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金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

走れ!シマノ

2009年02月17日 | 株式

不況は多くの点でマイナスであるが、数少ないプラス面がある。その一つが好況期には株価が高くて投資妙味がなかった銘柄を妥当な価格で買うことが出来る点だ。

そのような銘柄の一つがシマノだ。シマノは自転車部品や釣具のメーカーで、自転車部品については圧倒的なシェアの高さから、「自転車部品のマイクロソフト」と例えられる。

そのシマノの電動変速機Dura-Ace Di2 7970が、今週のツアー・オブ・カリフォルニアでデビューする。ツアー・オブ・カリフォルニアというのは、サンフランシスコを出発点とし、ロサンゼルスを終点とする約1週間のロードレースだ。

このレースでコロンビア・ハイロード、スリップストリーム、ラボバンクの3チームがこの電動変速機を使う。電動変速機はバッテリーの電力を使って、ギャチェンジを容易にするものだが、今までの製品(フランスのMavicなどが作っていた)は、信頼性に問題があった。また保守的な人は変速機用とはいえ電力を使うことは自転車競技の理念に反すると悩んでいるそうだ。

だがある自転車レースのエキスパートは「3年以内にハイエンド・バイクの変速機は総て電動になる」と予測している。電動変速機はレーサーの負担を減らし、レーサーの集中力を高めることが可能だからだ。

Di2 7970の値段はインターネットで調べると20万円弱だ。私のような自転車競技の門外漢から見ると「高い!」と思うが、インターネットで販売されていることを見ると、自転車愛好家の中には買う人がいるということだろう。

電動変速機がハイエンド・バイクの主流になるかどうかという観点から今年のツアー・オブ・カリフォルニアを観るのも面白そうだ。

ところで昨年最高益をあげたシマノは、今のところ今年度は若干の減収減益を予想しているが、配当は昨年度並の61円から65円を予定している。

環境・エネルギー問題あるいは健康問題を考える時、自転車という乗り物の将来は非常に明るい。ハイエンド商品の電動変速機が直ぐに一般に普及するとは思われないが、その内廉価版が出ると新しい市場が出来るかもしれない。

暗い話題が多いが、シマノのようにずば抜けた強みを持った日本企業もあるのだ。走れ!シマノ。

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ニュースが製販直結する日

2009年02月16日 | 社会・経済

不況の時代に売上を伸ばしているのは、ユニクロの様に安くて価値ある商品を製造・販売している企業だ。またアマゾンのように流通マージンを排除した通販業者も売上を伸ばしている。これはモノの世界の話だが、「ニュース」という情報の世界にも流通業者を排除した製販直結の日がやがて来そうだ。

「ニュースはどこから来るのか?その答は大部分通信社から来る」とエコノミスト誌は書き出す。通信社とは何か?というと共同通信やロイターなどのように、ニュースを集めて、マスコミや企業等に配信する組織である。通信社は「ニュースの卸売業者」で、新聞社や放送局は「ニュースの小売業者」だ。マスコミは通信社から得たニュースに解説等付加価値を付けて販売する。日本語版ウイキペディアは「通信社は大衆向けに自ら報道をしない。収集した一般向けニュースは提携先の新聞社や放送局で発信される」と説明している。しかしこの説明は近い将来書き換える必要があるだろう。

世界的な金融危機は新聞社にも大きな影響を与えている。米国ではシカゴ・トリビューンが昨年会社更生法の適用を申請したことは記憶に新しい。大スポンサーの金融業者などが広告費を抑制する一方ネットで新聞を読む人が増えているからだ。新聞各社がリストラを実施している中で、通信社はカバレッジを広げるため、支局を拡大させている。これは新聞社が独自の取材網を縮小して、ますます情報源を通信社に頼ることを意味する。

ウエッブ・サイトでのニュース提供が増えているため通信社の収入の内、新聞社の占める割合は減少する一方だ。エコノミスト誌は「世界最大のAP通信は、1985年には55%の収入を新聞社から得ていたが、昨年は25%に減少している」と述べている。

