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Blog ~建築的日常生活&RUN~

静岡にある建築設計事務所、業務とそれ以外の活動、趣味の話、ちょっと考えたことなどを記録しています。

工事写真が残っている家

2006年01月12日 | 耐震診断・補強業務
昨日、木造住宅の耐震精密診断の業務で現地調査を行いました。昭和51年に建築された2階建ての住宅です。

 1階の筋かいは1階と2階の間の空間が小さく、大きな梁があるとその先に行くことができなかったり、床下も床の高さによっては確認することが不可能な場合が多いです。しかし、耐震診断では確認できない筋かいは設計図に示してあっても計算には入れないことになっているます。安全側で計算すると言う主旨ですが、できるだけ現状に近い診断と精度の高い補強計画をつくるために、できるだけたくさんの筋かいを確認しようといつも狭い中を這いずり回ってます。

 今回は施主さんが工事中の写真を撮られて持っていたので、かなりの筋かいをその写真によって確認することができました。写真に写っていない部分は自分で天井裏、床下から調査して確認してきましたが、這いずり回る範囲が少なくてすんだので助かりましたし、精度のの高い診断ができました。

 また、このお宅はこの頃の建築にはめずらしく基礎に鉄筋が入っていました。これも工事写真で工事中に鉄筋が入れられている様子が写されていて、床下に入った際シロアリ業者が基礎に空けた穴の部分で実物を確認しました。いろいろなお宅の耐震診断をしていますが、工事中の写真が残っているようなお宅は比較的しっかり造られている事が多いように思います。

天井裏のはなし

2005年08月23日 | 耐震診断・補強業務
 耐震診断では天井裏を点検させていただきます。天井裏に上がると筋かいの上端が見えるのでその位置とサイズ、端部の留め方を調べることができます。また、桁と梁、梁と母屋の接合部、それぞれの部材どうしの継ぎ合わせの部分できちんと金物が取り付けられているか、すでに位置がずれている部分はないか、なども調べてきます。

 そんななかで、いろんなものを見つけることがあります。施工者が忘れていったと思われるドライバーや取り付ける予定だったと思われる束がコロンと置いてあった事もありました。また、ネズミの糞があったり、鳥が巣をつくる為に運び入れた大量の藁、直径60センチにもなりそうなスズメバチの巣といったものがあったこともありました。天井裏に入るだけでもいろいろなことがあります。

「市役所の・・・」

2005年08月19日 | 耐震診断・補強業務
静岡市では申し込みをすれば、市が無料で専門家の相談士を派遣し、木造住宅の簡易耐震診断をする事業を行っています。私もその相談士として何件かのお宅を診断してきたのですが、昨日うかがったお宅でこんな話を聞きました。

 ある日、感じの良い女性の声で「市役所の・・・ですが、耐震診断をやりませんか。」と電話があったそうです。しかし、そのお宅の方はその場で返事をするのはやめて、市役所にその業者は市役所の行っている耐震診断事業に関っているのか確認したところ、市役所が派遣する相談士ではないということだったそうです。なので、その業者の耐震診断は断ることにして、市役所が派遣する相談士の耐震診断を受けることにし、そして、私が担当として訪問したわけです。

 以前は別のお宅に「私は、静岡市から委託された相談士の清水と申しますが、先日申し込まれた耐震診断でご自宅に伺いたいのですが。」と電話をしたら、「市役所の人にはもう見てもらいましたから!おたくには頼みません。」ときつい言い方で言われた事がありました。私が本当の市の事業の相談士なのに。どこの市役所の人に見てもらったのか心配です。

 「市役所の・・・」といっても信じてもらえないし、信じられないようになってしまいましたね。残念に感じるのと、そのようなことをして仕事をしている人が居ることに腹が立ちました。いずれにしても不審に思ったらいったん電話を切って、市役所に確認するということが必要ですね。

床下調査

2005年08月02日 | 耐震診断・補強業務
 昨日、木造住宅の耐震精密診断を行いました。耐震精密診断では既存の筋かいの位置と寸法を調べることが重要な調査になります。古い家は設計図があって、筋かいの位置が示してあってもほとんどそのとおりに取り付けられていることはありませんので、自分の目で確認する必要があるのです。

 通常は天井裏に上れば筋かいの上端が見えるので確認できます。しかし、1階の筋かいを確認するには1階の天井裏、つまり1階の天井と2階の床の間の空間で確認するしかありません。しかし、昨日調査を行った家はこの空間が小さいために一部の筋かいしか確認できませんでした。そうなると、床下から筋かいの下端を確認することになります。これは床の高さによって筋かいを見ることができない場合もありますが、昨日の家は幸い床が高かったのでこの方法で確認することにしました。

 床下は非常にほこりぽいために、作業着の上からカッパを着て、頭から農薬散布用の防護マスクをかぶって行います。さらに、床下というのは空間の高さが狭いだけでなく、床束や根がらみといった障害物がいろいろあります。そしてこの暑さです。真っ暗なサウナの中をカッパを着ながら障害物を避けながらほふく前進やほふく後進をしていきます。かなりきついのでたまに床下で仰向けになり休憩したりします。

 おかしなもので、だんだんと「せっかく入ったのだから必ずあそこの筋かいを確認してやる。」とむきになってきます。そんなこんなでなんとかほとんどの筋かいを確認することができました。床下から出てきたときは作業着が汗でびっしょりでした。きょうは体のあちこちが痛いです。でも多くの調査結果が得られました。これからまとめます。

耐震補強いろいろ

2005年07月25日 | 耐震診断・補強業務
 土曜日に建築士会の第3回減災特別委員会に出席しました。今回は新しい耐震補強工法の勉強会ということで補強部品と取り扱っている業者の説明を聞いてきました。

 内容は木造の制震工法、特殊なテープによる柱脚の補強法、開口部補強などについてでした。どの工法も長所、短所があるので採用する為にはそれぞれのケースに対してしっかり検討する必要があると感じましたが、どれも耐震補強を効率よく効果的に進めていこうとする姿勢がみられました。

 しかし、残念なことにそれらと見掛けが似ていて、まったくの偽物もあるようですし、他にも補強金具でも効果を疑うようなものを見かけることもあります。それらを見分ける知識を身につけることが大切になってきます。迷ったら信頼できる建築士に相談するのがいいと思います。

 実はこの勉強会の最中に地震がありました。阪神の地震の再現ビデオなどを見ていたので、「ついに来たかな、しかも、こんなときに・・。」と一瞬思いました。地震は本当にいつ来るか分からないのですね。

減災特別委員会に出席しました

2005年06月20日 | 耐震診断・補強業務
 18日に建築士会静岡支部減災特別委員会に出席しました。減災特別委員会は東海地震に備え建物の倒壊による被害をできるだけ減らすことができるよう行動を起こしていこうという主旨し賛同した建築士、技能士(大工さん)で構成されています。

 耐震補強を行いたいけどどこに頼んでよいか分からない方々の窓口となり、しっかりとした技術で耐震工事を提供できるような体制作りのための話し合いが行われました。我々建築士が社会の為にできることについて考える機会になりました。