散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

カタツムリの引越し

2006-08-18 13:02:47 | 製作記録
私は今、
引越し中だ。
といっても住みかを引越しするのではなく仕事場を引越ししている所だ。カタツムリのようなテンポで、ぽつりぽつりと物が移動中である。しかしのんびりとは言え、間もなく物が溢れてしまうのに違いない。

8月7日に友人の紹介で部屋を見に出かけて、弾みとでもいうのかその場で即決してし、その週末引っ越し始めた。これが良い結果を生むのかどうかまったくわからない。

15分電車に乗って、降りて10分の道を行く。ひたすらまっすぐだ。貸し農園や廃鉄屋などを横目に見ながら、賑やかでは無い道を歩いて、一つ目の十字路の角にある会社のゲレンデ内に部屋を借りた。
建築物の乗っかる基礎地盤作りをする会社で小さな会社とは言え現在2代目。特許を持っているらしく特殊な分野でもあるから安定しているらしい。
会社のゲレンデ内には分厚い鉄板や管や私には使用不明の道具がゴロゴロと転がっていて、クレーン車がそれらを積み上げたり移動したりもしている。ちょっと面白い背景だ。
最大限のヴォリュームに設定した電話の呼び出し音が、たびたびジリジリン、ジリジリン,ジリジリンと鳴り響く。近所に救急病院があって,サイレンの音が毎日聞こえてくる。その部屋は大きなガレージの脇にあって以前は"何か”の検査をする為に使われていたらしく、ちょっとした実験器具が詰まった棚があった。四角く大きな流し台に流れる水は井戸水で、ひどく鉄臭いので飲めない。水質検査はたまに行なわれるらしいから、水に問題はなく飲んでも身体に大変悪いわけでもないけれど、飲めたものではない。残念だ。
この鉄臭い水の匂いをかいでロシアに行った時のことを思い出した。バスタブにお湯を入れようとしたら蛇口からでてきた水が茶色くて驚いた事がある。どちらにせよお湯などでなかったのだけれど。紅茶のような色だった。
売られている壜に詰められた水だって金臭い。ロシア人に『そんな水を飲んでると歯が黒くなってくるぞ』と脅かされたものだった。
鉄不足対策に、特に女性は鉄不足になりやすいからひょっとしてたまに飲むのもいいのかもしれない、などと思ってもここの水は透明だが飲むきはしない。仕方ないので水は買って飲むことにする。
そんな風に書いてしまうとあまりよさそうには聞こえないが、そうでもない。
鉄の塊を扱う男達が横行する場所で、働き者の"青つなぎ作業服”の男達は仕事が速い、大家が一声かけると、あッと言う間も無く棚を移動する、あッと言う間に壊れた水道の蛇口を付け替える、ドアがうまく閉まらないといえば、間もなく"青つなぎ”があらわれる。
そんなわけで、少しずつ環境は整ってゆくわけだけれど、まだ先は長いな。暇がかかるので、それより何か作り始める事を始めようと思う。
そして、仕事場が整えば、自宅の方の手入れもはじめる。
ああ、そこまで考えるのは止めにしよう。
とりあえず一足先だけを見つめながら進むことにしよう。