血統徒然草

サラブレッドの能力を血統面から考察する我儘・自分勝手なブログ

ヒルノダムール

2011-05-10 17:06:11 | 07年生
ヒルノダムール(マンハッタンカフェ×シェアエレガンス-ラムタラ)牡・07生

主:7 結:5 土:2 弱:4 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:4 ST:4 特:1(主導牝馬クロス)
合計:34+1点 クラス:3B 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (7)

 主導は、未だに珍しいCosmah4×6の系列クロス。その母Almahmoudを血統の3ブロックではあるものの散在させ、血統を非常に強力にリードしている。また、前面に余計なクロスを作成しなかったのも幸いし、非常に良好だと考えられる。惜しむらくは、父母サトルチェンジ内において、この系列は8代目においてMahmoudがはじめて現れるために、この部分の連動が弱い点である。

○ 結合   (5)

 主導たるCosmahと、6代目までに存在するクロスである、Almahmoud~Mahmoud・Pharamond・Banish Fearは自身に含まられる血統で確実に結合している。また、Nasrullah~Nearcoは、Blenheim内Nasrullahを通じて、Bull LeaはSpearmintで結合している。しかしながら、Prince Chevalierは10代目Bayardoを通じて(つまり実質的に未結合状態)、結合をかろうじて完了している。この部分は確かに気になるが、7代目以降に存在するクロスを、9代目まで遡る必要があるもののCosmahとひとまず結合しているのは中々に良好で、全体的に見ると良好だと言えるか。

○ 土台   (2)

 土台構造は、Blandfordが11ヶで形成。単一の土台構造としては非常に貧弱だが、Cosmahを主導としたために、Phalaris・Gainsboroughがサポート。かろうじて、と言えるレベルにはあるか。

○ 弱点   (4)

 父方Ticino内に、弱点を派生。この部分の連動性は血統全体で弱い部分の為、さほどのマイナスではないかもしれないが、近交馬であるのも踏まえるとやはり良好だとは言えない。

○ 影響   (2)

 (8-0-4-3)と父サンデーサイレンスを強調。父母間のバランス自体は、天秤方で悪くはないが(8-7)、父母サトルチェンジの影響が弱いのが残念。平均点にはあるか。

○ 質[近]  (3)

 近い世代の血の質はかなり良好だと言える。自身の3代目までに、サンデーサイレンス・Nijinsky・Brigadier Gerardと並び、底力勝負可能。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるCosmahは、決して良好な配合だとは言い難いうえに、さほど優秀なクロスも作成できていない。近い世代の質は良好だと言えるが、全体的には平均的だと言えるか。

○ スピード (4)

 主導たるCosmahの軽いスピードを中核に、Nasrullah・Pharamondが強くアシストした配合。また、7代目においても、Tudor Minstrel・Khaledが豊かなスピードをアシストしている。決して器用なタイプだとは言えないが、スピードに良さがある配合だと考えられるだろう。

○ スタミナ (4)

 Plucky Liegeを伴う、Bull Lea~Bull Dog(=Sir Gallahad)・Prince Chevalierを中核にした配合。後者の結合は決して良好だと言えないが、豊かなスタミナをさいげんしている。また、母系クロスではあるが、Northern Dancer・Flaming Pageがそのスタミナを再現した場合、芝12Fの克服は可能だと考えられる(この評価はNorthern Dancer・Flaming Pageを効果ありと判定している)。

○ 特別配点 (1)

 主導牝馬クロス:Cosmah


 総合的に見ると、主導勢力の明確さや、近い世代の血の質の良好さはかなりのレベルで、前面はスピード型のクロスが多いものの、7代目以降に存在するスタミナの確保に成功した点も踏まえると、芝12Fはひとまず克服可能だと判断した。ただし、そのスタミナの一部を母系クロスに頼ったのも確かで、決して厳しい流れの長距離戦に対応できるレベルでもなく、本質的には芝10F前後がベストディスタンスだと言えるだろうか。
 また、成長力も秘めた配合で、開花自体は早いタイプであると考えられるが、古馬になってから本当の良さがでる血統構成である。今後の活躍も期待したい。

ヒルノダムール(天皇賞・春)

