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Blog ~建築的日常生活&RUN~

静岡にある建築設計事務所、業務とそれ以外の活動、趣味の話、ちょっと考えたことなどを記録しています。

対比

2015年03月30日 | 耐震診断・補強業務


 先週末、「お堀をながめる家」を無事にお引渡しすることができました。昨年の夏の暑い時期に調査したことが懐かしいです。もういちど気持ち良く暮らせる家になったと思います。写真を清水建築設計室ホームページのGalleryに掲載しました。元の雰囲気を尊重し補修にとどめた部分と、これからの生活のために構成しなおした部分の対比が見えると思います。

補強工事中に見える部分

2012年09月24日 | 耐震診断・補強業務

 現在耐震補強工事を行っている家は壁が土塗り壁でできています。なかなかめずらしいのですが、耐震診断をやっているとたまに遭遇します。造られた年代も古いものが多く、立派な材料が使われていたり、最近ではあまり見ない構造材の組み方をしているものがあります。調査の時も天井裏で暗闇の中で観察しているのですが、工事の際には天井を撤去し明るいところでその様子を観察し、計画している補強が正しく施工できるか再確認をします。

 今回は高い屋根まで伸びる土塗り壁がきれいに見えました。今ではなかなかできない手仕事の素材感が光の加減もあわせていい感じです。こういったその家らしい部分はそのままにしておきたいと思うのですが、安心できる強度を得るための選択のなかで姿を変えざるをえない場合があります。この下の部分にあたる廊下は土塗り壁に漆喰塗り仕上げでしたが、補強のために土塗り壁は保存したまま、面材を張ることになっています。そして、この部分は天井を張ってまた隠れてしまうので、この家の記録として写真を撮っておきます。

40cm

2009年11月18日 | 耐震診断・補強業務

 年内とか、年度内になんとかという話が多くなる時期になりバタバタしてきましたが、今日は耐震診断に行ってきました。筋かいの位置を確認する作業があるのですが、1階の筋かいはその上端を1階の天井裏から確認することになります。通常は2階がのっていない屋根の部分もあるのでその中を移動したりしてみてまわるのですが、今日のお宅は総2階。その隙間は高さ40cmほどしかなく、通常確認できない状態なのですが、なんと意外と天井下地の木組がしっかりしていて、僕が乗っても大丈夫なのでした。

 そこでユニットバスの天井点検口から意を決して高さ40cmの空間に入り込み、天井裏を腹ばいで移動、たまに釘に刺さりながら、梁のある部分の高さ25cmもなんとかクリア、横幅が狭いところも肩がすれすれで通り抜けられました。今地震が来ないことを祈りつつ、それでもなんとか、すべての壁を確認。無事戻ってくることができましたが、何回か天井裏でグッタリ休みました、腕が筋肉痛です。今、写真を見てみるとすごく狭くて、よく行ったなあと我ながら感心します。

 このお宅の住まい手がもっていたどこかの会社が無料でやってくれたという診断結果の図面は違っていました。自分の目で確かめて良かったです、これも日ごろの筋トレの成果。この調査の結果が元になり補強と改修計画をつくることになります。精度が高い調査ができれば、精度の高い補強計画が立てられるのです。

耐震補強工事監理のしごと

2009年10月01日 | 耐震診断・補強業務

 現在、3件の耐震補強工事の監理をやっています。今日は市内の現場に自転車で行ってきました。想定どおりにできない部分があったのでその対応を現場と住まい手に説明するのと、新たな筋かいを取りつけた状態の写真を撮るためです。

 市の補助金を使った耐震補強工事では申請どおりに工事がされたことを報告する為に各工程の写真を提出する必要があります。筋かいが付いた状態の写真を取りたかったのですが少し早すぎた為に近くの公園で缶コーヒーを飲みながら一服。だいぶ涼しくなってきて日差しも秋らしくなってきました。

 その後、しっかり写真を撮って明日の工程の確認、明日は構造用合板を張る予定なのでそれも確認する為に午前の打ち合わせの前にまた行きます。耐震補強工事は既存の状態に対する素早い対応と判断、細かい現場確認が必要なので新築と違って短期ですが意外とバタバタします。それでも、住まい手も自分も納得できるようにスケジュールを調整しながら現場に足を運びます。

夏の耐震診断

2009年08月08日 | 耐震診断・補強業務

 昨日は木造住宅の耐震診断に行ってきました。午前中は建物の平面図を作成する為の調査や各部の劣化状況、仕上材の確認などを行います。午後からは天井裏、床下の調査になります。この季節は午後の仕事に入るのに気合がいります。

 天井裏で構造材の接合部の状況や筋かいの位置や寸法を調べるのですが、天井裏はかなりの高温です。真っ暗なサウナの中に長袖、長ズボン、マスクを被って入り、アスレチックをするような感じでしょうか。かなりの筋力を使うし、汗びっしょりになります。何とか通り抜けられるような狭いところを進んでいくときは、この先まで行って帰ってこれるのか?なんて思ったりもします。

 それでも既存の建物の様子をよく観察することでいろんな部分に出てきている不具合の原因や、それらの関係性が見えてくることがるのです。効率良く、効果的な補強を行う方法を検討する判断材料を出来るだけ集めます。改修だけでなく耐震補強も、ということが多くなってきたのでこんなこともたまにあります。いつもはあまり動く仕事ではないので、良く頑張った、感じがします。

