佐藤直曉の「リーダーの人間行動学」 blog

リーダー育成のための人間行動と人間心理の解説、組織行動に関するトピック

リーダー感覚48――負けず嫌いもここまでくると愛嬌がある

2007-03-15 09:16:54 | 人間行動分析
昨日話題にとりあげた堀場製作所の創業者、堀場雅夫さんについて、5年目社長さんがコメントしてくださいましたが、このかたについての私のイメージをちょっと話しましょう。


◆オンリー・ワンを目指せと言う人
 テレビで拝見したところ、堀場さんは社内の誰に対しても、「自分の仕事ではオンリーワン、世界一になれ」と言っているようです。
 
 そういうことは職種には関係なくです。たとえば、床掃除をする人であれば、「世界一の床掃除人になるつもりでやれ」と言うらしいのです。
 
 堀場さんのご本を読んだことがありますが、なかなか面白い。私は、マネジメント技術、マネジメント理論、あるいは経営理念という観点から、その類の本を読むことはあまりありません。
 
 もっぱら、その本を書く人がどういった価値観や感受性(性格)の持ち主なのかを考える。その点からすると、堀場さんというかたは割と分かりやすい人です。
 
 基本的には捻れ型だと思います。この言葉の概略は拙著「リーダーの暗示学」に書いていますから、説明は省きます。
 
 要するに負けず嫌いな人なのです。どんなときでも一番になりたい人です。ですから、人にもオンリー・ワンを目指すことを勧めるというわけなんです。
 
 しかし、人様々ですからね。「俺はそんなことにまるで興味がない。ただ、今の仕事がおもしろいので、コツコツやるだけ。人の評価や順番なんかに関心はない」と言う人だっているわけです。
 
 このあたりが、人間の価値観が分かれるところで、おもしろいのです。

 おそらく、堀場製作所にはオンリーワンを目指したい人が集まってきているはずです。その可能性がとても高い。そういうことで、社風が形成されていくといえます。
 
 さて、堀場さんのご本で、面白いと私が思ったところがあります。いかにも堀場さんらしいところです。
 
 今はどうかわかりませんが、その本が書かれたころ、堀場さんは東京ー大阪間をしばしば新幹線で往復していたそうです。
 
 もちろん、電車のなかでボケッとしているわけがない。2時間ちょっとでしょうから、頼まれた原稿を書くのにちょうどよい時間なのだそうです。そこで、その間は執筆に費やされたそうです。
 
 新幹線は揺れて原稿書きにあまり向かないそうですが、「ひかり」の二階席は比較的揺れが少なくて原稿が書けるとか。
 
 ところが問題がひとつある。それは後発の「のぞみ」に追い抜かれること。
 
 それだけは、どうしても我慢できない。
 
 それで、堀場さんは対策をとった。「のぞみ」が出た直後の「ひかり」に乗るのだそうです。これなら、追い抜かれることがありません。
 
 おもしろい人でしょう。事業でナンバーワンになるだけではないんですね。どんなときでもナンバーワンにならないと我慢できない性分なのです。子供じみていると思う人もいるかもしれませんが、それが価値観というか、感受性なのです。分かりやすい人ですね。
 
 だいたい、こういう人は竹を割ったような性格をしている人が多い。だから、猛烈に社員を怒るかもしれませんが、あとが引かないタイプです。たぶん、堀場さんもそういうかたではないだろうか、などと私はご本を読みながら空想いたしました。


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