2011-05-10 17:05:45 | 2011年GⅠ勝ち馬
ヒルノダムール(マンハッタンカフェ×シェアエレガンス-ラムタラ)牡・07生

主:7 結:5 土:2 弱:4 影:2 質[近]:3 質[遠]:3 SP:4 ST:4 特:1(主導牝馬クロス)
合計:34+1点 クラス:3B 芝:8~12F ダ:8~10F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:早め 馬場適性:芝 重馬場適性:□

○ 主導   (7)

 主導は、未だに珍しいCosmah4×6の系列クロス。その母Almahmoudを血統の3ブロックではあるものの散在させ、血統を非常に強力にリードしている。また、前面に余計なクロスを作成しなかったのも幸いし、非常に良好だと考えられる。惜しむらくは、父母サトルチェンジ内において、この系列は8代目においてMahmoudがはじめて現れるために、この部分の連動が弱い点である。

○ 結合   (5)

 主導たるCosmahと、6代目までに存在するクロスである、Almahmoud~Mahmoud・Pharamond・Banish Fearは自身に含まられる血統で確実に結合している。また、Nasrullah~Nearcoは、Blenheim内Nasrullahを通じて、Bull LeaはSpearmintで結合している。しかしながら、Prince Chevalierは10代目Bayardoを通じて(つまり実質的に未結合状態)、結合をかろうじて完了している。この部分は確かに気になるが、7代目以降に存在するクロスを、9代目まで遡る必要があるもののCosmahとひとまず結合しているのは中々に良好で、全体的に見ると良好だと言えるか。

○ 土台   (2)

 土台構造は、Blandfordが11ヶで形成。単一の土台構造としては非常に貧弱だが、Cosmahを主導としたために、Phalaris・Gainsboroughがサポート。かろうじて、と言えるレベルにはあるか。

○ 弱点   (4)

 父方Ticino内に、弱点を派生。この部分の連動性は血統全体で弱い部分の為、さほどのマイナスではないかもしれないが、近交馬であるのも踏まえるとやはり良好だとは言えない。

○ 影響   (2)

 (8-0-4-3)と父サンデーサイレンスを強調。父母間のバランス自体は、天秤方で悪くはないが(8-7)、父母サトルチェンジの影響が弱いのが残念。平均点にはあるか。

○ 質[近]  (3)

 近い世代の血の質はかなり良好だと言える。自身の3代目までに、サンデーサイレンス・Nijinsky・Brigadier Gerardと並び、底力勝負可能。

○ 質[遠]  (3)

 主導たるCosmahは、決して良好な配合だとは言い難いうえに、さほど優秀なクロスも作成できていない。近い世代の質は良好だと言えるが、全体的には平均的だと言えるか。

○ スピード (4)

 主導たるCosmahの軽いスピードを中核に、Nasrullah・Pharamondが強くアシストした配合。また、7代目においても、Tudor Minstrel・Khaledが豊かなスピードをアシストしている。決して器用なタイプだとは言えないが、スピードに良さがある配合だと考えられるだろう。

○ スタミナ (4)

 Plucky Liegeを伴う、Bull Lea~Bull Dog(=Sir Gallahad)・Prince Chevalierを中核にした配合。後者の結合は決して良好だと言えないが、豊かなスタミナをさいげんしている。また、母系クロスではあるが、Northern Dancer・Flaming Pageがそのスタミナを再現した場合、芝12Fの克服は可能だと考えられる(この評価はNorthern Dancer・Flaming Pageを効果ありと判定している)。

○ 特別配点 (1)

 主導牝馬クロス:Cosmah


 総合的に見ると、主導勢力の明確さや、近い世代の血の質の良好さはかなりのレベルで、前面はスピード型のクロスが多いものの、7代目以降に存在するスタミナの確保に成功した点も踏まえると、芝12Fはひとまず克服可能だと判断した。ただし、そのスタミナの一部を母系クロスに頼ったのも確かで、決して厳しい流れの長距離戦に対応できるレベルでもなく、本質的には芝10F前後がベストディスタンスだと言えるだろうか。
 また、成長力も秘めた配合で、開花自体は早いタイプであると考えられるが、古馬になってから本当の良さがでる血統構成である。今後の活躍も期待したい。

クレスコグランド

2011-05-05 18:21:19 | 08年生
クレスコグランド(タニノギムレット×マンハッタンフィズ-サンデーサイレンス)牡・08生

主:5 結:5 土:1 弱:5 影:2 質[近]:3 質[遠]:4 SP:3 ST:4
合計:32点 クラス:2B 芝:9~12F ダ:8~11F
日本適性:□ 成長力:○ 成長型:遅め 馬場適性:兼用 重馬場適性:○

