佐藤直曉の「リーダーの人間行動学」 blog

リーダー育成のための人間行動と人間心理の解説、組織行動に関するトピック

リーダーの条件106――自尊心を満たす必要性

2009-02-25 09:34:04 | リーダー感覚
しばらくリーダー感覚の話をつづけます。できるだけ、セオリーと実例をからめてお話したいと思っています。

理論を知らないと応用がききません。世にあるハウツウものは、例ばかりなので応用がきかないのです。

あなたと事例では状況が違う。相手も違う。ですから、事例をいくら読み重ねても、なかなか応用はできません。

しかし、事例というのはイメージはわきやすいことはたしかです。まあ車の両輪のようなものですね。

このブログにコメントを寄せていただいている「はんなり社長」さまのブログでは、ご自身の事例をあげておられますので、それを引用させていただきます。

昔、まだはんなり社長さんが若かった頃のときだそうです。あまり仕事がうまくいかなかったんでしょう。

「そんなとき私の上司だった人に『君の能力はこんなものじゃないだろう!?』と言われてから、一生懸命仕事をするようになりましたね。あの時『なんだ、ばか者!全然出来てないじゃないか』と言われていたら今日の私は無かったかも知れません」

TITLE:春の野に出て若菜摘む - 闘う社長の奮闘記 VOL.7

よい上司に出会えるのは、ビジネスマンにとって幸せなことかもしれません。

さて、少し理論に触れておきましょう。「説得の作法」です。

以下は、拙著『リーダー感覚』「第五章リーダー感覚の中等訓練」よりもってきました。

説得の作法:
1相手の言い分を反論しないでよく聞く(たとえ間違っていると思っても)

2相手のしたこと、考えたことを、正当化できるような理屈を並べ、認める

3相手の自尊心が満たされ、相手が聞く耳をもつようになる

4相手の道理に基づいた、もっと有力な説得の道理を示してやる(この部分に暗示を用いると、さらに効果があがる)

5相手の考え方や行動が変わる


先ほどのはんなり社長さんの例でいえば、上司の言葉は、3の「相手の自尊心が満たされて聞く耳をもつようになる」という効果がありましたね。

人間を扱ううえで大事なのは自尊心と言ってよいでしょう。みな自尊心をもっている。それを傷つけないようにしないといけません。

それから上のセオリーはあくまで一般的な方法論であり、1と2は3の「自尊心を満たし、聞く耳をもたせる」ための手段であるともいえます。

ですから、1と2がなくても、3さえできればいいのです。

3に達する手段はほかにもいろいろありますから、そこは応用ということです。

要は自尊心を満たして、聞く耳をもってもらうことです。それから、そういうことができるためには日ごろの人間関係がとても大事です。

あなたがチャランポランな上司だったら、いくらハウツウを駆使してもうまくいきません。そこは「リーダーたる条件」ということですね。


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2 コメント

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Unknown (はんなり社長)
2009-02-25 23:49:59
ははは、私を例に出して頂き恐縮です。
当時の私の上司は、単純な私の思考を見抜いていたのでしょう
ただ、社会人になって二十数年経ちますが、
過去の上司を一人一人思い返すと個性の塊ばかりですから
逆に上司から見ても、部下は個性の塊でしょうから
ハウツー本のように理論一辺倒では、うまく行かないでしょう
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Unknown (佐藤直曉)
2009-02-26 06:53:03
はんなり社長様、コメントありがとうございます!

はんなり社長さんの上司になる人はさぞやたいへんだったでしょうねえ。

おっしゃるとおり、ハウツーものには限界があると思います。
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