このような状況を見てエコノミスト誌は「新聞社が通信社のコピーをより多く使うようになっているのなら、どうして通信社は自らサービスを提供しないのか?」と疑問を投げかける。実際このようなことは部分的には起きている。通信社であるロイターやブルンバーグは既にウエッブ・サイトで消費者向けにニュースを提供してる。また消費者の中にはスマートフォンや携帯電話でニュースを読んでいる人が増えている。

新聞紙に変る電子媒体で、ニュースを読むことが主流になるかどうかについて、私は二つの技術革新が決め手になると考えている。一つは「電子インキ」の発展だ。現在のパソコン等の液晶画面は「バックライト」が必要なので、長時間読むと目が疲れる。これを改良したのが「電子インキ」だ。アマゾンが電子ブック用に開発したキンドルという図書端末は電子インキ技術を使っているので、目が疲れないという。アマゾンのキンドルが、他の電子ディバイスと異なる点は、若者をターゲットとせず、読書好きの中高年をターゲットにしている点だ。新聞を好む中高年層が、電子端末をドンドン使うようになると、新聞を電子端末で読むことが増えるだろう。

もう一つの技術革新は紙や布のように丸めることができるスクリーンだ。これも数年の内に実用化されるだろう。これらが揃った時、紙の新聞を読む必要がなくなる。ニュースをパソコンを経由せずに直接紙状のスクリーンにダウンロードすることができる日、それはニュースが製販直結する日になるだろう。

ニュース・ソースを通信社に頼り、新聞紙の発行とディストリビューションに特化した新聞社は、ニュースの販売ルートから排除され、ニュースの製販直結の世界が来ると私は考えている。

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湯の丸中年スノーハイキング

2009年02月15日 | 

2月14・15日に会社の連中と長野県・湯の丸山周辺にスノーハイキングに出かけた。湯の丸山は噴煙をあげる浅間山の北西にあるこんもりとした山で山麓に湯の丸スキー場がある。今回の登山はスキー場のある地蔵峠から湯の丸山と籠ノ登山を歩くというものだった。なお1ヶ月程前に計画を立てた時は、浅間外輪山の黒斑山を登る予定だったが、浅間山噴火で黒斑山は立ち入り禁止が続いている。このため近隣の二つの山を登ることにした。

14日(土曜日)午前7時30分に同行3名をJR武蔵野線・東所沢駅でピック・アップして、北軽井沢に向かう。湯ノ丸スキー場に直行するであれば、小諸ICが一番近いが、付近の山の情報を仕入れるため、ブルーベリーというペンションに立ち寄ることにしていた。ブルーベリーでスノーシューを借りる予定にしていたが、ご主人の話では昨日来の雨で新雪は融け、スノーシューはなくても良いというので、借りないことにした。天気予報より気象の変化が早く、幸いなことに午前中雨の予報は外れ、晴れ間が広がっている。気温は4月並の高さだが、風が強く登山の服装には悩むところだ。

関越自動車道の事故渋滞などで予定より遅れ、11時半頃湯の丸スキー場に到着。計画通り湯の丸山に登ることにする。4月並みの暖かさなので、私は雨具をアウターにする軽装で出発。リフトを一本登り(というかこの方面にはリフトは一本しかない)、そこから正午に登山開始。快適なスノーハイキングと言いたいところだが、ブルーベリーのご主人の話とは違い、湯の丸山への雪道は時々太股位までもぐることがしばしばあった。気温が高くて、雪が水っぽくなっているのだ。

Yunomaru1

湯の丸山に登っている人は山スキーを履いているか、スノーシューを履いている。つぼ足組は我々位だ。湯の丸山の南峰は風が強い。別のパーティの人が北峰の方が高いというので、北峰まで足を伸ばした。午後1時40分北峰到着(なお後で地図を見ると南峰2101m、北峰2098mで僅かながら南峯が高い)。こちらは風が穏やかなのでラーメンを作って食べる。

