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女の自由は夢の夢『心淋しい川』

2022-10-11 07:59:58 | 歴史から学ぶ
人は淋しく悲しいと思う時がある、家族との別れ、恋人との別れ、特に死別は途方に暮れるほどの悲しい。小説にある江戸時代は特に女は「道具」扱いで「身売り」としても頻繁だったことで、生まれてからの自由がほぼ無い生活を強いらていたことだ。更に騙し、騙され、嘘をつき自分を隠して生き抜くしかない、「淋しい」どころか悲しく、恨みさえ生む、そんな時代に生まれなかった現代の社会に今は感謝したい
『心淋し川』西条奈加
「概要」「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。
「心淋し川」恋心を持った男と女が道に迷う、それは男が数年の京での修行を選ぶか、女を選び夫婦になるか。言い出せないままある夜女の父親と喧嘩になり、男の決心は修行を選ぶことが決定的となる。女は振られた。「女が本気になるのは、惚れた男のためだけさ。手に入れようと思ったら我が身をかけるしかないんだよ」
「閨仏」妾を四人まで持った長屋亭主、最初のりきはおたふく顔で手先が器用な娘、その後醜女の三人が増えたが一人も子を身籠ること無しにあの世に逝った。りきは祖母からの形見の小刀で亭主が持ち込んだ男根を模した張形から仏を作り始めそれが旦那周に受けた 亭主の死後、本妻が一才を縁を切ると言われると、死んだ亭主の声が聞こえた「頼んだよ おりき・・」
「はじめましょ」昔の恋人が歌っていた歌を少女から聴くことで探しだし謝ろうとする。それは恋人が妊娠したことで逆流、仕事をやめ突き放したのだ。やがて再会するが実はその当時身籠っていた赤子は数ヶ月で死にこの少女は養女だと告白する。自分の犯した過ちを深く反省、やり直しをしようと決意する
「明けぬ里」岡場所に入った少女が負けん気で正直な性格から一人の老人が見受け人になる 実はその老人が曰く「一番の嘘つきは明里だろうな」と言っていた。明里は一番の売れっ子で見受け人が大金を払って岡を出る時に心中自殺する。心中したい相手は見受け人の付人であり、明里は子を孕んでおりその付人の子だったと・・・
「灰の男」倅を盗人の追い込みに殺されその後妻も後追いの自殺で亡くなる。数年後その倅を殺した盗人の頭領を長屋で見つけた。だが老いぼれた姿で昔の面影はなくボケ出していた。見つけた昔の頭領もその時倅を殺された事で生き甲斐を無くし暮らしていたのだ。互いそれを知る事になったのは大晦日だったが翌日その老いぼれた頭領は逝ってしまう。