金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

株式相場の底は近そうだ

2008年10月09日 | 株式

昨日欧米の中央銀行が政策金利を一斉に引き下げ、今日(10月9日)アジア(除く日本)の中央銀行が政策金利を引き下げた。昨日9%下げた日経平均は、今日の前場で1.5%程度戻している。

だが外貨取引を取り扱っている連中の話を聞くと先物為替の予約すら取り難い場合があり、ドルなど外貨取引はかなりパイプが詰まっているようだ。このパイプを通すためには、銀行間に信頼が戻ってこなければならない。信用を取り戻すには、毀損した資本を回復することと政府のサポートが必要である。

これについては市場が強く望んでいた米国政府による銀行への資本注入の可能性が高まってきた。ニューヨーク・タイムズによると、財務省は英国と同じような方式で資本注入を考えているということだ。英国はロイヤルバンクオブスコットランドやバークレイズなどに対して優先株の形で合計870億ドルの資本注入を行うプランを発表している。

米国で銀行への資本注入プランが決まり、政府の指導の下金融市場が安定化してくると株式相場は底を打ちそうだ。

過去の経験からいうと、相場が底を確認すると売られ過ぎた分は急速に回復する。米国の例では40日間で下げ幅の3分の1を戻したという。しかしそれか先は景気の悪化が重しになるのではないかと考えている。来週辺りになるとアナリストだとか識者と呼ばれる人達が相場はどこまで戻るか?などという話を始めるかもしれない。当たるかどうかは別として、少し明るい話題が欲しくなってきた。

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日本人は立派だけれど日本は?

2008年10月09日 | うんちく・小ネタ

今日(10月9日)の朝刊トップにはボストン大学医学校下村脩名誉教授がノーベル化学賞を受賞したというニュースが光っている。世界的な金融不安や株安という暗いニュースが多い中で明るいニュースだ。

ところでノーベル賞受賞に関する日経新聞の記事の中でちょっと気になる表現があった。「日本人が同年に二つのノーベル賞を受賞するのは02年以来の快挙で、基礎科学分野での日本の底力を世界に示した」という一文だ。

前半は事実で誠に快挙、問題は日本の底力を世界に示したというところだ。というのはノーベル物理学賞を受賞した3人の内南部さんは1952年に渡米してシカゴ大学の助教授になり米国籍を取っている。ノーベル化学賞を受賞した下村さんも81年に渡米しその後米国で研究を行っている。下村さんがクラゲから蛍光たんぱく質を発見したのは、61年なので下村さんが日本にいた時の発見だ。だがこの発見をバイオテクノロジーの実験に使う方法は共同受賞した二人の米国人学者により発見された。「ノーベル賞は人ではなく分野に与えるもの」らしいので、下村さんの研究も優れたフォロアーの活躍でより脚光を浴びたと考えても良いだろう。

ノーベル賞を受賞した4人の学者は偉大な日本人であり大変誇らしい。しかしそれをもって日本の底力を世界に示したというのは少し水増しだろう。というのは少なくとも南部さんの場合は米国での研究が受賞の対象のはずで、優秀な外国人研究者を受け入れて才能を開花させる米国の大学に基礎研究の基盤があったというべきであろう。もっともノーベル賞は受賞対象の発見と受賞時期に時間差があるので、受賞が現在の力を示すとは限らない。現在の日本は本当に底力がついているかもしれない。

そのことが何年か後にノーベル賞の数で証明される時は受賞した日本人の数ではなく、日本の研究機関や大学で研究した研究者の数の多さで評価されるべきだ。つまり世界の優秀な頭脳を集めるようになってこそ底力といえるのではないか?と私は考えている。

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