「だから、あなたも生きぬいて」 大平光代著 (講談社文庫) 定価:552円
【この本を読んだ理由】
この本の著者「大平光代」さんは、私のブログ“この1週間に気になった有名人”4月30日の欄(2008.5.5)に記載されている。
「徹子の部屋」に出演していた“極道の妻から弁護士になった”というとてもショッキングな経歴の持ち主である。
そんな人の本にとても興味を曳かれた。
【読後感】
この本は、8年前の2000年にベストセラーとなったものが、文庫化されたものである。
残念ながら、私はこの本がベストセラーになった当時のことは知らなかった。
表紙の写真の女性がこの本の著者である。
彼女はその時34歳の若さであった。
この女性の背中には今もなお刺青があるという。
とても信じ難きことである。
この本は、この著者の“いじめ”にあって非行少女に落ちぶれていくことと、その後、立ち直って“弁護士”になるまでの壮絶なる半生を描いたものである。
目次を眺めると凄い言葉がならんでいる。
前半は、
・いじめ(登校拒否・ちくり)
・自殺未遂(裏切り・死ぬしかない・悪夢)
・下り坂(地獄・屈辱・非行)
・どん底(もう、誰も信じない・底なし沼)
これらの章の中で、著者は、いじめられて登校拒否をし割腹自殺未遂をした状況や悪仲間と付き合い不良少女となっていった状況や親に対する暴力や挙句の果てには極道の妻になり刺青をしたことなどを赤裸々に描写している。
経験者でなければ言えない迫力のある文章で・・・・。
後半は、
著者が、大平さんという「おっちゃん」に会ってから、中学しか出ていなかった著者があの難関の司法試験に合格し弁護士となるまでのこれまた凄い努力の数々が記されている。
そして、現在、著者は、弁護士として非行少年たちと向き合っているという。
凄過ぎて、俄かには信じ難いというのが私の正直な感想である。
今後、もし、行き詰るようなことのあったなら、この本を読み返してみたいと思う。
そのとき、著者はきっと「あきらめたら、あかん!」と言うだろう。
「公務員クビ!論」 中野雅至著 (朝日新書) 定価:740円
【この本を読んだ理由】
社保庁の年金問題等、公務員のモラル低下が言われているとき、この本のタイトルと帯の文句に惹かれて。
【読後感】
著者は役所勤務を経験した公務員である。
役所の内部の人間が、今日までの公務員制度、公務員の仕事の状況を自分の経験を元に語っているところはとても興味深かった。
ただ、公務員の仕事の効率性を民間と比較してどうのこうのという記述が主体で、肝心の仕事の質についての記述は殆どなかった。
私が期待していた社保庁の年金問題等が何故起こったのかを理解できる公務員の仕事に対するモラルつまり国民に対する信頼性についての記述が殆どなかったのは、とても残念であった。
「論語」 加地伸行著 (角川ソフィア文庫) 定価:629円
【この本を読んだ理由】
この本を読む3ヶ月前に、佐久協著『高校生が感動した「論語」』 (2008.3.18)を読んでいる。
それなのに、また「論語」を読むことにした。
それは、次のような理由からだ。
この本の著者は、“はじめに”の中で
「私は古典研究をしてきましたが、ずっと心に秘めた一つの願いがあります。それは、ちょうど祖父が孫に語るように、中学生に古典を語りたいという願いです。」
そして、この本の目的は、
「この『論語』は、おそらくキリスト教の『新約聖書』と同じくらい世界で広く読まれてきた<世界の古典>です。
すなわち、古典として『論語』を読みながら、儒教について語ってゆくことが、この本の目的です。」
と書いている。
私は日本人の内面にある“先祖供養”を中心としたものを理解したくて、高校生から中学生になったつもりで、再度「論語」に挑戦した。
【読後感】
著者は“あとがき”で、これを読み終わったであろう中学生に「疲れたことと思います。」と労いの言葉を添えている。
さらに、
「しかし、古典は、なにかを考えさせてくれます。時間を越えて、人間とは何か、人の心とは何かということを教えてくれます。その緊張感が疲れとなるのですが、けっして無駄ではありません。」
と読者を励ましている。
そして、
ーーー知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼(おそ)れず。ーーー
という孔子のことばを最後に、筆を擱(お)かれている。
ざっと読み通しただけだが、とても高尚な勉強をしたような気がする。
北陸も、とうとう梅雨入りした。
そんな蒸し蒸しする昨夜、俳句サークルに行った。
そして、相変わらず自分の感性の乏しさを痛感して帰ってきた。
わたしの提出した宿題3句の添削結果は次の通り。
(原句)カーナビで 巡る陸奥(みちのく) 夏は来ぬ
(コメント)「カーナビで巡る」は、おかしい。巡るのは車である。
(添削例)カーナビに 教わり陸奥(むつ)の 夏の旅
(原句)短夜や 十年ぶりの 同窓会
(コメント)単なる報告になっている。15年ぶりだったら、どうだと言うのか。久しぶりにあったときのみんなの様子が出ていない。
(添削例)短夜や すぐ明けてをり 同窓会
(原句)家持も 眺めし海や 卯波立つ
(コメント)何か気になる。「家持も」より「家持の」の方がよいと思う。
(添削例)家持の 眺めし海や 卯波立つ
俳句サークルも今回で丸一年になった。
「ちっとも進歩しない」と女房に愚痴をこぼしたら、「そのうち段々上手くなるかも!?」と励まされた。
それで、これから、もう半年継続することにした。