金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

アメリカの資本注入が転換点

2008年10月12日 | 金融

先週欧米の中央銀行が政策金利を引き下げたにもかかわらず、株価は大幅に下落した。日経平均は過去最悪の24%下落を記録、S&P500は18%下落した。だがこれは明らかに合理的判断を超えたパニック状態だ。

ニューヨーク・タイムズを読むと「歴史的に見ると株の買い時かもしれない」という記事が出ていた。記事によると「投資家は60年の歴史を無視している。大恐慌以降政府は信用収縮や経景気停滞に対してはるかに積極的に対応している」「今ノキア、エクソン・モービル、ボーイングといった優良株PER9倍かそれ以下で取引されている。これは過去数十年で最低レベルだ」

記事にはベテラン ファンドマネージャーの声が紹介されている。JPモルガン・チェースの元役員で大学教授のストーウエル氏は「今株を買っておくと数ヵ月後とは言わないが2,3年後にスマート(賢い)だったなあと思うだろう」と述べている。

私は株式相場の大きな転換点は金曜日に米国政府が金融機関に資本注入を行うことを強く示唆したことにあると見ている。ポールソン財務長官は少し前まで銀行への資本注入には反対で、不良資産化した住宅ローン債権などをオークションで買うプランを進める予定でいた。しかし山のような量のしかも複雑な債権プールを精査して、その価値を判断するのは実際上不可能に近い。だから財務省のプランは市場から具体的実現性がないと否定された。だが資本注入にはこのような手間はない。

先週財務省と米国銀行界の経営陣は大筋で話をまとめたようだ。それは「資本注入は議決権のない優先株で行い、既存株主の希釈化を避ける」「健全銀行の経営陣の報酬制限については銀行の自主性を重んじる」というものだ。

動き出すと早い米国では2週間程度で最初の資本注入がはじまるのではないだろうか?

以下は個人的な話だが、先週前から買いたいと思っていた自転車の変速機メーカー・シマノの株を少しかってみた。ピークの6割以下まで株価が下がったからだ。長期的にみるとガソリン高や健康志向から世界的に高級自転車に対する需要は高い。シマノのような部品の独占的メーカーの業績は安定的に伸びるはずだ。

株価の大暴落は色々な面でマイナスである。唯一プラスがあるとすれば、高くなり過ぎていた優良株を買う機会が提供されるということだろうと私は考えている。

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