コロナウイルスで外出自粛が強く求められる中、友人・知人・家族の方とビデオ電話で連絡を取る人が増えています。私も昨日夕方5,6名の山仲間とZoom飲み会を開催しました。個人がビデオ電話を行うツールにはスカイプやフェイスブックのメッセンジャーなど色々なツールがあるのですが、コロナウイルス騒動以降急速に存在感を高めているのがZoomです。
WSJにZoom add Oracle to its list of cloud providers(Zoomはオラクルをクラウドプロバイダーに加えた)という記事がでていました。数カ月前ならWSJの記事にならないような、ITベンダー間のサーバー利用契約なのでしょうが、Zoomの名前が一般消費者の間でも浸透しているのでニュースになったのでしょう。
記事によると一日のZoomユーザーの数は昨年末の1千万人だったが、先週には3億人以上に達している。この3億人が送るデータ量は7ペタバイト以上になるという。ペタバイトと聞いてもまったく想像がつかないが、WSJによると高画質ビデオ93年分に相当するという。
これでもまだピンとこないので、自分で少し調べてみた。1ペタバイトは1,024テレバイトである。テラバイトになると最近のノートパソコンの上位機種のハードディスクは1テレバイトのものもあるのでイメージしやすい。
あるサイトによると1テラバイトはフルHD動画166時間分に相当する。また1枚4MBの写真であれば25万枚に相当するそうだ。7ペタバイトというとその7千倍だから17億枚以上写真に相当することになる。
Zoomがビデオ電話サービスを提供する上で基盤としているのが、クラウドサーバーと呼ばれる巨大なコンピュータだ。記事によるとZoomがアマゾンのクラウドサーバーAWSを利用していることは明らかになっているが、他にも名前を明らかにしていないクラウドサーバー業者を利用している。
クラウドサーバー業者として有名なのは、アルファベット(グーグルの親会社)やマイクロソフトなのでZoomがこれらのクラウドサーバーを使っている可能性は高い。なおグーグルやマイクロソフトは自分達もビデオ電話サービスを提供しているので、競争相手にも基盤を貸していることになる。
今回オラクルはこのクラウドサーバー業者の一角に名前を連ねた訳だ。
ところで日本では緊急事態宣言が1カ月程度延長される見込みで、引き続きビデオ電話のお世話になることが多いだろう。ビジネスでも個人の生活でもあるいは教育の場でもだ。
そして緊急事態宣言が将来解除されても、ビデオ電話はビジネスや生活のインフラとして完全に根を下ろすことは間違いない。我々シニア世代も今から慣れておくにこしたことはないのである。
なおZoomがこの大きな市場で勝者になれるかどうか?という点について私はやや懐疑的な見方を持っている。というのはZoomの魅力は「無料で40分のビデオ電話を複数の相手にかけることができる」点にあるのだが、どこかで無料の利用者を有料の利用者に替えないと商売にならない。しかし個人は無料だから使っているのであり、有料客はビジネス客に求める必要がある。だがお金を払ってくれる優良客はマイクロソフトやグーグルに囲い込まれている可能性が高いからZoomがどれだけ商売を伸ばすことができるか疑問に感じる次第。
まあそれはされおきしばらくZoomを利用させてもらおうと考えている。