散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

玉葱の皮を剥いていったら?

2006-08-17 08:22:34 | 思考錯誤
ノーベル賞作家のギュンター・グラス氏の新作”Beim Haeuten der Zwiebel”(玉ねぎの皮を剥きながら)は自伝なのだそうだ。
78歳の彼が何故今になって青年期にSS親衛隊に所属していたことを告白することにしたのか?
どうして今までそれを沈黙していたのかについて騒がれている。
私も何故"今”なのか今ひとつピンと来ない。
グラス15歳、親元の窮屈さから逃れたいばかりに、潜水艦部隊入隊を希望したが不採用だった。多分当時若者にありがちな選択であったのかも知れない。
その後17歳の時にSS武装親衛隊に入隊。自主的入隊ではなかったと言う。
子供であって無知であった。後その重みを、常に抱え込んできたという。
(17歳は子供か、大人か。。。最も個人差はあるけれどね。グラスの17歳ってどんなだったろう?)
"ブリキの太鼓”で一斉を風靡した頃は告白する時期では無かったと言う。
(どんな時期を待っていたのだろうか?)

そんな過去があった事について云々する気はないけれど、文化人として社会的にそれなりの影響力を持つ人であり、戦争のモラルについて公に発言していた人なのだ。ナチズムの問題に声を上げてきた人なのだ。やはり、ちょっとこれは具合が悪いのではないかなあ?

9月発売のこの新刊はこの騒ぎで発売日繰上げになった。これがうまい前宣伝になったのかどうだか?
ギュンター・グラスの名作はこのスキャンダルに穢れる事は無いけれど、新作の自伝を私は今のところ読む気はない。