○ 主導   (5)

 主導は判断が難しいものの、Nasrullah6・7×7の系列クロス。しかしながら、Romanが6・6×8、Alibhaiも6・7×8と系列クロスを形成し、同程度の影響力を行使したのは明らかにマイナス要素で(単体の血量的にはRomanのほうが強く、その意味でもちぐはぐな配合)、更に単一クロスであるものの、Hail to Reason4×4や、Ribot5・6×7が主導の明確性を妨げている。したがって、主導項目の評価は決して良好であるとは言い難い。ただし、ある程度の血の流れがNasrullahへと見られるのは幸いだろうか。

○ 結合   (5)

 主導たるNasrullahと6代目までに存在するクロスである、Hail to ReasonはNearcoで、RibotはPharosで、MahmoudはBlenheimでそれぞれ結合を完了している。しかしながら、Roman・Solario・AlibhaiはHail to Reasonを介して間接的に結合しているのはマイナスだと考えられる。これは、明確な主導勢力を形成できなかった血統構成全体の問題であると考えられるが、7代目以降に存在するクロスや、前述のRoman・Solario・AlibhaiがHail to Reasonによってしっかりと結合している状態は見てとることができる。つまりHail to Reasonのクロス自体は有効で、主導勢力の明確性において多少のマイナスは生じるものの、クレスコグランドの血統においては重要な役割を果たしていると考えられる。

○ 土台   (1)

 Pharos(=Fairway)が11ヶで形成。単一の土台構造としてはかなり貧弱で、決して安定感のある形態とは言い難い。また、サポートもBlandfordが7ヶとかなり弱い。決して良好であるとは言い難い。

○ 弱点   (5)

 これといった大きな弱点や欠陥は存在しない。母方Ticinoに欠陥は存在するが実質的に異系交配である点と、影響が非常に弱い部分であるのは幸いしているだろうか。

○ 影響   (2)

 影響度バランスは、(9-3-5-0)とけっして良好とは言い難い。母母方7代目の影響度0は大きなマイナスだが、7代目においてNasrullahが存在しひとまず連動をはたしているのは幸いだろうか。

○ 質[近]  (3)

 近い血の質は比較的高い。母マンハッタンフィズは平均的だと言えるが、3代目までに存在するサラブレッドの質はかなり高い。底力勝負可能。

○ 質[遠]  (4)

 主導たるNasrullahの血の質は良好であるとはいい難いが、Ribotをはじめクロス馬の質は総じて良好である。前述の質[近]とあわせ、優秀だと考えられる。

○ スピード (3)

 主導たるNasrullahを中核に、Roman・Blue Peterがアシストする配合。比較的良好で芝・ダート兼用の素質を備えている。ただし、決して器用なタイプだとは言い難い。

○ スタミナ (4)

 Plucky Liegeを伴うBull Leaを中核にした配合。血統全体でTeddy系のスタミナが生きている為に比較的良好だと考えられる。また、父系クロスであるGraustark・Sicambreが目覚めた場合、距離延長に適性を見せても不思議は無い(この評価はGraustark・Sicambreを効果ありと判断している)。


 総合的に見ると、主導の不明瞭さをはじめ、土台構造の貧弱さなど決して褒められた内容であるとは言い難い。しかしながら、生きた血の質はかなりのレベルで、タニノギムレットやマンハッタンカフェ(=マンハッタンフィズ)を血統表に含むサラブレッドが血統評価以上に活躍しやすいのは、近い世代の血の質がかなり良好であるのが理由だと個人的には考えている。
 また、本馬の場合12F克服はクロスだけを考えた場合、やや厳しいと考えられるが、7代目以降のスタミナ勢力を確実に補給できた点や、前述した父系クロスのスタミナを確保できた場合、12Fをギリギリ克服できる可能性は考えられる。
 したがって、本質的にはパワー型の配合だと考えられるため、長い眼で鍛えて欲しい配合で、総合評価こそ2Bだが底力は秘める。ただし、実質的にはノーカウントだが世代のバランス(母母方が特に悪い)や土台構造の貧弱さなどを考えると、決して信用を置ける内容だとは言い難い。面白い血統構成ではあるので、無事な開花を願う。