「生物と無生物のあいだ」 福岡伸一著 (講談社現代新書) 定価:740円
【この本を読んだ理由】
風のウォーキング社労士さんのブログ
「チャンスは、準備された心に降り立つ」を拝見し、この本に惹かれた。
と言うのは、実はこの本の著者「福岡伸一」さんは、私のブログ
「この1週間に気になった有名人(3)」(2007.2.28)と
「この1週間に気になった有名人(35)」(2007.10.9)に登場(2回も)しているからだった。
【読後感】
私はこの本をドキドキしながら読んだ。
特に、後半の著者の行った実験の経過とその結果を知りたくて!
そして、この本の帯にある
“読み始めたら止まらない極上の科学ミステリー「生命とは何か?」”
は、私には過剰宣伝とは思えなかった。
著者はプロローグの中で、この本で書きたかったことを上手く纏めていた。
この本のタイトルは、著者が大学に入りたてのころ、生物学の時間に教師が問うた次の言葉にあるようだ。
「人は瞬時に、生物と無生物を見分けるけれど、それは生物の何を見ているのでしょうか。そもそも生命とは何か、皆さんは定義できますか?」
そして、著者は結局、その講義では明確な答えを得られなかったようである。
著者は、その20数年来の問いに答えようとして、この本を書いたようだ。
そのプロローグの一部を引用して要点を拾ってみると、
“生命とは何か?それは自己複製を行うシステムである。
DNA構造の解明。
遺伝子操作技術が誕生し分子生物学の黄金期の到来。
分子生物学的な生命観に立つと、生命体とはミクロなパーツからなる精巧なプラモデル、すなわち分子機械に過ぎないといえる。
遺伝子改変動物の作成“ノックアウト”マウス。
“ノックアウト”マウスの子に異常も変化もなかった。
遺伝子ノックアウト技術によって、パーツを一種類、ピースをひとつ、完全に取り除いても、何らかの方法でその欠陥が埋められ、バックアップが働き、全体が組みあがってみると何ら機能不全がない。
生命というあり方には、パーツが張り合わされて作られるプラモデルのようなアナロジーでは説明不可能な重要な特性が存在している。
ここには何か別のダイナミズム(「動的平衡」)が存在している。
そこに生物と無生物とを識別できるのは、そのダイナミズムを感得しているからではないだろうか。
この「動的平衡」論をもとに、生物を無生物から区別するものは何か、私たちの生命観の変遷とともに考察したのが本書である。”
最終結論は、私には十分理解できないところもあったが、興味深い一冊であった。