金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日本の社会インフルのIT化の遅れ、本当は相続が大問題か?

2020年05月17日 | デジタル・インターネット

特別定額給付金の給付手続の遅れから、マイナンバーカード制度の整備の遅れを指摘する声が高くなっている。

曰く、ドイツでは申請してから数日で給付金が支給されたのに、日本では今月末頃にならないと紙ベースの申請用紙が送付されないなど・・・だ。

日本の個人番号制度はものすごく遅れている。個人番号と銀行口座を紐づけして一気通貫の支払事務を行うには行政が真剣に取り組んでも何年もかかるだろう。だが先進国のレベルにキャッチアップできないことはない。

社会インフラのIT化で本当に遅れているのは相続問題だ、と私は思う。何が遅れているか?というとまず遺言書の電子的作成が認められていない。今回の民法改正で財産目録のパソコン作成は認められたが、本文は自筆で書いてハンコをおさないといけない(自筆証書遺言の場合)。

この情報化社会の中で「手書きでないと遺言書は認められない」といっているのは日本だけである。私の知る限り。

諸外国では遺言書のテンプレート化が進んでいる。つまり数千円相当の費用を払って、PCでテンプレートをダウンロードして、そこに相続財産や相続人の氏名、渡したい財産や配分比率を対話式に入力していくと完成する仕組みだ。その遺言書をプリントして、公証人(日本と違って公証人はあちこちにいる。郵便局の中にも公証人がいるところもある位)にところにいって署名の認証と日付の確定をすれば遺言書の効力が発生する。

ところがこれが日本ではできない。何故できないのか?私は最大の理由は、司法書士・弁護士・税理士・公証人など遺言書の作成にかかわる人々が商売が減ることを懸念して遺言書のテンプレート化に反対しているからだ。学者を含め専門家は「パソコンで遺言書を作成すると偽造される可能性が高い」という。

では日本以外の国では遺言書の偽造が横行しているとでも専門家は言うつもりなのだろうか?それとも日本人は諸外国の人に較べて悪人が多いと言いたいのだろうか?

もっとも私は総ての遺言書がテンプレート化できるなどとは考えていない。事業を行っている方や多くの不動産を持っている方、相続人が多数でしかももめることが明らかな場合などは早い段階から専門家に相談するべきだ。

だがそのような相続は比率的にはそれほど多くない。むしろこれから発生する相続の大部分は「自分の住宅+銀行預金+有価証券を子を中心に2,3人で分ける」というシンプルな相続で「争いごとはないが、相続人も高齢化しているので手続きが大変」というものだ。

このような相続は法的に有効な遺言書があれば相続手続きは早い。実際アメリカやカナダの相続キットを見ても、相続財産が30万ドル程度(3千万円強)以下なら相続キットを使うのがよく、それ以上は弁護士に相談しなさいとアドバイスをしている。

遺言書を自筆で書くのに苦労したり、苦労の挙句止めてしまったりする人は多いだろう。その結果は相続人が相続手続に振り回されることになる。その社会的コストは膨大なものになるはずだ。

コロナ問題で多くの人の耳目はマイナンバーカードの遅れに集まっているが、日本の社会インフラの遅れはそれだけではないのだ。

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徒然草を読む(9)~用が済んだらさっさと帰る

2020年05月17日 | ライフプランニングファイル

コロナウイルス騒動が我々の生活やビジネスにもたらす変化の一つはface to faceで人と接する機会が減ったことである。まず会って話をする替わりに電話で話をすることを選ぶ人が多いだろうがやがて電話の不便さに気が付き、メールを選択するようになる。そしてメールに不便さに気が付き、親しい仲間や会社の同僚との連絡にはチャットを使うようになるというのが新しいコミュニケーションの主流になるだろう。

昔、といっても私が若い頃の話なのだが、取引先や取引見込み先の人から「あんたは用事がある時しか訪問してこないね。もっと顔をだしたら。近くまで来ましたので用事はないけれどお顔を拝見にお寄りしましたと訪ねてくる方が良いよ」とアドバイスを受けたことがある。

あの頃は事業会社も銀行もお互いに暇でface to faceでよもやま話をするのが情報交換になったのだろう。

だがもっと昔に兼好法師は「さしたることなくて人のがり行くは、よからぬことなり。用ありて行きたりとも、そのこと果てなば、とく帰るべし。久しくゐたる、いとむつかし」と言っている。

「大した用事もないのに、人を訪問するのはよくない。用事で訪問した時も用事が済めばさっさと帰るのが良い。長居は相手にとって大変迷惑だ」ということだ。

もし兼好法師の時代に電話は電子メールがあったなら、法師は用事はメールで済ませなさいと言ったのでないだろうか?なぜなら電話も訪問に次に相手の時間を奪うからだ。また電話は相手がいないと成立しない(留守番電話という手があるが私は嫌いだ)。だからメールの方が良い。

コロナウイルス騒動はコミュニケーションをメールとチャットに替えるだろう。

ところで用事がないと人を訪ねるな、と諭した兼好法師だが「親しい友人が顔を見せて、のんびり世間話をして帰っていくのは実に快い」と一見矛盾することを後段で述べている。

これをどう解釈するべきか?

前段は手段としてもコミュニケーションの話であり、後段は目的としてのコミュニケーションの話だと私は理解している。それ程親しくない人の間の訪問は「用事を済ます」手段であり、親しい人の間の訪問は「会話を楽しむ」こと自体が目的なのだ。手段は合理的で効率的な方が良いが、目的は非合理でも非効率でも構わない。

オーディオ評論家の長岡鉄男氏が「手段が目的化することを趣味という」といったそうだが同じ趣旨かもしれない。

コロナウイルス騒動はコミュニケーションにおける手段と目的を明確にしたということもできるだろう。

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コロナウイルス騒動で歯が丈夫になった

2020年05月17日 | うんちく・小ネタ

これは本当の話です。

もっとも正確にいうと「コロナウイルス騒動で歯茎が丈夫になった」ということだと思います。

コロナウイルス騒動前は、3,4カ月に一回歯医者さんで定期健診を受け歯垢を除去して貰っていました。

しかしウイルス騒動で歯医者さんも、不要不急の来院を断っているようです。つまりチェックアップと称してた歯垢除去もなしです。

そこで自分で歯磨きに時間をかけ、できるだけ歯垢がたまらないように心がけるようになりました。歯磨きの時間が長くなり、歯茎のマッサージが行き届いてきた結果、歯茎が丈夫になったと感じるようになりました。

風が吹けば桶屋が儲かる的なところはありますが、コロナウイルス騒動がもたらしたプラスの一つでしょうね。

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