北峰の頂上からスキーで滑るパーティがいたので写真を撮らせていただく。

Yunomaruski

ブッシュが多そうだが、この近辺では一番スキーがつかえそうな山だ。

湯の丸山からはスキー場をはさんで翌日登る予定の籠ノ登山が見える。

Yunomarukudari

午後3時半スキー場の手前の休憩小屋で一休み。カメラのアスペクト比を16:9にして湯の丸山を撮った。今回持参したオリンパスE-30はアスペクト(縦横)比を変更することができる。16:9というのはパノラマ仕様だ。

Yunomaruyama2

15日(日曜日)も山は快晴。この日は昨日の雪道ズボズボの教訓を生かして、スノーシューをスキー場のレンタルショップで借りた。1500円である。この日も最初の登りはリフトで稼ぎ、9時半頃リフトの終点から池の平経由で東籠ノ登山を目指した。なお途中で夏道のない林の中を少しショートカットした。これはスノーシューの威力が出たところだ。しかし全体としてはこの日は雪が良く絞まり、トレースを外さない限りもぐることはなく、スノーシューがなくても籠ノ登山に登ることができた。(雪の状態は絶えず変化するので、使わなくてもアイゼン・スノーシューの用意はするべきだろう。)

10時40分頂上到着。噴煙を上げる浅間山がまじかに見える。

Asama

下山途中、昨日登った湯の丸山が見えた。

Yunoamruennbou_2

12時20分駐車場到着。3時間ほどの登山だったが同行の皆さん満足だったようだ。冬の暖かい日のスノーハイキングほど心を弾ませる楽しみは少ない。日本にはスノーハイキングに適した山が沢山ある。機会があればまたご紹介したいと思う。

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米国の金融危機は日本よりも悪い?

2009年02月13日 | 社会・経済

米国の金融危機については、発生当時から日本のバブル崩壊後の金融危機に較べてどうだ?という議論があった。「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」(ビスマルク)という名言があるから、金融危機に際して先例を研究することは大事である。当初は日本の方が悪かったという意見が大方だったと思うが、最近では米国の金融危機の方が根が深いという意見が出ている。

12日付のエコノミスト誌はWorse than Japan?という記事で、注意深く見ると米国の金融危機の方が悪いだろうと結論付けている。

その論点は色々列挙されているが、分かりやすいところを紹介する。IMFによると不良債権の額は日本の場合GDPの35%に達した。米国についてゴールドマン・ザックスが推定するところでは、問題債権の額は5.7兆ドルで、GDPの40%に達する。

また米国と日本の違いは、国債が国内で消化できるか海外の資本に頼らざるをえないかという点にもある。米国では財政支出を増やすために、国債発行量を発行するとドルが暴落する危険性が伴う。

また米国の信用市場の崩壊の最大の原因は、証券化市場の崩壊だ。エコノミスト誌によると、2007年には6,680億ドルの非伝統的な住宅ローンが証券化されているが、2008年には僅かに400億ドルが証券化されたに過ぎない。

つまり米国の金融危機は、当局が規制する「銀行」だけによって引き起こされたのではなく、ヘッジファンドと投資銀行(昨年秋以降皆商業銀行化したが)という「影の銀行システム」が深く関わっている。

またエコノミスト誌は「日本のバブルでは主に企業が債務の担い手になり、個人の借金は余り増えていなかったが、米国のバブルでは個人の借金が膨れている」「個人の債務のリストラの方が企業の債務のリストラよりも公平の観点から大変だ」と述べている。

以上のようなことを踏まえて、エコノミスト誌は米国の金融危機の方が大変だと結論付けている。

無論エコノミスト誌の見方が正しいかどうか即断はできない。例えばつい最近読んだ日興シティのレポート「日米バブルの比較研究」(09年1月28日)は、「日本では株式と不動産のバブルが同時に発生したが、米国では住宅バブルのみだ」「不良債権比率も日本の方が高かった」として、日本のバブルの方がはるかに大きかったと結論付けている。もっとも不良債権比率の大小は不良債権の定義や認定基準で異なる。同時進行していることを正確に判断することは不可能だ。どちらが正しいかは歴史の判定に委ねよう。

ただ不況からの脱出の契機に注目すると、日本は企業が過剰設備・過剰債務・過剰人員の整理を進めた後、世界的な好景気ブームに乗って輸出を拡大することで不況から脱出することができた。

この点から私は「米国にとって何が今回の不況から脱出する契機になるか?」ということがポイントだと思っている。米国において今一番必要なステップは、民間金融機関のバランスシートから不良資産を切り離すことなのだが、これはスタート点でゴールではない。その答は8千億ドルを少し切った予算の中にあるのだろうか?

