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金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

宣言解除からが本当の勝負?

2020年05月26日 | うんちく・小ネタ

昨日(5月26日)緊急事態宣言が首都圏1都3県および北海道で解除された。昨日はOffの日なので通勤電車の様子を目で見た訳ではないが、ネットのニュースによると東西線などは肩が触れ合うほどの混雑ということだった。

この様子を見て解除宣言の後に第2波が来るのではないか?と懸念する人もいるようだ。私には第2波が来るのかどうかは分からない。

私に分かることは「コロナ騒動で世界では何かが変わった」ということだけである。その何か?と代表的なものはテレワークの拡大だ。アメリカでツイッターやフェイスブックがテレワークへの切り替えに真剣に取り組み始めている。

グーグルはテレワークと交代勤務の組み合わせで7月6日にはオフィスの稼働率を10%にし、9月には約30%に高める予定だ。またグーグルは従業員が在宅勤務のためにIT設備を購入した場合上限1千ドルまで費用補填をすると述べている。

グーグルなど米国企業の指示は常に具体的で分かりやすい。

日本では昨日日立製作所が新型コロナウイルス終息後も在宅勤務を続け、週2~3日の出社でも効率的に働けるよう人事制度を見直すと発表した(日経新聞27日朝刊による)。

テレワークで変わるのは、働く場所が変わるだけではない。仕事の取り組み方や評価が変わる。元々テレワークは「成果主義」と相性が良い。つまり働いた時間で評価を下すのではなくどれだけ成果を上げたか?で評価されるのだ。

だから人は働く時間を短くしてで成果をあげようと工夫する。ITスキルを上げるのも一つの方法だ。今まで手作業でやっていたことを自分で簡単にロボットを動かす「ト書き」を書いてロボットを使うと飛躍的に生産性を上げることが可能な作業もある。

工夫と努力が評価となって働く人が還元される世界がもっと拡大する。

コロナ騒動はテレワークへの移行を加速した。恐らくコロナがなかったら5~10年はかかったテレワーク化が加速している。

このテレワーク化は個々のワーカーに工夫と努力を求めるだけではない。会社にはジョブディスクリプション(職務定義書)の徹底とコミュニケーションスキルの向上や評価手法の刷新を求める。その変革について行ける会社だけが優秀な労働力の確保が可能になり競争を勝ち抜いていくことができる。

ジョブディスクリプションや業績ベースの人事考課では米国企業は日本の企業の数歩先を行く。一言でいうとこれは業務を文章化する面で日本の企業は立ち遅れていたということだ。ヒューマンスキルで立ち遅れていたと言ってもよいだろう。

だがキャッチアップ不可能なギャップではない。必要なことは「コロナウイルス危機をチャンスに生産性をあげよう」という強い意志だ。その意思を持続できる企業がアフターコロナを勝ち抜くことができる。

解除宣言はワンステップに過ぎなかったと数年後に思う人が多いだろう。

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徒然草を読む(13)~理想の男性像~

2020年05月26日 | 本と雑誌

兼好法師は30歳前後で地位と収入を保証する官僚身分から飛び出し、出家し世捨て人となったと言われている。

しかし俗世とのつながりを切ったわけではない。むしろ後半生は時の権力者や上流階級の貴族たちとの交際が目立ってくる。

兼好法師が理想の男性としたのは、狷介な求道者ではなく、教養と実学を身に着け、人当たりの良い人物であった。理想の人物を論じた段は幾つかあるが、徒然草の第一段は次のように述べている。

「品・かたちこそ生まれつきたらめ、心はなどか賢きより賢きにも移さば移らざらむ。・・・・ありたきことは、まことしき文の道、作文(さくもん)・和歌・管弦の道、また有職に公事の方、人の鏡ならむこそいみじかるべけれ。」

家柄や容姿は生まれつきでどうにもならないが、知性は努力によって賢くなっていく。・・・・男の身に着けたい教養は、まことの学問・漢詩・和歌・管弦楽器の演奏・朝廷内の儀式や決まり事である。人の模範となるのは素晴らしいことだ。

兼好法師は「宴席では美声で拍子をとり、酒は遠慮してもちゃんと相手をする。これが良い男だ」と続けている。

この理想の人物が現在の社会にいたとすると、日本よりもむしろ英米の社会で成功する可能性が高い。なぜなら英米の社会では、リベラルアーツと芸術に造詣の深い人物が尊敬されるからだ。

 現代的な言い方をすると、兼好法師が理想とした男性は教養とヒューマンスキルと芸術性に溢れ、しかも法律や政治の儀礼にも通じていたスーパースターである。

 実際にはこのような人物は現在の日本では皆無に近く、法律や政治の裏舞台に通じた人物は教養に乏しく品性が疑わしい場合が多いようだ、と最近のニュースを見て感じた。

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