レイジーなガキ

小説、コミカルミステリー?下品なので要注意。カミサン伝説研究中。真面目に読んでも考えてもまして怒ってはいけません。

「木太郎を裁く」

2008-09-29 15:53:12 | Weblog
 「木太郎を裁く」
 
 「はっふぅー、おいしかった」
アユメが一番に食べ終えた。
見かけによらず、早食いだ。
それに比べ木太郎は慣れないためか
まだツナを食べている。
「ごちそうさまでした」次々と食べ終わる。
「コーヒにされますか、紅茶にしますか」
キタジマが声をかける。
「違うものだと手間がかかるから
コーヒーでよろしいわね」ヒトミの声に皆うなづく。
「キタジマさんがコーヒを準備しているうちに、
ファン女のみんなで荒いものしちゃいましょう」
アスカが提案し、他の三人がうなづく。
「あとは木太郎だけね」ヒラメが意地悪そうにいう。
「木太郎の分は僕が洗いますから」エイタが言うと、
「それより、食べ終えたら、木太郎の
その汚い顔を拭いてあげなさい。
なんか、キモいわ、あと、木太郎ゴミ
が出ないように、皿もきれいになめなさい」
ヒトミが意地悪を言う。木太郎はじっと我慢し、
目の前のツナに集中した。屈辱よりも、
空腹を満たす方が先決だった。
ファン女の4人が食器類を片づけ終わった頃には、
木太郎も食べ終えて、
顔もエイタがふいて、きれいになっていた。
 キタジマがコーヒーを配り終えると、
 「さあ、コーヒーでも飲みながら、
これから木太郎をどうするか決めましょう」
ヒトミが切り出した。
 「木太郎には逃走の容疑、
と覗きの容疑がありますが、
どちらからやりましょうか?」
エイタが皆に尋ねる。
 「覗きの容疑からがいいわ」ヒラメが言う。
「あーた、何故そうなるの」ヒトミの問いに、
「私の推理ですと、覗きを実行するために、
逃走に見せかけたと思うからですわ」
とヒラメが自信をもって言う。
「あーた、その理由は?」ヒトミの問いに
「生米さんとかいう人は殺されていなかったわけです。
ですから、木太郎には逃走する理由がないわけです。
それなのに、逃走したということは、
逃走の目的は他にあったということになります。
また、逃走する気があるのなら、
門の鍵は開いていたわけですから、
逃走できたわけですから、
そもそも木太郎には逃走する気も
なかったことになります。
ここまではよろしいですか」
ヒラメの推理に皆うなづく。
「そうすると、木太郎は最初から
逃走する気はなかったということになります。
他方、木太郎は露天風呂の後に隠れていたわけです。
実際に覗けるか、覗けないかは別にして、
そんな場所にこっそり隠れていたということは
覗く気で隠れていたとしか考えられません。」
ヒラメは一応論理的な推理を披露したが、
皆、どうもしっくりしていない顔をしている。
アユメが口を開く、
「ヒラメちゃんのおっしゃることには
一理あると思います。
ただ、何か私にはしっくりとこないのです。
皆様どう思われます。」
「覗きが目的というところが
私にはしっくりいきません、
永久さんの説明を聞いていなくても、
露天風呂の周りを一周すれば、
覗きができないことは小学生でも
わかると思います。私は木太郎が
そこまでバカだとは思いません」
アスカが鋭い指摘をし、皆も頷く。
「でも、木太郎って、オオバカなんじゃない」
ヒラメが反論する。アユメが
 「木太郎さんがバカかオオバカかでは
水掛け論で終わってしまいますわ。
もう少し、視点を変えてみたらどうでしょう。
例えば、木太郎さんには逃走する理由
があったんじゃないかっていうことです。
そして、逃走する気もあったけど、
逃走できなかった。という前提で考えたら、
どうでしょう?」アユメが鋭い指摘をする。
ヒトミが木太郎を指さし、「あーた、
別に何か悪いことやってたんでしょう。」
と問いつめる。木太郎は鼻をひくひくさせ、
「いえ、僕は何も悪いことなどしてません」
と力無く答える。木太郎の様子を
じっくり観察したヒトミが
「あーた、悪いことしてたでしょ。
正直に言わないと、覗きの罪で処刑するわよ」
と恫喝する。
木太郎は鼻をひくひくさせ、
「それだけは勘弁してください。
はい、お母様のおっしゃるとおり、
僕は悪いことをしてました。
でも、その内容は言えません。
ちゃんと、その罪は後でつぐないますから、
勘弁してください。」
木太郎は泣きそうな顔でヒトミに訴えた。
 「ごまかそうとしてもだめよ。
覗きが目的でないなら、その悪いことが
何かをここではっきり言って頂戴」
ヒラメが強い口調でいう。
「そうね。どういう悪いことをしていたかを
白状しない限り、この私も納得しないわ」
ヒトミもヒラメに同調する。
「木太郎さん、正直にお話ししたら、
そうしないと、多分、みんな納得しないと
思いますわよ」とチウメが優しくいう。
「そうだ、そうだ、どうせ悪いことしたんだから、
言っちゃえ、言っちぇえ。」アスカも同調する。
「あーたたちは、どう思うの?
永久さんはどうかしら?」ヒトミにいきなり質問され、
永久は動揺した。木太郎が隠しているのは、
あの70万のことに違いない、
そうすると、いずれ、自分が
その70万を受け取ったことがバレ、
木太郎どころではなくなる。永久は混乱したが、
「僕はヒラメちゃんの言うとおりだと思います」
と自分を守る唯一の答えを言った。
「永久さんもそう思ってるんじゃない。
それに、砂利が敷いてあるってことは
本当は覗けるのでしょ。でも、
覗けるっていうことを話すと
木太郎みたいなのが実行するから、
覗けないということにしたんでしょ」
とヒラメが永久に同意を求める。
「なるほど、それで、砂利が敷いてあったんですね、
それなら、ヒラメちゃんの言うとおりかも
しれないわね」アスカが横から口を出す。
皆の視線は永久に集まったが、
永久は困っていた。実は覗けると答えた場合、
その方法を教えろと言われてもそれが無理なのは、
わかっていたからだ。
その時、アユメが「永久さんを攻めたら、可愛そうよ。
覗けるって答えたら、嘘をついていたことになるでしょ。
それに、そういう嘘も本当に覗けるなら必要だと思うし」
と助け船を出す。
 「木太郎、あーた、どうやって、
覗けることに気がついたの?」
ヒトミがヒラメの説を前提に責め立てる。
 「いえ、本当に僕は覗き方なんて知りません。
信じてください」木太郎は顔を真っ赤にして否定する。
(続く)  


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