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Blog ~建築的日常生活&RUN~

静岡にある建築設計事務所、業務とそれ以外の活動、趣味の話、ちょっと考えたことなどを記録しています。

2008しずおか木造塾第4講座のこと

2008年12月15日 | 木造塾

 12月13日(土)のしずおか木造塾第4講座は毎年講師でお世話になっています、(有)山辺構造設計事務所の山辺豊彦先生による「住宅の構造設計の勘どころ」でした。前回の設備の話に対して今回は構造です。

 今回は木構造を設計していくのに必要な計算演習を含めた講義でした。最新の実験の様子や木構造の考え方などの話から始まり、まず地盤の耐力を把握する、基礎設計の方針を決めるに当りポイントとなる地盤調査データの読み方の演習を行いました。報告書を見てそれをそのまま採用するのではなく、内容を理解することが安全な設計につながり、設計の自由度、可能性をひろげることにもなります。

 その他、壁量の計算、筋かいの取り付く柱の引き抜き力の計算、梁の設計と内容が盛りだくさんで、演習も行いながらということで休み時間もなく講義は進み、とても充実した3時間半となりました。用意していただいたテキストも実務に沿ったものなのでそういう場面になったときにはきっと役に立つと思います。山辺先生ありがとうございました。

2008しずおか木造塾第3講座のこと

2008年11月10日 | 木造塾

 11月8日(土)のしずおか木造塾第3講座は(有)知久設備計画研究所の知久先生による「住宅設備設計の勘どころ」でした。今年も木造塾にはスタッフとして参加していますが、前2回は他の予定が重なり参加できませんでしたので、今回が今年度初参加になります。

 建築設備に関する参考書は沢山あるものの、住宅の設備に関して詳しく説明されているものは少なく、また設計料も確保することは難しいために最小限の図面で工事行われることが多いです。しかし、近年設備機器の占めるウェイトが大きくなってきている中であらためて住宅設備について学んでみようという講座でした。

 理解がしやすいように台所や浴室といった部屋ごとに目に見える設備機器についての話から始まり、最終的には家全体の配管や暖房計画といった内容までお話をいただきました。実際、設計業務の中でも曖昧になっていたりそうなっている理由が漠然としていた部分なども、図や寸法も加えて分かりやすく説明していただきました。

 今回は「木造」の話ではありませんでしたが、「木造住宅」を造る為には必要なこととしていろいろ参考になりました。知久先生ありがとうございました。

2007しずおか木造塾第4講座のこと

2008年03月16日 | 木造塾

 3月15日(土)のしずおか木造塾第5講座は住まいと環境社の野池先生による「住宅のオン熱環境について」、オプコート研究所の野辺先生による「これからの住宅生産」の講義が行われました。

 住宅の温熱環境、普段設計業務の中で、煩雑でその位置づけが分かりにくい音熱環境の集権要素とつながりを整理することができました。また、環境評価の指標の解説、使い方についてはとても分かりやすく、理論だけではなくどのように活用していくかを示していただきとても参考になりました。

 これからの住宅生産、最近の建築基準法改正をめぐる影響や今後の見通し、これから住宅生産に関わる仕事をしていくうえで考えていくべきこと、どのようなことが求められていくか。実際の設計事務所の業務をこなしている中では気がつきにくいことを聞かせていただきました。

 これで、2007しずおか木造塾の全講義が終了いたしました。たくさんのことを学び、さくさんの方々にお会いしました。木造塾は今年の秋まで一旦休みになりますが、その間木造塾で得ることができた知識とネットワークを業務の中に活かしていこうと思います。

2007しずおか木造塾第4講座のこと

2008年02月24日 | 木造塾
 2月23日(土)のしずおか木造塾第4講座は小沼先生の木造住宅耐震補強工事に関する講義と山辺先生の木造建築をとりまく法改正の最新情報と木造住宅の架構に関する講義でした。

 木造住宅耐震補強工事は身近な業務なのでその事例や考え方は自分のやっていることと照らし合わせながら考えることができ参考になりました。木造住宅に関する最新情報は私達にとっては非常に気になる部分です。木造にかかわる住まい手とつくり手にとって良い方向に変わって欲しいと思います。

 恒例の講義後の懇親会も今年度の顔なじみも増え、木造、建築、設計事務所のありかたなど熱い話で盛り上がりました。時間の関係でできなかった演習問題も時間をつくって確認したいです。

2007しずおか木造塾第3講座のこと

2007年12月10日 | 木造塾
 12月8日(土)にしずおか木造塾第3講座がありました。内容は前半が伊礼智先生「東京町屋の設計作法」、後半は丸谷博男先生「F.L.ライトとA.アールトに学ぶ木のデザイン」という講義でした。

 作品や図面を建築雑誌でも拝見したことのある伊礼先生のお話は、現在の「東京町屋」というスタイルができるまでの経緯、そこに至るまでの思考など。その中には標準化というテーマがあったのですが、それは直接お話をお聞きすることで、決して省力化ということではなく前向きでまじめに設計という仕事を考えてきたその結果であることが良く分かりました。

 美しいアールトの建築物の写真のスライドから始まった丸谷博男先生のお話は、建築を学んでいれば誰もが知っている建築家についてです。学生時代に教科書などで学んだことはありましたが、実務を経てきた今改めてその作品のつくりや意味についての話を聞くこと、思いのほか新鮮で心地よい感覚を覚えました。改めて2人作品集などを眺めてみたくなるようなお話でした。

