@戦争の惨さは計り知れない。数人の政治家、軍の上層部の意思だけで多くの国民を巻き添えさせるのはあまりにも酷い。現代でも北朝鮮、中国など共産、独裁主義的な国家では国民の意思の自由が無惨にももぎ取られ政府の言うなりにならざるを得ない国を見ると「同じ人間なのになぜ」が浮かぶ。「人間の貪欲さ・孤独であるが故の恐れから独裁的制裁となる」は余りにも浅ましく見える。日本人に生まれてきて良かったと実感する、だが、国内外の情勢を冷静に判断できる諸外国に恥ずかしくない国を代表する首相が欲しい。
『神の火を制御せよ』パール・バック
ノーベル賞作家、パール・バックが描いた原爆小説。実在した若き美貌の女性科学者(キューリ夫人)事実をもとに紡がれた、愛と葛藤のものがたり。欧米でベストセラーになりながら、なぜ、長年、日本で出版されなかったと言う。
「概要」背景となる実話:1940年、アメリカには、ユダヤ人物理学者アインシュタインをはじめヨーロッパ(イギリス、ハンガリー、ポーランド、イタリヤ等)からの亡命科学者が多数いた。「ナチスが核兵器を作っている! ナチスが核兵器を完成させたら大変なことになる!」と当時の大統領ルーズベルトが決断。約20億ドル、3年半以内、物理学者オッペンハイマーを中心とした「マンハッタン計画」が始動した。実は日本は原爆研究者の一人湯川氏、サイクロトロンの権威理科研の仁科博士がいたが政府の余力がなく断念した。
ー科学者の様々な葛藤
1、期限付き製造開発とチームワーク(大量殺戮爆弾製造:ドイツとの競争)
2、大量殺戮兵器製造することで戦争を終焉させる(実験から実弾行使)
3、原子爆弾で更なる戦争の抑止力にする(他国への情報漏洩・ソ連スパイ)
4、原子力の平和利用の可能性(平和利用の可能性・エネルギー、医療転用)
ー科学者個々の葛藤
1、他国の科学者たちとのチームワーク(組織・漏洩・脱落)
2、軍部支配下で自由な開発の支援の可能性(命令組織・開発予算)
3、極秘情報がもたらす家族、仲間の絆(黙秘行動の理解・ストレス)
ー一人の女性科学者の存在
一人の若い女性の科学者がヒロイン達との複雑なロマンス関係を広げる
女性の立場で原爆の製造、開発、利用に関して強い関心、意見対立する
ー原子爆弾を利用することへの判断
日本の真珠湾攻撃(奇襲攻撃と多数の米国人を殺害)
ドイツは降伏、唯一日本だけが戦争を継続(B29による東京空襲開始)
日本人の性格(死ぬまで辞めない・特攻隊)完全で無条件降伏しか選択がない
米軍の命を救う唯一の方法と確信、日本人の命を救うことにある
原爆で戦争を早々に終結する必要性(米軍の日本本土上陸の前)
多くの科学者は原爆使用禁止を提訴、だがソ連への情報漏洩が発覚する
ー原子爆弾の威力
直径500mの火の玉で中心温度5500度
衝撃波は時速数百キロ、数千キロに達する爆風が起こる
人口30万の都市の3分の1が一瞬が死に至る
生き残りでも火傷を負い、不自由になった体は新たな傷が繰り返しその傷を障害抱え生きることになる
国務長官の「新兵器行使の役割」の言葉「文明の方向を変えるかもしれない任務を実行するよう勧告する。これは我々の責務である。我々の大きな任務はこの戦争を速やかに、かつ成功裡に終結することだ。新兵器によって我が国は圧倒的な戦力を持つことになる。新兵器の使用が長期的な歴史観においてどのように見られるかを念頭におきつつ、この戦力を最高の知恵を発揮して行使することは我々の義務である」