あるいはその答は「日にち薬」という言葉の中にあるのだろうか?「日にち薬」には「病気や怪我の中にはほっておいても、時間が経てば治る」という意味と「どんなに医薬を施しても時間が経たないと治らない」という二つの意味があるそうだ。

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新しい消費の潮流をどうつかまえるか?

2009年02月12日 | 社会・経済

今日(2月12日)の日経新聞朝刊は「新ダウンサイジング」の中で「二十世紀は日米欧の企業は製品の高機能化・多機能化をひたすら競ってきた。(しかし)新興市場国が主役となるこれからは違う。消費者が求める安価な製品を適切な品質で送り出す・・・ダウンサイジング競争に対応できるかが企業の興亡を決める」と述べている。そのとおりだと思う。そしてこれからは新興市場国だけでなく、先進国においても、必要以上に高品質で高い商品は一般的には敬遠されると考えるべきだろう。

必要以上の高品質やサービスをオーバー・スペック(Over spec.)という。これは和製英語だ。specはspecificationの略で、仕様書とか設計明細書という意味だ。身の回りを見ると、パソコンにしても携帯電話にしても「将来使うかもしれない」余分の機能や能力が装備されている。デジタルカメラもしかり。1千万画素のカメラを使って写真を撮り、数十分の一に圧縮してブログに載せていることを考えると「画素競争」に巻き込まれて高いカメラを買うことはナンセンスだ。オーバー・スペックという和製英語が使われるということは、日本人は必要以上の機能を欲しがる傾向があるからかもしれない。

しかし今回の世界同時不況は、先進国の消費者の消費態度を変える。ファイナンシャル・タイムズは消費者を6つのカテゴリーに分類して、マーケッティングを行う人はターゲットを定めるべきだと述べている。面白いから紹介しよう。

「拒否者」グループ。英語ではNaysayer。失業または失業のリスクを感じている消費者で、必要最低限の消費しかしないグループ。節約のため、生野菜から冷凍野菜に切り替えるなどの消費行動を取る。

「短い服役者」グループ。英語ではShort termer。都市に住む若い消費者。貯蓄がないので、金融資産の目減りの影響はないが、イザという時の蓄えもない。職を失うまで現在のライフスタイルを続ける。

「長い服役者」グループ。英語ではLong termer。老後の蓄えが金融危機で減価しているグループ。パニックてはいないが、悩んでいる。感情的な喜びよりも、機能の点に商品購入基準を見直している。ただ、彼等は全般的に楽観的で消費活動を閉ざしている訳ではない。

「単純な人」グループ。英語ではSimplifier。ベビーブーマーで、金融資産が大幅に目減りしたグループ。リスク回避的になっている。このグループの中には退職時期を延ばし、資産回復を図る人がいる。それが出来ない人は消費を押さえ、ライフスタイルをシンプルにする。

「同情者」グループ。英語ではSympathiser。賢明にも株価暴落の前に現金化して、大きな被害を受けていないグループ。消費能力はあるが、回りから派手に見られることを嫌って、謙虚に振舞っている。

「常に強気」グループ。英語ではPermabull。常に楽観的。消費意欲旺盛だが、消費者信用が抑制されているので、やむなく消費を抑えている。

このように分類されると、総ての人がどこかのグループに入りそうだ。そして多数の人が「機能を重視し」「見かけの派手な消費を抑制しよう」と考えていることが見えてくる。

米国仕様のSUVなどは「車で移動する」という目的からすると、明らかにオーバー・スペックだった(所有の満足はあるが)。日本製の電気製品にもそのような傾向はある。「新ダウンサイジング」とは、オーバー・スペックを見直すということである。その潮流に乗ることが出来るかどうかが、商売の要となるということだろう。少なくとも5年位は・・・・。

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