 今回は意匠中心の講義で普段の実務で離れてしまいがちな、建築の楽しい部分の感覚をじっくり楽しむ時間だったように感じました。

2007 しずおか木造塾第2講座のこと

2007年11月19日 | 木造塾
 11月19日(土)にしずおか木造塾第2講座がありました。内容は前半が「最近の住まい手が希望する住宅」後半が「ここまでわかった木造住宅の防火性能」でした。

 前半は静岡で工務店を経営されている今井先生が、いい建築づくりを仕事としていく為のノウハウや考え方、ブログの活用方法など、設計事務所としても参考になる話をしてくださいました。

 後半は設計事務所代表を務めながら、大学で木造の防火についての研究をされている安井先生が、木造と防火、最新の防火仕様、今後の展望など、自分の中で整理できていなかったいろいろなことを分かりやすく説明してくださいました。とても勉強になりました。

2007 しずおか木造塾第1講座のこと

2007年10月07日 | 木造塾

 今年もしずおか木造塾が始まりました。これから5回にわたって講座が開催されます。今年も私はスタッフとして参加します。今回は前半が「地域材の性質、木材の乾燥」、」後半が「目からウロコのシロアリ対策」でした。

 残念ながら今回は前半の部分は予定があり参加できず、後半から講義を聞きました。シロアリについてはこれまで講習会を聞いたり、本を読んだりしていましたが、今回の講義はそれまでのものとは視点がまったく違う話だったのでとても参考になりました。シロアリは蟻道・蟻土で被覆されと集団という状態がなければシロアリとは言えないといった概念は新鮮でした。また、これまで日本にいたシロアリ以外のシロアリの活動が確認されはじめていると言った事実には危機感を感じました。

 講義の後の懇親会も例年どおり、いつもの顔ぶれと新しい出会いがありとても有意義でした。今後がまた楽しみです。

2006しずおか木造塾第5講座のこと

2007年03月19日 | 木造塾

 土曜日は2006しずおか木造塾第5講座でした。今回は(有)山辺構造設計事務所の山辺さんによる「木造住宅の架構計画」についての講義でした。

 地震により被害を受けた木造住宅の写真を見ながらの木構造を考えていくうえでの要点の説明から始まり、軸組計画の考え方、耐力壁の配置と水平構面の計画などの話。それらは日常の業務の中で考えていることですが、こういう機会にそれぞれの要素の関係を整理して見つめ直すことで、より合理的な計画を進めることが出来るようになります。

 その話のなかで、現在は木構造の計算もコンピューターで数値を入力すればある程度簡単にできるが、その計算のモデルの設定が正しくできていなければ、実際に地震を受けた場合にその答えとは違う結果になることが十分に考えられる。したがって、その結果を採用するべきなのかということを設計者がきちんと判断する必要があるし、知識を持っていなければならない、という話しがあり印象に残りました。

 今年度の木造塾はこれで終了です。充実した講義をしてくださった先生方に感謝いたします。また、懇親会の場で木造を一生懸命に考えている設計者、施工者、材料供給者の方々に出会い、話し、情報を交換することができたことも自分にとってプラスになりました。

2006しずおか木造塾第4講座のこと

2007年02月19日 | 木造塾

 土曜日は2006しずおか木造塾第4講座でした。前半は木造の伝統工法を主に仕事をされている東京の風基建設の渡邊さんによる伝統工法についての講義。伝統木造技術の変遷について、これまで関わってこられた文化財修復などの事例の話、現在の木造住宅の課題について話してくださいました。後半は(有)山辺構造設計事務所の山辺さんによる伝統的架構の構造特性についての講義。前半の渡邊さんの話を受けて、その中に出てきたものごとを構造的視点から分析し解説をしていただきました。

 その後の懇親会では山辺さんの隣に座ることになり、いろいろとお話をさせていただきました。なかでも、私たちが日ごろ行っている耐震補強が話題になり、その席の周囲の方と共に考え方や取り組み方についての意見交換ができて良い時間を過ごすことができました。

過去の木造塾の記事はコチラ → CATEGORY「木造塾」

2006しずおか木造塾第3講座のこと

2006年12月04日 | 木造塾
 土曜日にしずおか木造塾第3講座に参加しました。

 前半は岐阜県立森林文化アカデミー学長、熊崎さんによる「地域森林の再生に向けて」という講義を受けました。世界の木材市場の現状、国際化の中での林業のあり方、日本と同じ人工林である欧州から多くの木材が輸入されている現況に対し、国内の林業のどこに違いがあったのかなど、木造住宅の根本となる木材の今を分かりやすく説明していただきました。国内林業では地域化の流れが各地で起こっています。そういった視点も大切ですが、国際化の進む現代では世界の流れにも目を向けていくことも必要になってくるのです。

 後半はオークヴィレッジ木造建築研究所の所長、上野さんの「木でつくる住まい」と言う講義でした。オークヴィレッジ木造建築研究所といえば今年の住宅建築9月号で特集が組まれていて、私も目を通していたので講義の中に出てくる作品も知っていたので興味深く話を聞かせていただきました。作品に繋がる思考の源や材料に対する考え方、雑誌に出ている建物の現場での話しなど、雑誌等では書かれていない部分を聞くことができて良かったです。また、雑誌に出ている建物がどれくらいの費用がかかっているかという質問がありましたが、それにも答えていただきました。やっぱりこれだけこだわっていい物をつくるには、それくらいかかるんだなあという感想です。

 今回の木造塾では材料である木の生産、その使い方ということがひとつのテーマでした。いい木造をつくるにはいい木が必要、いい木をつくるにはいい山が必要、木の事も山のことも知っていていい木造をつくることができるのです。