なじんでいくことで、より落ち着いて奥行きのある住まいとなっていきます。

写真を清水建築設計室ホームページgalleryにまとめました。
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家のいちぶの積木


 昨日は「さくらのきの家」のオープンハウスでした。時折雨が降る天気でしたがご覧になってくださった皆様ありがとうございました。今回は「しずおか森と学ぶ家づくりの会」が供給した木材を使っているということで、この工事にかかわってくれた製材所、林業家の方々も自分たちの材料がどのように使われているのかをみにきてくれました。そこで製材所の杉山さんから願いしていたある品物が届きました。

 それは「家のいちぶの積木」です。住まい手さんには今年お子様がお生まれになり、これからこの家で子育ての生活が始まります。そして、今回この家に使った柱・梁といった構造材の切れ端を積木にしてほしいというご希望をいただいていました。構造材はある程度の長さで用意されていますが、実際に使うときに使う場所に合わせて長さを少し切ることがあります。そこで、製材所の杉山さんにはこの家に使った構造材の切り落としてしまった部分、つまり家の一部を使って積み木を作ってもらっていたのです。「さくらのきの家」ということで皮の付いた桜もまぜて、木の感触がいろいろ楽しめる積み木ができあがりました。この積木には「しずおか森と学ぶ家づくりの会」の「家づくりを家族の大切な思い出に」という思いがこもっています。

 
 今回のオープンハウスで、住まい手、その家に使う木を育てた林業家、木を木材に加工した製材所、木材の使い方を考えた設計者がその出来上がった家で顔を合わせることができたこと、よかったです。
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