最初に断っておくが私はドコモユーザーであり、ドコモの株主でもある。他の携帯キャリアが少々安いプランを提案しても、ipadで攻勢をかけてきても一顧だにしない徹底的なドコモファンである。その理由は明快だ。山岳地など辺鄙なところでは今なおドコモの通信網が他のキャリアを上回っている。最近ソフトバンクの接続実績がトップになった、というコマーシャルを見ることがあるが、山岳地ではやはりドコモの接続実績が優れている。
街中使用で選択する人なら、ソフトバンクでもAUでもなんでも良いが、こと山岳地での利用を考えるならドコモである。「安物買いの銭失い」という言葉があるが、電波の弱い山の中ではソフトバンクなどを使っていると思わぬトラブルに陥ることは今持って事実である。命が惜しくないならソフトバンクでもAuでもお使いください、ということだ。
ところがドコモの顧客サービス姿勢を見ると甚だ嘆かわしくなる。先日ドコモからメールが来た。「ケータイてんけん」のご案内です、という。近くのドコモショップで無料で「外観点検」「診断ツールによる点検」「クリーニング」をするから、近隣店舗に立ち寄ってくれ、という話だ。衣の下からはあわよくば新しい機種に乗り換えを進めようという魂胆がチラチラする。
今の機種に買い換えて1年程度なので、買い換える意図は全くないのだが、数カ月前メールに誘われて、この手の「点検」に立ち寄ったことがある。結果としては20分ほど待たされてスマホのスクリーンを磨いてもらっただけで終わった。一方「無料点検キャンペーン」のために本当にヘルプが必要な人や新規購入者は随分待たされたようだ。
どうもドコモのこの手のキャンペーンはおかしい。顧客サービスの積もりなのだろうが、「必要としない顧客に無駄なサービスを提供する」ことで「顧客が本当に必要とするサービスの提供が阻害されている」という事実に幹部は気が付かないのだろうか?
じわじわとドコモのシェアが下がっているという。ドコモファンとしては寂しい現実だ。ドコモには挽回のためipadを売りだそうという企画があるそうだ。だが本場アメリカではipadの全盛期は終わった。今はアンドロイドが勢いを伸ばしている。ハードやOSに頼ってシェアを伸ばそうという考え方は変化の激しい顧客ニーズに振り回されて終わり、という危険性がある。
ドコモにはもっと堂々とした顧客サービスの王道を追求してほしい、と思う。それは何か?というと「どこでも一番つながる」「冗長性が高く災害時でも一番信頼できる」「野暮ったいけどヘルプやサポートがしっかりしている」「お年寄りやIT不慣れな人でも使い易い」ということだ。
「使い易さ」ということでは他の携帯会社は知らないが、グーグルのNexus7の使いやすさと堅牢性をドコモ仕様の富士通製タブレットarrowsと較べると(実は家内がarrowsを使い私はその後出たNexusを使っている)、Nexusの良さが目立つ。もっともnexusはwifi接続オンリーなのでドコモの回線事業への貢献がないので、ドコモは苦々しい思いをしているだろうが。
延々とドコモの悪口を書いてきた。時間がないので今回は止めにするが、ゆうちょ銀行にも共通点がある。元官製のサービス業には「インフラ面の圧倒的な優位性」を活かし切れない共通点がある。それは「顧客の本当のニーズに合ったサービスを提供していない」ということだ。人によってはそれを「上から目線」とも呼んでいるようだ。