軽くします

2008年05月09日 | 耐震診断・補強業務

 現在耐震補強工事の監理をしている現場です。これまでは屋根下地の上に杉皮を敷き、土を載せ、和瓦が葺かれていました。今回の補強工事でガルバリウム鋼板葺きに改修します。写真は土が取り除かれ杉皮が現れている状態です。

 足場の悪い高所で土ぼこりの舞う大変な作業です。しかし、この改修で屋根の重さは約1/10になります。撤去した土の量を見れば納得です。頭の部分が軽くなり地震の横揺れに対して有利になるので、壁の補強や柱や筋交いの端部の金物補強と合わせて有効な手法のひとつです。

 しかし、杉の皮と土で防水する屋根は自然の材料をそのまま使っている訳ですからとてもエコだった訳です。今回の現場ではその下の垂木はほとんど傷みも無く、その機能は有効に働いていました。

報告の帰り

2007年08月29日 | 耐震診断・補強業務

 昨日、耐震診断の報告に行った帰りに撮った写真です。甲子園が盛り上がっているころの暑いさなかに調査した結果を報告して来ました。普段は事務所の周囲での調査が多いのですが今回は少しはなれた場所の調査をするこになりました。普段はなかなか来ない場所なので帰りに車を止めて景色を眺めてみました。川を見下ろすお茶畑とお茶の葉の香りが印象的な場所でした。

6mmから20mm

2007年03月30日 | 耐震診断・補強業務

 建築士会の事務局で平成19年度から静岡県の木造住宅耐震診断事業に使う耐震診断ソフトを受け取りました。これは、これまで行政の耐震診断事業に協力してきた静岡県耐震補強相談士で、新診断法の講習を受け、平成19年度も事業に協力する人に分けられます。

 これまでは、もともと昭和54年に発表された「木造住宅の耐震精密診断と補強方法」という診断方法を元に静岡県での実情に合わせた形で手を加えたものを使ってきました。しかし平成16年に「木造住宅の耐震診断と補強方法」という新たな基準や情報の蓄積を盛り込んだ診断法が発表され、これからは静岡県の事業もそれに添った形で耐震診断を行っていくことになりました。より精度が高く、無駄の少ない診断と補強計画が立てられるようになっています。

 4月の補助金受付開始を待って精密診断を行うお宅がありますので、新しい耐震診断法の内容を確認したり、調査方法を検討しています。診断方法を示した本もB5サイズからA4サイズへ、厚さ6mmから20mmへとボリュームアップしています。目を通すのは大変ですが内容もかなり充実しているので分かりやすく参考になります。建築基準法も変わっていきますし、耐震診断法も変わっていきます。

能登で地震

2007年03月26日 | 耐震診断・補強業務

「25日午前9時42分ごろ、北陸地方を中心に広い範囲で強い地震があり、石川県能登地方で震度6強を記録した。」

 石川県で地震がありました。家屋倒壊の被害も出ているようです。被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。建築士会で石川県は静岡県と同じ東海北陸ブロックに所属します。以前、石川県で開催された青年委員の会議で訪問したことがありますし、あちらの青年建築士も静岡で開催された会議に参加してもらったりしていたので、彼らはどうしているのだろうと思ったりします。

 被害の状況を写真で見る限り古い木造住宅が倒壊している様子が見て取れます。古いというのは、土塗壁でつくられている、瓦を留めるために屋根に土を載せている、現在の法律では成り立たないような開口部の配置をしているということです。これまでの地震被害で見られたようすに似ている印象を受けました。

 予想される東海地震では静岡市内の平地はほとんど震度6強の揺れが予想されています。さらに麻機や鳥坂、清水港周辺では震度7の揺れが予想されています。今回の地震で震源に近い地域で震度6強ということですのであのような被害が出ることが想像できますが、建物の密集具合も違いますし、揺れ方や揺れている時間が違うのでまた違う状況になると思われます。東海地震はプレート型なので強い揺れが1分以上続くことも予想されています。そうなると、繰り返しの変形に建物が耐える必要が出てきます。それに耐えられなければ徐々に崩れるということになります。

 現在も耐震補強の業務をいくつか進めていますが、いつ来るか分からない、どのような揺れになるか分からないものに対しての備えなので、とても難しいし、責任もあります。ただそれが出来る職業は建築士ということになるので、今の状況でできるベストを尽くすということしかないと思っています。実際に起こった地震についてすぐにコメントするのは難しいですが、仕事上無視できないので今日はこの話を書きました。

木造住宅の耐震診断と補強方法講習会に出席しました

2006年03月14日 | 耐震診断・補強業務
 「木造住宅の耐震診断と補強方法講習会」に行ってきました。これまでも静岡県のTOKAI-0事業や業務で木造住宅の耐震診断を行ってきました。それは平成7年に日本建築防災協会から発行された「木造住宅の耐震精密診断と補強方法(改訂版)」と静岡県が作成した「耐震補強相談士マニュアル」に沿ったものでした。その後阪神・淡路大震災、建築基準法改正などが行われる中、新しい技術の蓄積や、実験結果が得られました。そこで平成16年にそれらを踏まえた新たな診断方法を示した「木造住宅の耐震診断と補強方法」が日本建築防災協会から発行されました。今回はその講習会です。

 新しい診断方法は点数算出の方法や診断箇所などはより詳細になり、実情に近い診断結果が得られるように改善されています。しかし、詳細に評価できる分、評価する為に集めなければいけない情報も多くなっています。つまり、現場調査もこれまでより時間をかける必要がでてきそうですし、計算項目も増えています。これをどのように実務に取り入れていくか、静岡県のTOKAI-0事業でどのような取り扱いになるのかなどを整理していくことがこれから必要になると感じました。