お堀をながめる家


 駿府城公園のお堀をながめる場所に建つ住宅の耐震補強改修工事が間もなく終わります。築79年の木造住宅、最初に訪問した時は雨戸が閉められていたので暗く、各所が傷み非常に厳しい状態でした。しかし、そこには最近の建築で作られない、間取り、造り、素材があり、思わず「いいですね。」という言葉が出ました。その後、オーナーの判断で耐震補強改修を行うこととなり、耐震診断、補強設計、補強工事となり、それに伴いこれからの使い方に合わせた間取りの変更、設備の改修、断熱付加を行いここまできました。当初0.55だった耐震評点も1.26まで向上しています。水回りを中心に手を入れていますが、小さいながらも庭に面する南側の縁側、8帖の和室と2階にある2つの和室はクリーニングと建具や仕上げの補修に留めています。



 改修しても新築に追いつかないものがありますが、新築では手に入らないものもあり、埋もれてしまっていたそれが蘇りました。解体ではなくて、改修をしたことに意味があったと思える仕上がりです。2階の和室の畳に足を延ばして座り桜を眺めていたいです。

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